「elements~メンデレーエフの奇妙な棚~」のマンガ化
科学技術振興機構の動画サイト サイエンス チャンネル に、実写動画 elements~メンデレーエフの奇妙な棚 があります。
古い動画ですが何とも言えない味わいがあって引き込まれます。このブログでも9年前に紹介しました(紹介記事)。
今年の3月にこの動画のマンガ版が刊行されました。
「元素に恋して マンガで出会う不思議なelementsの世界」
千代田ラフト[原作]、若林文高[監修]、きたがわかよこ[漫画]
創元社
原作の動画が素晴らしく良いので、果たしてマンガで再現できるのかなと思いました。書店で立ち読みしましたが、あの骨董品店の薄暗さがない白っぽい紙面で、ちょっと買う気が起こりませんでした。
図書館で予約したら3か月でやっと順番が回ってきました。
通読したら、立ち読みした時より少し印象が改善しました。
原作は骨董品店の主人(中高年男性?)が声だけで出演します。そこになんとも言えずミステリアスな雰囲気があります。主人の顔はメンデレーエフに似ているのかも・・・と想像します。
でもマンガでは主人が顔出しで登場。面長でカイゼルひげ、チェックのスーツに山高帽というスタイル。メンデレーエフには似ていません。
プロットはほぼ原作と同じようです。主人が女子高生に元素のすごさをわかりやすく面白く解説。女子高生との愉快なかけあいも原作の雰囲気が出ています。
原作はとてもミステリアスなのですが、マンガでは毎回いつの間にか主人が消えるという設定によってミステリアスさを出しています。
収録されているのは全9話。
第1話は周期表について、第2話は錬金術について。
第3話以降は個別の元素で、取り上げられているのは酸素、金、窒素、アルミニウム、水素、炭素、銀。
マンガをきっかけに久しぶりに動画を見返しました。やはり味わいがあります。最近の技術水準と比べたら画像の質はボロボロと言っていいですが、表現方法が巧みです。
冒頭で挙げた記事で書いた私のおすすめベスト3は、
1 (7)遅れてきた怠け者~希ガス~
2 (17)あやかしの元素たち~ランタノイド~
3 (18)金属の王~鉄~ または (6)永遠の元素~金~ (甲乙つけがたい。)
です。
それから動画のオープニングのナレーションがまたミステリアスなのです。本館サイトの「ふとした言葉」でも一部を引用しましたが(アーカイブ)、マンガ版の扉には全文が掲載されています。これが一番うれしかったりします。以下に引用しておきます。
昔、ある男が奇妙な棚を作り、予言をした。
私はこの棚に「世界のもと」を並べた。
そして棚には空きを残そう。
やがて棚の全てが「世界のもと」で埋まる日が来る。
男は、この世界の姿を解き明かす者。
すなわち、化学をなりわいとする者だった。
男の予言どおり、棚には世界のもとが放り込まれていった。
この棚には、世界の全てがある。
この棚の全てを知れば、
世界の全てを手に入れることが出来る……かもしれない。
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