液クロの「HILIC」はどう略してこうなるのか
「ヒリック」は液クロのユーザーにとって一般教養といっていいほど普及してきました。
HILIC(親水性相互作用クロマトグラフィー)は順相モードの一つです。古典的な順相が主に低極性の化合物に使われるのに対して、HILICは高極性の化合物に適しています。
私も普通のC18カラムを使う逆相で保持が不満という分析種でHILICを試してみたことがあります。その時は安定化までの時間に難があってルーチンへの採用にまで至りませんでしたが・・・
ところで親水性相互作用クロマトグラフィーの元の語はhydrophilic interaction chromatographyですが、これをどう略したらHILICになるのか?というのが今回のテーマです。
普通に略せば
Hydrophilic Interaction Chromatography
でHICとなります。
「LC/MS, LC/MS/MS Q&A100 虎の巻」には
HydrophILic Interaction Chromatography
の部分が略語の元であると書かれています。(p.131)
ネットで簡単に検索できる情報源としては
HPLC基礎講座 第5回 分離モードとカラム(2)(日立ハイテクサイエンス)
が見つかりました。
日本工業規格の「JIS K 0214:2013 分析化学用語(クロマトグラフィー部門)」にもHILICの語は収載されていますが、残念ながらどの部分の略かは書かれていません。
ところで、これらの資料とは異なる情報が「LC/MS,LC/MS/MSのメンテナンスとトラブル解決」に書かれています。
hydropHILIC interaction chromatography
の部分が略語の元だそうです。(p.109)
そうか~!ここもHILICになってる!
と感心してしまいました。
この説に気づいたのはごく最近です。私の「図解入門 よくわかる最新分析化学の基本と仕組み 第2版」では第1刷で略語の由来を示していませんでしたが、増刷で多数派のHydrophILicを索引に書きました。
hydropHILIC説の信憑性は今後注意してみたいと思います。なんだか楽しい異説です。
ここで紹介した書籍の著者・刊行年・ネット書店リンク等はこちら
LC/MS,LC/MS/MS Q&A100 虎の巻
LC/MS,LC/MS/MSのメンテナンスとトラブル解決
LC/MS,LC/MS/MSの基礎と応用
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