本の共著を成功させるには
今までにない形の分析化学の読みもの本。それは単著でないことは明らかでした。取材でなく自分の体験として書くのですから、一人では分析の多様性を語れません。
それでは何人で書くか。Wさんから、編集者としての「苦々しい思い出」に基づくアドバイスを色々もらいました。
(本にはフルネームでWさんへの謝辞を書きましたが、あまり何度も名前を出すとご迷惑かもしれないのでイニシャルにしておきます。)
まず、実際問題、人数は少なければ少ないほど進行はスムーズだそうです。
共著で混乱・破綻するケースはやはりあるようです。その理由は、
- 転勤
- 病気
- だれかの原稿がずっと来ない
- だれかが音信不通
- 著者どうしの考え方の違いから人間関係悪化
といったもので、人数が多いほど確率は高まるそうです。
本作りの手順は、「まず共著者を決めてから話し合って構成・項目を決める」と、逆に「主著者が構成・項目を決めてからそれに合わせて共著者を選ぶ」が考えられます。
原稿ができてからの仕上げ段階でも、著者どうしが相互の原稿を読んで意見し合う場合と、自分の原稿以外には口を出さない場合があります。
素人でも想像できることですが、どちらの段階でも、著者どうしが良いチームプレーをできて相乗効果を生み出すなら協同作業のほうが良いのでしょう。それぞれが完全に独立して書いたら、トピックの羅列になって雑誌のようなテイストの本になりがちだそうです。
でも、話し合うことが多いほどトラブルも起こりやすいのでは・・・と、やはり素人でも考えます。
Wさんのアドバイスは、
- 中心・窓口は必ず一人にしておくほうがうまくいく
- これは連絡のためでなく、最終的な本の「通し」のテイストを守るため
- 相互に原稿を読むのも、チェックするのが目的でなく、特定の章や項目が明らかに"浮く"のを防ぐため
- 共著者の分担を明確にしておく
といったことでした。
それから人数ですが、これは私の気持ちの中で、かなり早い段階から4人と決まっていました。
その理由は単純で、Amazonの書籍検索(たとえば ジャンル:分析化学)では著者の表示が4人までなのです。5人目以下の著者はカットされます。また、本の背表紙に並べて印刷できる人数も4人が限界ではないかと思いました。
理系の仕事をしていると、分担執筆を頼まれたりして一応本を書く機会はそれなりにあります。でも、そのようにして製作にたずさわっても、自分の本という実感はほとんどありません。やはり、Amazonや背表紙に名前が出るあたりが、自分の本として考えられるかどうかの境界では?
こんな理由で、著者は4人と考えました。
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