水銀で冥界への鏡を表現した映画
今日は 分析化学のページ 開設10周年の日です。
記念に何かふさわしいことを書きたいと一日考えましたが、何も浮かばなかったので、最近読んだ本から面白い動画を一つ。
ヒュー オールダシー=ウィリアムズ著「元素をめぐる美と驚き:周期表に秘められた物語」(早川書房、2012)で、ジャン・コクトーの映画「オルフェ」の一場面が紹介されています。
それは、0.5トンもの水銀を使って、この世と冥界を隔てる鏡を表現しているのだとか。
詩人オルフェが妻ユリディスを追って鏡をくぐり抜ける場面では、鏡そのものでありながら触れれば液体という水銀の特性が生かされているのだそうです。
1950年の映画(本には1945年と書かれている)、現代のようにCGなどない時代、水銀を使うとは!
それに、鏡のように大きな水銀の水面(水銀面?)に触れたらどうなるの?知りたい!
と思って検索しました。ありました。
1分41秒の動画です。ちょっとCMが入ります。
Orphée - La traversée du Miroir - Cocteau
なるほど。こんな感じですか。細かく波立って、モノクロながら、水とは違う固そうな質感がわかります。
オルフェは手袋をはめて鏡をくぐります。これは神秘的な雰囲気を高めていますが、実は俳優の健康に配慮して水銀に直接触れないようにするためだったそうです。
それから、鏡をくぐる直前と直後にカメラアングルが切り替わって錯覚を起こさせますが、実際の水銀の面はもちろん縦でなく水平だったのです。
フリー素材:リコー クリップアートファクトリー
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