分析化学会近畿支部 創設70周年記念式典
日本分析化学会近畿支部創設70周年記念式典
―未来につながる分析化学―
2023年6月24日(土)
大阪工業大学梅田キャンパスOIT梅田タワーにて
10:30-11:30 【プレ企画】常翔ホール前
学生ポスター発表 27題
13:00-17:00 【記念式典】常翔ホール
1.開会式
2.記念講演
「異分野融合による分析化学の価値向上と国際社会への貢献」
島津製作所 代表取締役会長 上田 輝久
「科楽のすすめ ―知ることとはかること―」
紀本電子工業 代表取締役社長 紀本 岳志
3.パネルディスカッション
「分析化学の将来をどう切り開くか」
進行役 辻 幸一 (大阪公立大学工学研究科)
支部長 山本 雅博(甲南大学理工学部)
パネラー
森 良弘 (同志社大学ビジネス研究科)
吉田 裕美 (京都工芸繊維大学工芸科学研究科)
永井 秀典 (産業技術総合研究所)
鈴木 雅登 (兵庫県立大学理学研究科)
4.学生ポスター優秀賞表彰式
審査委員長 白井 理 (京都大学農学研究科)
5.閉会式
17:30-19:30 【懇親会】リストランテ翔21
これにまず驚きました。上田会長のお話は、自身の経験から得てきた教訓、現在の島津の取り組み、パンデミックが社会を変えた世界史を振り返りつつ未来への展望、という流れでした。分析計測機器の世界市場規模は年間10兆円、島津のシェアは世界第8位だそうです。2026年に市場規模は14兆円になると予測されており、大きな市場というわけではないが確実に伸びているとのことです。世界企業らしい雄大なビジネスの話でした。
紀本社長は近畿支部の個性を表象しているような方で、「はかってなんぼ」のタイトルを考案された方です。100万年前に人類が道具を使い始めて以来の人類史を10万年前、1万年前、1000年前、100年前と対数目盛で俯瞰し、ギリシャ哲学者から現代の理論物理学者までの言葉を引きつつ、観測の重要性や基礎科学衰退への警鐘を語る内容でした。なかなか普段触れることのない教養です。ラファエロなどの絵に青いはっぴ姿の酔っぱらいが隠れている趣向でした。
パネルディスカッションは、最初に山本支部長から、支部会員の年齢層のピークが55~65歳にあり、若手を増やさなければ近い将来支部が衰退しかねない現状が報告されました。それを受けて、学会だけでなく分析化学そのものをどう発展させていくかについて話し合われました。
パネラーの皆さんの意見で共通していたのは、日頃自分が接する範囲の外の専門家と接する機会が欲しいということでした。その際、企業の専門家は対外発表のハードルが高いので、可能な範囲でしゃべれるような工夫が欲しいとか、くじ引きや席の近さでランダムに少人数で話せる場も良いとか、業務で参加すると情報収集が目的になるのでもっと自由に「妄想」を話せればとか、色々なアイデアが出ました。
懇親会で幅広い方々とお話ししました。私は2019年に東京へ転勤しましたが(東京へ転勤&国立衛研旧庁舎)、この春に近畿へ戻ってきました。近畿支部の行事に出席したのも久しぶりでした。しかし話を聞くと、私だけでなく近畿にずっとおられた皆さんもお互い結構久しぶりだったようです。新型コロナウイルス感染症の流行で対面の行事が制約された3年間、その制約が無くなって最初の大きな行事だったようです。
懇親会の締めくくりは恒例の紀本社長による「大阪じめ」でした。
森内実行委員長の発表によれば記念式典は143人、懇親会は104人の参加で、たいへん盛況だったようです。私がこれまでに参加した支部行事の中で一番大きかったと思います。
会場がまた素晴らしかったです。大阪工業大学の梅田キャンパスで、よくあるサテライトキャンパスではなく、高層ビルが丸ごとキャンパスだそうです。冒頭の画像は最上階のレストラン(懇親会場)から見下ろしたHEP FIVEの赤い観覧車です。梅田には高層ビルがいくつもありますが、観覧車を見下ろす眺めにははっとしました。
阪急ターミナルビルとヨドバシカメラとJR大阪駅がどんな位置関係にあるか、地上ではよくわかっていませんでしたが、俯瞰すると理解できました。写真を付けておきます。
この会場、一度は9月に記念式典の日程が決まって確保したのに、分析化学会年会と重なってしまったため急きょ6月に取り直したとのことでした。一等地の大人気の会場で、演者のスケジュール調整も含め、並々ならぬご苦労があったようです。これだけの企画を3カ月も前倒しとは、どんなに大変だったでしょう。タイミングとしては、先月新型コロナウイルス感染症が5類に移行したばかりで、解放感と祝賀ムードが一層盛り上がったように思います。
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