Rf値(TLCの)は何の略?(1)
薄層クロマトグラフィーをする人なら誰でも知っている「Rf値」、これの元の語は、私が把握しているだけでなんと5通りあります。
retardation factorいったいどれが正しいのか。調べたら、私自身の答えは意外に簡単に出ました。この表のような状況だったからです。(各資料の詳細はこの記事末尾)(2025/6/4 表に2件追加)
ratio of flow
rate of flow
relative to front
retention factor
ratio to the front, ratio of fronts (2025/6/4 追加)
IUPACが1993年の勧告で「retardation factor」としていて、用語集「Orange Book」でも「Gold Book」でもこの通り記載しているのだから、これでOKでしょう。(retardationは遅滞、遅延といった意味。)
とは思うのですが、1993年以後に刊行された書籍にも全くといっていいほど「retardation factor」の語は書かれていません。そもそも、Rf値の元の語が何なのか書いていない書籍のほうが多いのです。
近年はTLCに特化した本は出版されていませんが、昔は何冊もありました。それらの本にすら、Rf値が何の略なのかほとんど書かれていません。なぜなのでしょうか。
個人的に調べた結果を3回程度に分けて書こうと思います。(今日は参照元を並べるだけで疲れたので・・・)
Rf値の元の語が記載されているもの(表に並べた順)
- IUPAC勧告 (1993) Nomenclature for chromatography (IUPAC Recommendations 1993) p.845
- IUPAC 'Orange Book'(有料)
- IUPAC 'Gold Book' RF value, R F in chromatography
- 橋本庸平「薄層クロマトグラフィー」(廣川書店、1963)
- 高木誠「ベーシック分析化学」(化学同人、2006)
- 化学同人編集部「続・実験を安全に行うために 基本操作・基本測定編 第3版」(化学同人、2007)
- 飯田隆他「イラストで見る化学実験の基礎知識 第3版」(丸善、2009)
- 床波志保「機器分析ハンドブック 2 高分子・分離分析編」(化学同人、2020)
- 津村ゆかり「図解入門 よくわかる最新分析化学の基本と仕組み 第3版」(秀和システム、2025)
- 「メルク TLC マニュアル」(作成年不明)
- メルクミリポア ウェブサイト(英語)Thin-Layer Chromatography - TLC Introduction
- メルク(シグマアルドリッチ) ウェブサイト(英語・日本語)薄層クロマトグラフィー(英語版に切り替え可能)
- コロンビア大学化学実験テキスト EXPERIMENT 8 Chromatography(2025/6/4 追加)
- Moleculis(化学情報サイト) Rf Values in Chromatography – Revision Notes(2025/6/4 追加)
Rf値が解説されているが元の語については記載していないもの(刊行年順)
- 鈴木郁生「薄層クロマトグラフィーの実際」(廣川書店、1964)
- B.S.Gritter「入門クロマトグラフィー」(東京化学同人、1971)
- R.E.カイザー「高性能薄層クロマトグラフィー」(講談社、1978)
- F.ガイス「液体クロマトグラフィーの最適化 薄層からカラムへ,その基本的なパラメータ」(講談社、1980)
- 滝谷昭司他「薄層クロマトグラフ法 (機器分析実技シリーズ)」(共立出版、1985)
- 中村 洋(監修)「分析試料前処理ハンドブック」(丸善出版、2003)
- 日本分析化学会(編)「分析化学実験の単位操作法」(朝倉書店、2004)
- S.P.J.Higson「分析化学」(東京化学同人、2006)
- 化学同人編集部(編集)「実験を安全に行うために 続 基本操作・基本測定編 第3版」(化学同人、2007)
- 日本分析化学会「分析化学用語辞典」(オーム社、2011)
- JIS K 0214:2013 分析化学用語(クロマトグラフィー部門)
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