化学分析員の10年(3)企業規模との関係
私のウェブ活動のテーマは「分析の魅力を伝える」です。10年前に 化学分析員という仕事 を書いたとき、賃金の統計値をそのまま紹介するだけで、化学分析員はかなり魅力的な仕事として描くことができました。けれども先週データを更新して 化学分析員という仕事 2020 を書いたら、少なくとも給与面を見る限り、魅力的と言い張ることはできないと思いました。全く予想外で衝撃を受けました。
これで終わるわけには行かないので、何とか「魅力的」と思ってもらえるオチを作り、この仕事を志望する若者を減らさないようにするつもりです。
しかし根拠のない楽観論や嘘でオチを作るわけには行きませんから、まずは原因の究明です。面白くない話題ですが続けます。
前回まとめたデータでは、40代前半男性は2008年頃から、40代後半男性は2015年頃から、給与が下がり始めています。この原因は何なのか。
今回は企業規模との関係を調べてみます。
賃金構造基本統計調査では、常用労働者 1,000人以上を「大企業」、100~999人を「中企業」、10~99人を「小企業」に区分しています。
2019年には大企業で働く化学分析員は7,760人、中企業7,120人、小企業3,310人です。
そして企業規模別・年齢階級別の給与はこのグラフのようになっています。
では、40~44歳男性の給与は年ごとにどのように変化してきたのでしょうか。企業規模別にまとめました。
もしかしたら、大企業に勤務する人が減り、中小企業に勤務する人が増えたのかもしれません。
次に45~49歳男性のグラフです。
大企業 2014年から
中企業 2015年から
小企業 2016年から
このように1年ずつずれて、大企業→中企業→小企業の順に40代後半の給与低下が起こりました。
そして平均では2015年から下がり始めました。
以上をまとめると、
40代前半の給与は、企業規模別統計では明確な傾向なし(平均給与は2008年から下がっているのに)
40代後半の給与は、どの企業規模でも2015年前後から下がり始めた。開始時期は大→中→小の順
このことから何が言えるでしょうか。私にはまだ何とも言えません。
とりあえず企業規模別の人数の変化を解析する必要がありますが、今回はここまでにします。
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