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2024.07.06

分析技術で一人起業(5)信頼性確保・法令対応・ラボ管理

前回までfiroのラボと分析法をご紹介してきましたが、分析会社といえば分析そのもの以外にも信頼性確保や各種法令対応に膨大な書類仕事やラボ管理業務が必要です。このあたりをどのようにしておられるのかお聞きしました。

アマゾン川原産の淡水魚ディスカス(Wikipediaより) Firo14

 独自の信頼性確保
標準作業手順書(SOP)整備や試験データ保存などいっさいをISO/IEC 17025と同等に行っているそうです。大学の化学分析に詳しい先生に監査員に就任していただいており、年に2回の監査を受け、その指摘に基づいてPDCAサイクルを回しているとのことです。また、産業技術総合研究所の外部精度管理に参加していて、2023年には、成績が良好だったとして技能試験フォローアップセミナーで講師を依頼されたそうです。
firoは登録検査機関ではありませんから当然GLPには対応していません。ISO/IEC 17025の認証も取得していません。それで大丈夫なの?と思いますが、仮に将来必要になればISO認証を取るし、現在でも求められれば査察並みのチェックに対応可能だそうです。
このような発想にはこれまで出会ったことがなく、目からうろこだと思いました。

 試験法の妥当性確認
分析の品質管理実務で特にたいへんなのは試験法の妥当性確認(バリデーション)ですが、検査する農産物を9品目に絞ることで負担を抑えているそうです。台湾に輸出する農産物に特化しているため、品目数が少なくても不都合がありません。ブランク値の確認には庭の無農薬レモンを使うそうです。標準溶液は林純薬工業の混合標準溶液を使用しており、ロットが変わったら新旧の比較をすることで濃度の一貫性を確認しているそうです。

Firo04

 法令対応、設備面
シリーズ(1) でご紹介したドラフト替わりのレンジフードですが、宮崎労働基準監督署に確認したところ、使用する有機溶媒の量からみて有機溶剤中毒予防規則の適用除外と判断され、レンジフードで可と言われたそうです。また、有機溶剤使用者の健診も対象外と言われたそうです。
24時間365日の分析対応については、安藤さんは被雇用者でないため、労働基準法に違反しません。
廃棄物に関しては、試験操作の中で有機溶媒を加える工程以降はすべて使い捨てデバイスを使用しており、使用後は産廃業者に引き渡します。SFCに使うCO2は、2016年から高圧ガス保安法の規制対象外になりました。特定毒物研究者の許可も受けています。
設備面では、窒素発生機の騒音対策として静音ボックスを使用、また、分析機器を置くリビングの床は1トン/m2の荷重に耐える補強がされているとのこと。これはかつて趣味でディスカスという大きな熱帯魚(冒頭の写真)を飼う水槽を設置していたからだそうです。床に関しては普通の民家より高スペックのようです。

 民家のフローリングに7m3ボンベを設置?
エックス(旧twitter)で「ガスボンベを室内まで運ぶの大変そう」とのコメントをいただきました。言われてみれば、民家には「上がりかまち」があり、台車を通過させられません。それに、ボンベを転がしたらフローリングに傷がつきます。急きょ安藤さんにメールでお聞きしました。

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ガスボンベの搬入口はリビングにある勝手口で、ここには屋外から小さな3段の階段があるそうです。ガス屋さんは1段ずつボンベを持ち上げて納品し、あとは安藤さんが転がして設置するそうです。床は「WPC檜」というプラスチック強化檜材で、見た目は木目のフローリングなのに表面は硬度が高く、ボンベを転がしても傷がつかないそうです。
耐荷重だけでなく表面強度も高スペックな床なんですね。

ところで「ボンベを転がす」は、実際にやったことがある人でないとイメージできないと思いますが、ボンベを立てたまま少し斜めに傾けて底面のへりの一部だけが床に接するようにしてゴロゴロ転がしていく移動法です。
傾ける角度が小さければ女性でも比較的簡単にできますが、間違えて傾けすぎてしまうと重量が一気に増して支えきれなくなり、倒れてしまう危険性があります。それを再び起こすのはたいへんです。
斜めにしたら、ごく小さな接地面にボンベの重量がぜんぶかかりますが、これで傷がつかないとは、すごい床です。

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