GC-MSかGC/MSか(LC-MSかLC/MSか)(6)
このあたりで私の個人的な立場を明らかにしておきます。
好みで言えばハイフン派です。
インタクト社の矢澤到さんもハイフン派だそうです。カラムのコラム (13) LC/MS?それとも LC-MS? で「装置の連結技術を "Hyphenated Techniques"という以上,LCとMSを連結する場合,"LC-MS" というHyphen (-) を使用する表記が妥当ではないか」と書かれています。2002年のコラムですから今はどうお考えかわかりませんが…
私の好みの理由はもっと単純です。まずハイフンはファイル名に使える。文書の題名の全部や一部をファイル名にすることも多いわけですが、ファイル名にスラッシュが入っているとエラーになります。ハイフンはそのような面倒がありません。
それから入力する時にも「ー」と同じキーですから打ちなれていて負担が少ない。
ですから、何の制約もなく使えるなら、分析法も装置もGC-MSそしてLC-MSと書きたいわけです。
しかし仮に世の中がGC/MSとLC/MSに統一されるなら喜んで従います。ハイフンとスラッシュが混在している現状は、やっぱり落ち着きません。統一されるなら、ファイル名でエラーが出ることくらい我慢しましょう。調べていくほどスラッシュのメリットもわかってきました。
これに対して「GC-MSは装置、GC/MSは分析法」の使い分けには、渋々というか、いやいやというか、仕方なくというか、あまり積極的でない従い方になります。
それはなぜか。GC-MSとGC/MSのように紛らわしい用字に異なる意味を持たせて記憶・識別させるということに無理を感じるのです。
自分自身はこれをなりわいにしているので何とか覚えることもできますが、専門外の人向けにGC-MSとGC/MSが混在する文章を読んでもらう時など(例えば装置購入予算の話し合い)説明が必要になり、非常に面倒なのです。
また、GCもLCもMSも分析法と装置の両方の意味があるにもかかわらず不便を感じていないので、GC-MSやLC-MSだけ特に使い分けが必要とは思わないのです。区別したいときには「GC-MS装置」「GC-MS法」のように書けば明らかなので。
しかし (1) で書いた通り日本質量分析学会とJISの用語は「使い分け」ですので、GC-MSやLC-MSのユーザーの皆さんはくれぐれも忘れないようにしてください。
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