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2020.06.14

化学分析員の10年(2)就職氷河期世代?

「40代前半は就職氷河期世代では?」というご意見をtwitterでいただきました。
化学分析業では派遣社員や契約社員として働く方も多いです。給与が下がった世代はこれに重なるのではないか・・・ということです。

明確な区切りは付けにくいでしょうが、Wikipediaで「就職氷河期世代」を調べたら「1993年から2005年卒」との説が書かれていました。この方たちが平均22歳で就職したと仮定すると、2019年には36歳から48歳でした。確かに給与が下がった世代にぴったり一致します。(30代後半も11,000円下がりました。)

賃金構造基本統計調査では雇用形態も回答項目にあり、正社員または正職員かどうか調査されています。しかし職種ごとの結果は公表されていません。
直接確認できれば良いのですが無理なので、年齢階級ごとの給与の経年的な変化がどうだったか調べることにしました。賃金構造基本統計調査 (政府統計の総合窓口(e-Stat)) の中で2001年から2019年までのExcelファイル「職種・性、年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額」をダウンロードし、データをグラフ化しました。
グラフが読みにくくなるため50歳以上は省きました。

Photo_20200614065301
残念ながら全年代とも給与は伸び悩んでいるようです。
でも昇給については、基本的に20代前半から30代後半までは順調なようです。折れ線が交わることなく、19年間ずっと、年代が高まるほど給与も高くなっています。

しかし40代前半と40代後半で変調が起こったようです。2006年までは年代順に並んでいますが、2007年から逆転が見られるようになり、最新の2019年では30代後半から40代後半がダンゴ状態です。

就職氷河期世代説をあてはめてみましょう。
冒頭と同じように計算するとどの年代が就職氷河期世代でしょうか。

 2005年 22~34歳
 2010年 27~39歳
 2015年 32~44歳

40~44歳の給与は2007年をピークに2008年あたりから漸減傾向に見えます。でも2008年には就職氷河期世代はまだ25~36歳で、この年代に達していませんでした。

45~49歳の給与は年ごとの上下変動が大きいです。(サンプル数が少ない?)それでも2014年をピークに2015年から明確な減少が起こったようです。2015年には就職氷河期世代は32~44歳で、やはりこの年齢階級には達していません。

このように、Wikipediaでいう就職氷河期世代と化学分析員の給与減少はリンクしているとは言い難いと思われます。
しかしこの解析で、特定の世代の化学分析員が、その前の世代よりも給与が下がったことは見てとれます。それは2008年に40歳に達した人と2015年に45歳に達した人にまたがる世代です。短く言えば、

2020年6月におおよそ50歳から52歳の方は化学分析員受難時代の開始世代ではないか?

というのが今の段階での私の見方です。「開始」ということは、これ以降の世代の方も受難世代ということです。おおよそ50歳から52歳の方は、先輩を見て期待していた通りにならなかった変わり目の世代ということです。
「就職氷河期世代」が給与減少の主因であるならば、終わりがあると予想されます。しかし別の永続的な原因があるなら、厳しいことですが、この傾向が続くかもしれません。

また、今回の解析では「変わり目の時期」はある程度つかめた気がしますが、「原因」には全く迫っていません。
いろいろな側面から原因を考えてつぶやいている皆さんがおられます。どうもありがとうございます。私のtwitter でリツイートしています。

賃金構造基本統計調査からもう少しデータを拾ってみようと思います。

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