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February 2016

2016.02.20

「分析化学実技シリーズ」全23巻のリスト

日本分析化学会編・共立出版発行の「分析化学実技シリーズ」全23巻は2009年から順次刊行中です。

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全巻の構成と刊行状況が知りたいと考えてウェブサイトを見てみました。
 分析化学実技シリーズ 全23巻 | 共立出版
 出版物および頒布品 | 公益社団法人 日本分析化学会
なんと全巻が番号順に並んだリストがどちらにもない!
そこで、各巻のカバー折り返しに付いているリストを書き写しておきます。

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こういうシリーズ物は教科書的な固い内容かと思われがちですが、このシリーズは1冊1冊個性があって味わい深いです。その半面、バランス的にどうかなと思うものもあります。
それぞれの分析法には別の書籍が刊行されているものもあります。各分析法につき1冊ずつのおすすめ本(私なりの)を選定作業中です。

【機器分析編】
1 吸光・蛍光分析 (2011)
2 赤外・ラマン分光分析(未刊)
3 NMR (2009)
4 ICP発光分析 (2013)
5 原子吸光分析 (2011)
6 蛍光X線分析 (2012)
7 ガスクロマトグラフィー (2012)
8 液体クロマトグラフィー(未刊)
9 イオンクロマトグラフィー (2010)
10 フローインジェクション分析 (2014)
11 電気泳動分析 (2010)
12 電気化学分析 (2012)
13 熱分析 (2012)
14 電子顕微鏡分析(未刊)
15 走査型プローブ顕微鏡(未刊)
16 有機質量分析 (2009)
17 誘導結合プラズマ質量分析 (2015)

【応用分析編】
1 表面分析 (2011)
2 化学センサ・バイオセンサ(未刊)
3 有機構造解析 (2010)
4 高分子分析 (2013)
5 食品分析 (2013)
6 環境分析 (2012)

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2016.02.12

分析美学と分析化学

「分析美学」という学問があると目にして、思わずクリックしました。

分析美学ってどういう学問なんですか――日本の若手美学者からの現状報告

冒頭であっけなく

本稿の主たる主張は「分析美学って普通の美学ですよ」というものだ。

と述べられています。この一文だけで「分析化学」との対比にイメージが広がりました。

分析化学の対象は生命科学や材料の物性などに広がってきており、もはや化学の枠には収まりきらないので「分析科学」と呼ぶべきだ、という主張があります。

分析美学が普通の美学であるならば、いろいろな「○○学」は「分析○○学」とも呼べるのかもしれない――分析生物学とか、分析環境学とか、分析考古学とか。そして、「でもそれって普通の○○学ですよ」なのかもしれません。
「分析科学」になってしまった「分析化学」は、「普通の科学」なのかもしれません。自然科学の多くの分野は観察や測定と切り離せないのですから。

あまり意味はないかもしれない上記のようなことを漠然と考えたのでした。
そういう私は「分析科学」という言葉にどうもなじめず、「分析化学」の語だけを使い続けています。

なお、リンク先の文章は森功次さんという美学者が書かれたもので、とても刺激的です。
「分析美学」の「分析」とは、観察や測定のことを意味するわけでなく(自然科学でないので当たり前)、語彙の定義をしたりディスカッションを深めたりといった科学的なアプローチ法を示すようです。
美学の世界においては、型で押したように古典を読むことから始めていた従来の教育・研究スタイルが変わってきたとのこと。科学をやる者として、その「新しい」スタイルは既になじんだものですが、この文章のライブ感にわくわくしました。
最後のこの言葉もうれしくなりました。様々な学問への敬意が感じられます。

美学という学問は、日常生活と結びつけやすい学問だ。真摯に学べば、人生が豊かになることは間違いない――とはいえこのメリットも、たいていの学問に当てはまるようなものでしかないのだが。

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