化学分析員の10年(1)浮かび上がった謎
10年前の数字を最新の統計値に差し替えてさらっと終わるはずだった 化学分析員という仕事 2020 ですが、思いがけない謎が浮上したので私なりに原因を究明することにしました。
謎とは、なぜか40代男性化学分析員の給与が10年前よりかなり減ったことです。
まず、賃金構造基本統計調査のデータの場所を示して正確な減少幅を確認します。
2009年6月の調査
職種・性、年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額 (平成21年)
2019年6月の調査
職種・性、年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(令和元年)
企業規模計(10人以上)きまって支給する現金給与額
化学分析員(男)40~44歳
461.8千円 → 382.8千円 79.0千円(17.1 %)減
化学分析員(男)45~49歳
451.1千円 → 388.4千円 62.7千円(13.9 %)減
これは見過ごせない減少幅と言えるのではないでしょうか。統計データを見ながらこの原因を考えていきます。
まず、全年代の増減はどうなのか。グラフにしてみました。統計には19歳以下と65歳以上のデータもありますが省きました。
では、この傾向が化学分析員だけのものなのか、それとも、類似した他の職種でも同じことが起こったのか、見ていきます。もし一般的な傾向であるなら、化学分析員に限らない社会問題ということになり、私のブログでは手に負えない話です。
最初に自然科学系研究者(男)。
次に技術士(男)。
ところで What's 技術士!?「役職及び職種解説」によれば、機械技術士、船舶技術士、航空機技術士、電気技術士、化学技術士、資源工学技術士、建設技術士、経営工学技術士が含まれるそうです。化学も入っていますがほんの一部かもしれません。
そして薬剤師(男)。
なお、20代前半で減少したのは、薬学部が4年制から6年制に移行した影響があると思われるので、単純に減ったとは判断できません。
最後に臨床検査技師(男)。
以上でわかったことは、40代での給与減額は一般的なことではない、そして臨床検査技師で似た動向が見られる、です。
社会問題に疎い個人がどこまで原因に迫れるかわかりませんが、引き続き不要不急の外出をひかえながらデータを解析していきます。
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