「よくわかる分析化学」

2023.05.24

「図解入門よくわかる最新分析化学の基本と仕組み」第3版作業着手

Book1

本の改訂作業に着手します。
「図解入門 よくわかる最新分析化学の基本と仕組み」は2009年に初版、2016年に第2版を刊行しました。初版から第2版になった時には 初版からの変更内容 にまとめたような多数の修正を加えました。特に大きかったのは、福島第一原発の事故を受けた「放射性物質の分析」の章新設でした。

今回の改訂では「PCR検査」「抗原検査」を加えたいと考えています。
PCRについては、初版刊行時にとある薬学部の先生から
「PCRも入れてほしい」
とのご意見をいただいていました。しかし化学分析の範疇に入れていいものか迷ったことと、入門書で取り上げるほどの重要性も無いだろうと考えたことから、第2版では入れませんでした。
ところがその後新型コロナウイルス感染症のパンデミックが起こり、一般市民もPCRの語になじみました。まさかこんな事態になるとは予想していませんでした。まさに分析化学・化学分析は時代を映す科学技術であると感じます。

改訂作業は一年近くかかると予想しています。作業の過程では分析化学に関する面白いトピックスもたくさん拾えるでしょうから、放置気味のこのブログの更新頻度も上がると思います。
あの薬学部の先生のようにご意見、またご要望や面白い情報など、何でもお寄せいただければと思います。スパムが多いのでブログのコメント欄を閉鎖していましたが、復活します。どうぞよろしくお願いします。

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2018.03.04

電子書籍を自著で初体験

私が書いた本の電子書籍版がAmazonから発売されました。前々から電子書籍に興味を持っていたので専用リーダー(Kindle)と共に購入して開いてみました。

この写真はKindleと本を並べたものです。

Ebook1

Kindleが届いて手に取った感想は「軽い!薄い!小さい!」
重さは161グラム。デザイン的には気に入りました。どこへでも気軽に持って行けそうです。

でもKindleの画面がモノクロだと知りませんでした。本の表紙がカラーでないだけで何やら漂うレトロ感・・・

ページを開いて比べてみましょう。

Ebook2

文字はかなり小さく、しかも荒いです。解像度は167 ppi。二色刷りなのにモノクロの表示。これを1冊読み通せと言われたら苦痛かもしれません。

実はこのKindleは一番安いモデル。今後も使うかどうかわからないのでこれを選びました。
定価は8,980円で、Amazonプライム会員なら2,000円割引。400円の会費を払って1か月だけ会員になりました。つまり実質8,980-2,000+400=7,380円(税込)で購入しました。
保護フィルムも保護カバーも高価なので買いませんでした。

Kindle Paperwhiteというモデルなら300 ppiなのでもっときれいなのでしょうが、5,300円高くなっています。しかもモノクロという点も画面の大きさも同じです。

ではタブレットならどうでしょうか。無料のKindleアプリをインストールすれば好きな端末でKindle版書籍を読めます。手持ちの8.1型タブレットで表示したらこんな感じ。カラーです。

Ebook3

文字は本より小さいですが読むには支障のない大きさです。しかしこの本は見開きの左のページに本文、右のページに図解という構成なので、1ページずつの表示では価値半減です。

ではノートPC。このディスプレイは16インチです。見開きで表示してもまあ読みやすい大きさ。これならいいかも。

Ebook4
さらにデスクトップPC。20インチです。この大きさは必要ないですね。

Ebook5

さて、この電子書籍バージョン、紙の本と比べてお勧めなのでしょうか?

Kindle(リーダー)で読むという方には正直なところお勧めできません・・・お勧めできるとすれば、既に紙の本を持っていて、ときどき確認のために手軽に参照したいという方くらいでしょうか。
この本のコンセプトは「通読して分析化学の全体像をざっくり把握できる」なので、見開きにできず文字も絵も小さいのでは学習効率が上がる気がしません。
それにこのリーダーに表示される姿だけを見て「こういう本だ」と思われてしまうのは悲しすぎます。

ではKindleアプリを使って好きな端末で読む場合は?
比較した中ではノートパソコンが一番いい感じでしたが、携行性で劣ります。となると大きめのタブレットが最適かもしれません。小さめのタブレットでも、必要に応じて見開きで表示すれば良いかもしれません。

書棚に増え続ける本のことを考えると、百冊でも千冊でもタブレット1台に収まる電子書籍は確かに魅力です。しかもKindleはアプリだけでなくウェブバージョンもあって、ひとたび入手した本は世界中どこへ行っても読むことができます。モノクロのKindleリーダーだって、小説などに没頭する場合はシンプルで手になじむ良い端末でしょう。

結局どちら?紙か電子版か。

電子書籍のメリットは間違いなくあるのですが、好みで選ぶならやっぱり私は紙派です。紙の本への思い入れを 分析化学の入門書を出版 に書いています。でもKindle(リーダー)を入手したことですし、小説などもこれで読んでみたいと思います。

2018/3/6 追記
Amazonの販売サイトをよく読んだら次のように注意が書かれていました。Kindle(リーダー)購入は早まった行いだったようです。

※この商品は固定レイアウトで作成されており、タブレットなど大きなディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字列のハイライトや検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。

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2017.04.11

増刷になります:「図解入門 分析化学の基本と仕組み」

ちょっと忙しくしていて7か月ぶりの更新になってしまいました。「図解入門 よくわかる最新分析化学の基本と仕組み 第2版」が増刷になります。ここ何週間かAmazonでも楽天ブックスでも品切れ状態でご迷惑をおかけしました。本館サイトに 増刷での修正箇所 のページを作りました。

分析化学に関する小ネタがいくつもたまっていますが、今日のところは修正箇所のページ作成で精一杯です。そこで私のブログでは異色の写真、相撲部屋の稽古風景です。

Sumo
これは3月の大阪場所の最中に、稽古場所の一つで撮影しました。ご多分に漏れず私の母が稀勢の里に夢中になりまして、相撲が見たいと言い出しました。しかしチケットの上手な取り方もわからず、普通に相撲協会のサイトで購入しようとしたら15分で売り切れました。それでも母は大阪へ来ましたので、稽古場所を調べて見学に行きました。

残念ながら稀勢の里の大阪宿舎の稽古場所は見学しにくい構造でした。この写真は日馬富士の部屋の稽古場所です。
実のところ私は相撲にまったく興味がなかったのですが、間近に稽古を見て、出入りする力士さんの大きさを至近距離で感じて、やっぱり迫力があるなと思いました。

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2016.07.18

「よくわかる最新分析化学の基本と仕組み」の参考情報リンク集

「図解入門 よくわかる最新分析化学の基本と仕組み 第2版」にはウェブ上で無料で閲覧できる情報を多数引用しています。その中でJISの規格については 掲載したJISのリスト に一覧を載せました。JIS以外は「はてなブックマーク」を使って下記のリンク集にしました。

 分析化学の学習用リンク集

 タグ「第2版参考情報」

初版を発行したとき「Yahoo!ブックマーク」を利用して参考情報リンク集を公開しましたが、このサービスは終了してしまいました。データをはてなブックマークに移動したものの、タグは全部無効になりました。ですから、300以上のリンクが「未カテゴリ」のまま並んでいます。
今後このリンク集を充実発展させていくのか、第2版の参考情報を掲載したところで目的達成として放置するのか。それは考え中です。

Yahoo!ブックマークの利用を開始したときのお知らせ記事
分析化学の学習用リンク集(2009.07.02)

(このとき、はてなブックマークとどちらを使うか検討してYahoo!ブックマークにしました。まさか終了してしまうとは。)

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2016.07.17

「よくわかる最新分析化学の基本と仕組み」に掲載したJISのリスト

「図解入門 よくわかる最新分析化学の基本と仕組み 第2版」では日本工業規格(JIS)の規格を多数引用しています。各規格のページへのリンク集が作れないかと試みましたが、どうしてもうまく行きませんでした。検索結果ごとに異なるURLが作られるようで、恒常的なURLをどう表記したらよいかわかりませんでした。

仕方がないので規格番号と規格名称を含む一覧をここに掲載しておきます。JISの検索画面で、必要な規格の番号か名称をコピペして検索してください。

 JIS検索

1.各分野の学習のためのおすすめ情報
JIS K 0211:2013 分析化学用語(基礎部門)
JIS K 0212:2007 分析化学用語(光学部門)
JIS K 0115:2004 吸光光度分析通則
JIS K 0120:2005 蛍光光度分析通則
JIS K 0117:2000 赤外分光分析方法通則
JIS K 0134:2002 近赤外分光分析通則
JIS K 0137:2010 ラマン分光分析通則
JIS K 0121:2006 原子吸光分析通則
JIS K 0119:2008 蛍光X線分析通則
JIS K 0131:1996 X線回折分析通則
JIS K 0132:1997 走査電子顕微鏡試験方法通則
JIS K 0133:2007 高周波プラズマ質量分析通則
JIS K 0214:2013 分析化学用語(クロマトグラフィー部門)
JIS K 0114:2012 ガスクロマトグラフィー通則
JIS K 0123:2006 ガスクロマトグラフィー質量分析通則
JIS K 0124:2011 高速液体クロマトグラフィー通則
JIS K 0136:2015 高速液体クロマトグラフィー質量分析通則
JIS K 0127:2013 イオンクロマトグラフィー通則
JIS K 3813:2003 キャピラリー電気泳動分析通則
JIS K 0213:2014 分析化学用語(電気化学部門)
JIS K 0130:2008 電気伝導率測定方法通則
JIS Z 8401:1999 数値の丸め方

2.この本を書くために参考にした情報(1以外)
【第2章 基本の化学と試薬・器具】
JIS K 0557:1998 用水・排水の試験に用いる水
【第3章 試料採取と前処理】
JIS K 0216:2014 分析化学用語(環境部門)
【第12章 データ処理と品質保証】
JIS Z 8402-1:1999 測定方法及び測定結果の精確さ(真度及び精度)-第1部:一般的な原理及び定義
JIS Z 8402-2:1999 測定方法及び測定結果の精確さ(真度及び精度)-第2部:標準測定方法の併行精度及び再現精度を求めるための基本的方法

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2016.07.03

正誤表を掲載

「図解入門 よくわかる最新分析化学の基本と仕組み 第2版」の正誤表を 出版社のサポートページ に掲載しました。
細心の注意を払って改訂作業をしましたが、6か所の間違いがありました。購入していただいた皆様には申し訳ありません。

うち3か所は図を提供していただいた会社などの名称の誤りです。今年の2月ごろ図を提供していただき、4月に会社名が変更されたのに旧社名のまま5月に出版・・・また、初版で「社団法人」であったところ「一般社団法人」に改組されていたことに気づかずそのまま・・・このような経緯で社名などが違っています。ご関係の会社・団体の皆さまにもお詫びします。

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2016.05.31

ページ数が増えたのに軽くなった

Book1
28日に第2版が手元に届きました。気になっていた重量は、むしろ軽くなっています。Amazonの商品情報(スマホ版)には「発送重量」の項目があるので比べると、
 初版 499g
 2版 422g
と、確かに軽くなっています。

学習用書籍の場合、携行性は非常に重要だと私は考えているので、軽くなったのはとてもうれしいです。

紙の色とインクの色が変わって、誌面の印象がかなり変わりました。紙は純白に近くなり、2色刷りはモスグリーン付近からエメラルドグリーン付近に変わりました。
Book2
第2版の方がくっきりして読みやすくなったとも言えるし、初版の方が目に優しそうとも言えて、これは好みが分かれそうです。

それから、やや専門的な話になりますが、DTPソフトが「Quark4.*」から「InDesign」に変更になったそうです。このためなのかそうでないのかわかりませんが、コラムのページの左上に余分な「柱」が付いています。これは消せないそうです。

まず「柱」とは何か。
各ページがどの章や節に当たるかを示すもので、各ページの本文の外に配置されるもののようです。問題の「柱」は横書きなのに柱と呼ぶようです。もともとは縦書きが基本だったのかもしれません。
Book3
「図解入門 よくわかる最新分析化学の基本と仕組み」は各章の巻末にコラムを付けています。コラムはコラムであって、本文の項目とは関係ありません。なのに、コラムのページの左上には直前の項目の「柱」が印刷されています。初版ではこの部分は当然空白でした。
こまかいこととはいえ、不正確になってしまっているとも言えるので気になります。

一般人が使うソフトでもこまかいことが不自由で困る場合がよくありますが、プロが使うソフトでも同じらしいと思いました。

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2016.05.27

出版社サイトに目次掲載

「図解入門 よくわかる最新分析化学の基本と仕組み[第2版]」の発売は5月26日「ごろ」とお知らせしたとおり、少なくともAmazonと楽天ブックスでは5/26ぴったりには発売されませんでした。現在(27日の朝)まだ予約受付段階です。
店舗販売でどうなのかは書店へ行っていないのでわかりません。

私自身もまだ受け取っていないので、二色刷りが何色になったのかも知りません。本の装丁や誌面のデザインはすべて出版社が決めています。
今回、口絵8ページ分が増えているので、厚みと重みが増すわけで、使い勝手や携行しやすさがどうなったか気になるところです。

版元による書籍紹介は掲載されました。目次が載っています。

 秀和システムによる書籍紹介

私の本館ウェブサイトにも総合的なご案内ページを作る予定です。主に週末の作業で作っていきます。

(追記)
27日夜の日付が変わる前に確認したら、Amazonと楽天ブックスで購入可能になっていました。この2つに関しては27日が発売日だったようです。

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2016.05.25

初版からの変更内容

 「図解入門 よくわかる最新分析化学の基本と仕組み」初版から第2版への変更内容をお知らせします。
 かなり詳しいリストをPDFにしました。A4版、7枚あります。
  2nd_Edition.pdf (420 kB)をダウンロード
 このPDFにはこまかい用語の統一や会社名の変更なども含んでいます。とりあえずざっくり見たいと考えられる方のために、以下に主要なものをピックアップします。

【全体】

  • 本文のページ数は272ページで変化がないが、カラー口絵8ページを付けたため全体では280ページになった。
  • 日本薬局方は第15改正から第17改正に。JISの更新も著しい。両者に対応。

【第1章】分析化学の世界へようこそ

  • 公式に存在が確認されている元素の数が111から118に。
  • SI単位ではスラッシュ「/」を基本的に1回まで使うことができる。
  • 数値と単位の間には空白(スペース)を入れる。
  • ただし平面角を表す単位「°」「'」「"」とセルシウス度を表す「℃」の前には空白を入れない。
  • 濃度の慣用表現として規定度(N)を追加。
  • スラッシュの前後に空白は入れない。

【第2章】基本の化学と試薬・器具

  • pHの読みはピーエッチまたはピーエイチに(JIS Z 8802 pH測定方法)
  • 「出用器具」「受用器具」にふりがな(だしよう・うけよう)
  • ホールピペットの先端に残った液については、押し出して排出する方法(JIS準拠品)と排出しない方法(ISO準拠品)があることを追記。
  • JIS K 0970名称の変更 プッシュボタン式液体用微量体積計→ピストン式ピペット
  • 「マニュアルリキッド ハンドリングガイド」が第2版から第3版へ。用語の変更 モーションナット→サムホイール 排出→吐出

【第3章】試料採取と前処理

  • 分取クロマトグラフィーを追加。

【第4章】基礎的な検出・定量法

  • 沈殿重量分析以外に電解重量分析とガス重量分析も解説。(JIS K 0050)

【第5章】分子分光分析

  • JISに合わせて法則名称を「ランバート-ベアーの法則」に。最初に試料の厚さと透過光強度の関係を発見したブーゲについても言及。
  • 化学発光分光については削除。
  • セルロースの赤外スペクトルを縦軸吸光度のものから透過率(%)のものへ変更。
  • 指紋領域の波長 1500 cm-1以下→1300 cm-1以下(参考文献変更)

【第6章】原子分光分析

  • フレームレス原子化法→電気加熱原子化法
  • 別名としてグラファイトファーネス原子化法、ファーネス原子化法も記載。
  • 原子吸光による水銀の分析法として還元気化法と加熱気化法を追記。
  • プラズマの定義をより詳しく。「気体中の原子や分子が電離して、正イオンと電子がほぼ等量まざりあって存在している状態」
  • JISの変更に合わせてICPの試料導入部の図を変更(JIS K 0116:2014)

【第7章】X線・電子線を使う分析

  • 軟X線には水に吸収されない波長領域「水の窓」(2.3-4.4 nm)があることを追記。
  • 大型放射光施設としてSPring-8に加えてSACLAも紹介。

【第8章】質量分析とNMR

  • m/zはイタリックで書き、「エム オーバー ジー」と読む。
  • 「分子量関連イオン」の語を削除
  • イオン化法にDARTを追加
  • タンデム質量分析計、ハイブリッド質量分析計について記述。
  • MS/MS(マスマス)、GC/MS(ガスマス)、TOFMS(トフマス)などの語はMSの章では扱わず3章末コラムに。
  • m/zの定義「イオンの質量を統一原子質量単位で割り、さらにイオンの電荷数で割って得られる無次元量」
  • 従来m/z と同じ意味で「質量電荷比」の語が使われてきたが、正確でないとして非推奨になった。
  • モノアイソトピック質量、ノミナル質量、計算精密質量、測定精密質量について解説。
  • ICP-MSは二重収束型など高分解能のものやタンデム型のものも利用されることを追加。
  • 二次元NMR スペクトルCOSY、HMQC、HMBCについて解説。
  • 近年はNMRが定量にも利用されることを追加。

【第9章】分離分析

  • クロマトグラフィーの定義をJISに基づくものに変更「固定相と移動相に対する成分の特性の差によって分離を行う方法」
  • 新品GCカラムのコンディショニングについて追加。「エージング」とも呼ばれるがJIS K 0214:2013では非推奨。
  • TIDの別名としてFTD、NPDを記載。
  • 略称におけるスラッシュとハイフンの使い分け(JIS及び日本質量分析学会など)
     GC/MS:ガスクロマトグラフィー質量分析(分析法)
     GC-MS:ガスクロマトグラフ質量分析計(装置)
  • ただしIUPACの2013年の勧告ではGC/MSとGC-MSを分析法・装置のどちらの意味で用いてもよいとしている。
  • TOF-MSのように磁場や電場を変化させない質量分析計では「スキャン」の語は用いない。
  • 全イオンクロマトグラム(TIC)→全イオン電流クロマトグラム(TICC)
  • マスクロマトグラム→抽出イオンクロマトグラム
  • 超高速液体クロマトグラフィー(UHPLC)の語を追加。
  • メーカーによってはSRMでなくMRMの語を使う。
  • 「イオンクロマトグラフの構成例」の図を「分析機器の手引き(第16版)」(2008)から第21版(2015)のものへ変更。サプレッサの構造が簡単になっている。
  • 超臨界流体クロマトグラフィー(SFC)を追加

【第10章】電気化学分析

  • 導電率計が日本薬局方の水の分析で利用されるようになったことを追記。(第16改正から)
  • カールフィッシャー装置の画像 電量滴定用・容量滴定用の2枚を掲載。

【第11章】データ処理と品質保証

  • 丸めの規則について脚注を追加。本文ではJIS Z 8401の規則Aを解説したが、ばらつきの非常に小さいデータ群などは規則B(単純な四捨五入)が向く。
  • 「定量限界」に替えて「定量下限」の語を用い、定量上限から定量下限までの範囲を「定量範囲」と呼ぶことを解説。
  • 分析法バリデーションにつき、日本薬局方に「室間再現精度」の項目が設けられ、これが室内再現精度に優先して評価されることを解説。
  • 一元配置の分散分析をExcelで行う場合の手順変更。バージョンアップにより「データ-データ分析-分散分析:一元配置」に。
  • 「値付け」にふりがな(あたいづけ)

【第12章】ラボの常識と化学分析の極意

  • 安全データシートは2011年度まではMSDSと呼ばれていたが国際整合性の観点からSDSに統一された。
  • 640物質について、GHS絵表示の表示、譲渡・提供時にSDSの交付が義務づけられている。さらに2016年6月から、これら640物質を使い始めたり使い方を変更したりする事業場にはリスクアセスメントが義務づけられる。

【新設】カラー口絵

  • 分析の現場めぐり
  • イメージング分析の進展
  • カラー化するデータ
  • 分析機器遺産

【新設】放射性物質の分析
 1 放射性物質の特徴
 2 分析対象となる放射性核種
 3 ベクレルとシーベルト
 4 放射線を検出する仕組み
 5 食品・水中の放射性物質分析の手順
 コラム 放射性ストロンチウムの分析

【新規コラム】

  • 「「はかる」ための巨大な装置」2016 年2 月に人類史上初めて重力波を観測した装置LIGOなど。
  • 「検査紙1枚からわかる健康状態」色の変化で尿の比重までわかる医家向け検査紙の原理
  • 「PM2.5の分析」
  • 「アセトニトリル不足とヘリウム不足」2008 年末から2009 年にかけてのアセトニトリル不足、2012 年末から2013 年にかけてのヘリウム不足を解説。
  • 「超高甘味度甘味料」2014 年に食品添加物として認可されたアドバンテームの甘味は砂糖の14,000-48,000 倍。分析も超高感度が必要。
  • 「有機溶剤による胆管がん」2012年に明らかになった大阪の印刷所における胆管がん労災について。

【項の削除】
 1-4 分析の質
 5-9 テラヘルツ分光
 7-6 その他の分析法(X線・電子線を使う分析)
 12-4 分析法の選択と改良

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2016.05.24

図解入門 よくわかる最新分析化学の基本と仕組み[第2版] 5/26ごろ発売

出版社から5/26ごろ発売と連絡がありました。今の時点で「ごろ」が付いているのがなんとも。
Amazonでは5/28、出版社のウェブサイトでは5/30と記載されていますので、どれが正しいか私にはわかりません。

初版からの変更の概要は 3月16日に書いた通り です。初版をお持ちの方に役立てていただける修正内容リストを作成中です。できるだけ早くアップします。

今回もたいへん多くの方のお世話になりました。どうもありがとうございます。

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