分析化学会&質量分析学会 合同講演会
9月12~14日に仙台で開催された日本分析化学会第67年会に行ってきました。
部分的にしか参加できませんでしたが、聴講した一つは14日の日本質量分析学会との合同講演会です。私は両方の学会の会員になっており、両者がどのような関係を持とうとしているのか興味がありました。
時間は1時間で、両学会の歴史や研究領域などについて、質量分析学会の高山光男会長及び分析化学会の岡田哲男会長が、それぞれじきじきに講演されました。そして最後に産総研の津越敬寿さんが両学会の組織や学術集会の開催方法、用語の違いなどについて講演されました。
どちらの学会も会員数が減っているとのことで、合併の話題も上がりました。しかしそれはうまく行かないだろうとのことで、雑誌の編集やイベントの共同開催などで協力していくそうです。また岡田会長によれば、分析化学会には現在21もの研究懇談会があるのに質量分析研究懇談会が無いので、設立を模索したいとのことでした。研究懇談会は外部への窓口の役割も持っており、無いと不都合だそうです。
意外だったのは、質量分析学会の設立が分析化学会のわずか1年後、1953年だったということです。失礼ながら、そのように歴史のある学会とは知りませんでした。私が日常的にGC/MS装置を使い始めたのは1980年代後半。質量分析は数ある分析法の中でも新しい手法だと思っていました。
しかしよく考えてみれば、質量分析そのものの始まりは100年以上前と教科書に書いてあったような・・・
質量分析学会の歴史が長いというより、むしろ分析化学会の歴史が短いと言えるかもしれません。なにしろ分析化学の歴史は化学の歴史と言ってもいいくらいなのですから。
日本化学会の設立は1878年だそうです。分析化学会は、日本化学会会長であり日本学術会議会長でもあった亀山直人氏の強い要請により1952年に設立されたそうです。
翌年に質量分析学会が設立されたわけですが、いずれも日本で戦後の復興と発展が加速しつつあった時代のニーズに応じたものだったのでしょう。
これまで知らなかった学会の歴史を学べた講演会でした。
なお、コーディネーターの津越敬寿さんは両学会でご活躍で、当ブログでもそのユニークな御意見を3回も記事にさせていただいています。
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