初版からの変更内容
「図解入門 よくわかる最新分析化学の基本と仕組み」初版から第2版への変更内容をお知らせします。
かなり詳しいリストをPDFにしました。A4版、7枚あります。
2nd_Edition.pdf (420 kB)をダウンロード
このPDFにはこまかい用語の統一や会社名の変更なども含んでいます。とりあえずざっくり見たいと考えられる方のために、以下に主要なものをピックアップします。
【全体】
- 本文のページ数は272ページで変化がないが、カラー口絵8ページを付けたため全体では280ページになった。
- 日本薬局方は第15改正から第17改正に。JISの更新も著しい。両者に対応。
【第1章】分析化学の世界へようこそ
- 公式に存在が確認されている元素の数が111から118に。
- SI単位ではスラッシュ「/」を基本的に1回まで使うことができる。
- 数値と単位の間には空白(スペース)を入れる。
- ただし平面角を表す単位「°」「'」「"」とセルシウス度を表す「℃」の前には空白を入れない。
- 濃度の慣用表現として規定度(N)を追加。
- スラッシュの前後に空白は入れない。
【第2章】基本の化学と試薬・器具
- pHの読みはピーエッチまたはピーエイチに(JIS Z 8802 pH測定方法)
- 「出用器具」「受用器具」にふりがな(だしよう・うけよう)
- ホールピペットの先端に残った液については、押し出して排出する方法(JIS準拠品)と排出しない方法(ISO準拠品)があることを追記。
- JIS K 0970名称の変更 プッシュボタン式液体用微量体積計→ピストン式ピペット
- 「マニュアルリキッド ハンドリングガイド」が第2版から第3版へ。用語の変更 モーションナット→サムホイール 排出→吐出
【第3章】試料採取と前処理
- 分取クロマトグラフィーを追加。
【第4章】基礎的な検出・定量法
- 沈殿重量分析以外に電解重量分析とガス重量分析も解説。(JIS K 0050)
【第5章】分子分光分析
- JISに合わせて法則名称を「ランバート-ベアーの法則」に。最初に試料の厚さと透過光強度の関係を発見したブーゲについても言及。
- 化学発光分光については削除。
- セルロースの赤外スペクトルを縦軸吸光度のものから透過率(%)のものへ変更。
- 指紋領域の波長 1500 cm-1以下→1300 cm-1以下(参考文献変更)
【第6章】原子分光分析
- フレームレス原子化法→電気加熱原子化法
- 別名としてグラファイトファーネス原子化法、ファーネス原子化法も記載。
- 原子吸光による水銀の分析法として還元気化法と加熱気化法を追記。
- プラズマの定義をより詳しく。「気体中の原子や分子が電離して、正イオンと電子がほぼ等量まざりあって存在している状態」
- JISの変更に合わせてICPの試料導入部の図を変更(JIS K 0116:2014)
【第7章】X線・電子線を使う分析
- 軟X線には水に吸収されない波長領域「水の窓」(2.3-4.4 nm)があることを追記。
- 大型放射光施設としてSPring-8に加えてSACLAも紹介。
【第8章】質量分析とNMR
- m/zはイタリックで書き、「エム オーバー ジー」と読む。
- 「分子量関連イオン」の語を削除
- イオン化法にDARTを追加
- タンデム質量分析計、ハイブリッド質量分析計について記述。
- MS/MS(マスマス)、GC/MS(ガスマス)、TOFMS(トフマス)などの語はMSの章では扱わず3章末コラムに。
- m/zの定義「イオンの質量を統一原子質量単位で割り、さらにイオンの電荷数で割って得られる無次元量」
- 従来m/z と同じ意味で「質量電荷比」の語が使われてきたが、正確でないとして非推奨になった。
- モノアイソトピック質量、ノミナル質量、計算精密質量、測定精密質量について解説。
- ICP-MSは二重収束型など高分解能のものやタンデム型のものも利用されることを追加。
- 二次元NMR スペクトルCOSY、HMQC、HMBCについて解説。
- 近年はNMRが定量にも利用されることを追加。
【第9章】分離分析
- クロマトグラフィーの定義をJISに基づくものに変更「固定相と移動相に対する成分の特性の差によって分離を行う方法」
- 新品GCカラムのコンディショニングについて追加。「エージング」とも呼ばれるがJIS K 0214:2013では非推奨。
- TIDの別名としてFTD、NPDを記載。
- 略称におけるスラッシュとハイフンの使い分け(JIS及び日本質量分析学会など)
GC/MS:ガスクロマトグラフィー質量分析(分析法)
GC-MS:ガスクロマトグラフ質量分析計(装置)
- ただしIUPACの2013年の勧告ではGC/MSとGC-MSを分析法・装置のどちらの意味で用いてもよいとしている。
- TOF-MSのように磁場や電場を変化させない質量分析計では「スキャン」の語は用いない。
- 全イオンクロマトグラム(TIC)→全イオン電流クロマトグラム(TICC)
- マスクロマトグラム→抽出イオンクロマトグラム
- 超高速液体クロマトグラフィー(UHPLC)の語を追加。
- メーカーによってはSRMでなくMRMの語を使う。
- 「イオンクロマトグラフの構成例」の図を「分析機器の手引き(第16版)」(2008)から第21版(2015)のものへ変更。サプレッサの構造が簡単になっている。
- 超臨界流体クロマトグラフィー(SFC)を追加
【第10章】電気化学分析
- 導電率計が日本薬局方の水の分析で利用されるようになったことを追記。(第16改正から)
- カールフィッシャー装置の画像 電量滴定用・容量滴定用の2枚を掲載。
【第11章】データ処理と品質保証
- 丸めの規則について脚注を追加。本文ではJIS Z 8401の規則Aを解説したが、ばらつきの非常に小さいデータ群などは規則B(単純な四捨五入)が向く。
- 「定量限界」に替えて「定量下限」の語を用い、定量上限から定量下限までの範囲を「定量範囲」と呼ぶことを解説。
- 分析法バリデーションにつき、日本薬局方に「室間再現精度」の項目が設けられ、これが室内再現精度に優先して評価されることを解説。
- 一元配置の分散分析をExcelで行う場合の手順変更。バージョンアップにより「データ-データ分析-分散分析:一元配置」に。
- 「値付け」にふりがな(あたいづけ)
【第12章】ラボの常識と化学分析の極意
- 安全データシートは2011年度まではMSDSと呼ばれていたが国際整合性の観点からSDSに統一された。
- 640物質について、GHS絵表示の表示、譲渡・提供時にSDSの交付が義務づけられている。さらに2016年6月から、これら640物質を使い始めたり使い方を変更したりする事業場にはリスクアセスメントが義務づけられる。
【新設】カラー口絵
- 分析の現場めぐり
- イメージング分析の進展
- カラー化するデータ
- 分析機器遺産
【新設】放射性物質の分析
1 放射性物質の特徴
2 分析対象となる放射性核種
3 ベクレルとシーベルト
4 放射線を検出する仕組み
5 食品・水中の放射性物質分析の手順
コラム 放射性ストロンチウムの分析
【新規コラム】
- 「「はかる」ための巨大な装置」2016 年2 月に人類史上初めて重力波を観測した装置LIGOなど。
- 「検査紙1枚からわかる健康状態」色の変化で尿の比重までわかる医家向け検査紙の原理
- 「PM2.5の分析」
- 「アセトニトリル不足とヘリウム不足」2008 年末から2009 年にかけてのアセトニトリル不足、2012 年末から2013 年にかけてのヘリウム不足を解説。
- 「超高甘味度甘味料」2014 年に食品添加物として認可されたアドバンテームの甘味は砂糖の14,000-48,000 倍。分析も超高感度が必要。
- 「有機溶剤による胆管がん」2012年に明らかになった大阪の印刷所における胆管がん労災について。
【項の削除】
1-4 分析の質
5-9 テラヘルツ分光
7-6 その他の分析法(X線・電子線を使う分析)
12-4 分析法の選択と改良
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