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2012.05.12

「分析化学のべからず171」

最近、実務的な分析化学の本がちょくちょく出版されるようになりました。そんな中でも「ついに出た!」という感じの本です。
Bekarazu
日本分析化学専門学校 編
「分析化学のべからず171 準備から実験までの“やってはいけないこと”がわかる!」
JIPMソリューション
A5判、192ページ、定価1,890円(税込)

 主要目次(出版社のサイト)
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編者の日本分析化学専門学校は、我が国で唯一の分析化学の専門学校で、桜の通り抜けと分析化学 でご紹介したように、校舎は大阪・造幣局にほど近いところ。一度訪問したことがあります。見学の高校生も白衣を着て、1セント硬貨を金ピカにしたり、きれいな炎を作る実験を体験していました。実験を重視する学校だと思います。

この本は、1項目が1ページにおさめられ、本文は簡潔で文字は大きく、下半分はイラスト、という構成です。イラストは執筆者(10名)の一人が描いておられます。漫画風のユーモラスな絵です。だいたい1時間もあれば楽に全部読めます。

「基本の所作」「実験操作」「器具の扱い」「試薬の扱い」「機器の扱い」の5章で構成されています。
機器の章で取り上げられているものは、液クロ、ガスクロ、分光光度計、原子吸光、赤外分光光度計、pH計、NMRです。

どんな「べからず」が挙げられているか、ふんだんに例を挙げながらご紹介したいところですが、これらの「べからず」の選び方こそがこの本の核心ですので、ほんの少数にとどめ、ネタバレなしにしておきます。

レベル的にはごく基本的なことから書かれており、特に安全面の注意が多いです。分析化学だけでなく化学実験一般の事項がかなり入っています。私にとっては、デシケーターのフタの閉めかた、アセチレンガスのボンベの内部がどうなっているか等の項目が新しい知識でした。また、あいまいになっていた事項の再確認が色々できました。

面白いのが「ティッシュをキムワイプ代わりに使うべからず」です。内容は「キムワイプをティッシュ代わりに使うべからず」だと思いますが・・・。いずれにしても、化学・バイオ系ならニヤリとしてしまう「べからず」ではないでしょうか?

対象読者は、社会人よりは学生向けのように思います。「実験室で大きな声を出すべからず」「実験室で走るべからず」といった項目があります。ガスバーナーがしばしば登場します。一方、手順書の順守・サンプルの取扱い・納期を守る・試薬や消耗品の在庫や交換時期確認といったことは書かれていません。機器については、オートサンプラーに関することと質量分析計に関することは触れられていません。

新人が試験室に配属されてくるこの時期、それぞれの職場で気になることが何かとあるのではないでしょうか。
わかりやすく親しみやすいのが本書の特徴です。心がけたい項目のページを拡大コピーして、月替わりでラボの壁に貼るといった使い方もできそうです。

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