もし「元素学校」があったら
冬季オリンピックをひかえてフィギュアスケートのニュースが増えてきました。来月開催されるNHK杯に向けて羽生結弦選手のコメントが放映されていました。
「一つ一つのエレメンツを丁寧にやりながら優勝をめざしてがんばって行きます」
ここで"elements"の語にピクッとしてしまった化学系の人もいるのではないでしょうか?私だけでしょうか・・・
日本語では「元素」といえば元素という意味だけですが、英語のelementには様々な意味があって日常的に使われています。要素、成分、構成部分といった意味です。形容詞形で"elementary school"といえば「小学校」です。
もし化学英語だけを勉強した人が"elementary school"と聞いたら「元素学校」のことだと思うのだろうか?どんな学校だろう?国語とか算数とかでなく、ハロゲンとかアルカリ土類とかが科目だったりして・・・?
などと妄想しました。
西洋の科学知識が大量に導入された時代に「元素」という訳語も作られたのでしょう。明確に「元素」を意味する言葉を持っている私たちは幸運だな・・・と思い、でももしかしたら「元素」だけを意味する英単語があるかも?と考えてWikipediaの 元素 を開きました。この英語版は Chemical element です。なるほど。単語ではなく"chemical element"で「元素」のみを表すのですね。
羽生選手の一言から広がった知識でした。
余談ですが日本語版のWikipediaの 元素 の中で、「元素」の語の使い方に混同や説明不足がある例として某シリーズの元素本が挙げられています。私は同じシリーズから分析化学本を出版しているのでドキッとしました。本を出すというのは勇気がいるものです。
フィギュアスケートのイラストはフリー素材の いらすとや より。
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