化学分析員の10年(6)男女別の統計
お待たせしました。女性についてのデータです。
賃金構造基本統計調査 の職種別統計表には、男女のどちらかしか年齢階級別統計が公表されていない職種があります。化学分析員は男性のみ、自然科学系研究者も男性のみ、栄養士は逆に女性のみです。
そういうわけで残念ながら女性化学分析員については年齢ごとの解析ができません。総数だけの統計になりますがご紹介します。
まず人数から。男女別の推移をグラフにしました。
人数は調査期間を通して男性の方が多く、女性も男性も増加傾向にあることがわかります。女性の方がやや増加率が大きいように見えるので、比率の推移もグラフにしてみました。
やはり女性の比率が少しずつ高まっているようです。直近では男性6に対して女性4程度の構成になっているようです。
年齢はどうでしょうか。平均年齢はこのようになっています。
2001年には男性の方が平均年齢が6歳ほど高かったのですが、最新の統計では男女差はほとんど無く、ここ5年ほどは男女とも約37~39歳が化学分析員の平均年齢です。
「実感としては男性の方がベテランが多いけど?」
と思う方もおられるかもしれません。
賃金構造基本統計調査では係長以上は管理職として集計され、化学分析員の集計に入りません。実感として化学分析員のように見えても係長以上はカウントされないことに注意が必要です。
女性の職業選択にとっては「結婚・出産後も働きやすいかどうか」も重要な要素ですが、平均年齢を類似した他職種と比較したらどうでしょう。2019年調査では次のようになっています。
平均年齢
自然科学系研究者(女) 37.2歳
化学分析員(女) 37.8歳
技術士(女) 39.8歳
一級建築士(女) 42.4歳
医師(女) 38.2歳
歯科医師(女) 35.1歳
獣医師(女) 33.2歳
薬剤師(女) 39.5歳
看護師(女) 39.9歳
臨床検査技師(女) 38.5歳
栄養士(女) 35.5歳
理系の各種専門職(女性)の平均年齢はおおむね35~40歳の範囲内のようですから、化学分析員は続けやすさとしては中程度ということでしょうか。(ただし平均年齢は「管理職になりにくさ」を反映している可能性もあります。)
ところで前回記事で解説した通り、2007年と2008年の間には、30歳以上の化学分析員の人数の大きな減少と29歳以下の大きな増加という大変動がありました。平均年齢でもこの年は男女とも減少しています。
最後に平均給与の推移です。
ただし同じ期間内に女性化学分析員の平均年齢は大きく上昇したのですから、給与が上昇するのは当然で、むしろ年齢の上昇に見合う大きさかどうか疑問な感じです。
また、近年の平均年齢は男女同程度なのに、平均給与は男性の方が7万円ほど高くなっています。
「きまって支給する現金給与額」には「基本給、職務手当、精皆勤手当、通勤手当、家族手当などが含まれるほか、超過労働給与額も含まれる」とされています。
2019年の場合、男性の超過実労働時間数は平均13時間、女性は8時間でしたから、男女差には5時間分の超勤手当てが含まれます。また、家族手当も男性が給付される場合が多いでしょう。
ただ、これらだけで7万円の差は説明しきれないかもしれません。企業規模別の男女比など調べたら差があるのかもしれませんが、今回の私の調査目的の範囲外です。
男女別のデータ紹介は以上です。
40代男性化学分析員の給与が減った原因を探っているわけですが、今回の解析からは特に関連は読み取れませんでした。
これでデータ読みは終わりましたので、次回は総合的な原因考察、次々回は「それでも化学分析員は魅力的な職業」というオチ、で締めくくりたいと思います。どちらも難しい課題なので、いつ書けるかちょっと自信がありません。
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