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2025.06.29

「質量分離」か「m/z分離」か

質量分析をしている皆さん、「質量分離」と「m/z分離」、どちらの言葉を使いますか?

個人的によく聞くのは「質量分離」だと思っています。

  • この装置の質量分離部はここだ。
  • 購入予定の装置の質量分離方式は?
  • TOF-MSはイオンが検出部に到達する時間に基づいて質量分離する。

といった使い方があります。

しかし、質量分析をやる人なら百も承知ですよね。実際にはイオンの質量で分けているわけではなく、m/zで分けているんだということを。
主要な用語集などではどうなっているか、調べてみました。この表のとおりです。

Photo_20250629202701

IUPAC勧告(2013)では、立項はされていませんが「m/z separation」の語を使用しています。これに基づいている日本質量分析学会の用語集第4版(2020)も同じで、立項なしで「m/z分離」の語が使われています。

Grossの "Mass Spectrometry"(第3版)でも、1回だけですが「m/z separation」の語が使われています。(正確には「mass separation」の語も1回使われていますが、日本語の「質量分離」とは異なる意味。)

少なくとも英語では「mass separation」は分が悪いように思われます。しかしJISでは「質量分離」が圧倒的に優勢で、LC/MS通則では28回、ICP-MS通則では20回、GC/MS通則では6回使用されています。上の表は発行年順に並べていますが、2022年発行のICP-MS通則でも「質量分離」で、特に変化のきざしは無いようです。

正確でないとわかってはいるものの、「質量分離」は「m/z分離」よりも納まりがよくて伝わりやすい。私も当分「質量分離」を使い続けたいと思います。

2025/6/30 追記
「m/z分離」を通常推奨されている読み方で読むと「エムオーバージーぶんり」となり、「しつりょうぶんり」よりもかなり発音しにくい。

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