世の中には本が多すぎる
2010年の書籍新刊は約7万5千点だったそうです。(新刊点数の推移(書籍)日本著書販促センター)
貴重で大切にされる本がある一方で、粗製乱造、2匹目のドジョウ狙い、前著の焼き回し・・・ではないかと感じる本も残念ながら目につきます。「家の中で増え続ける本を思い切って捨てるには」と書かれた本がいくつも出ています。
出版不況と言われながら新刊が多いのはなぜか、私が見聞した範囲で知ったことを サラリーマンと商業出版(11)出版という業界 で書きました。
新刊を出そうという原動力は、著者でも読者でもなく出版社だ―私が1冊目の本を書いて感じたことです。
そう考えれば、化学分析の本の企画に対して編集会議で言われたという「ニッチだ」の意味は、分析業界がニッチという意味でなく、そんなものを取り上げることがニッチだ、という出版社側の営業上の評価だったとわかります。
なるほどなるほど。
しかし、出版社は本を出すのが仕事ですからニッチを狙うのもいいですが、私の本業は分析です。今の時代、言いたいことがあればウェブで言える。出版はたいへんな手間がかかります。しかも紙にして流通させるのは環境負荷を伴います。
その企画が出版に価するならいいですが、既に類似のコンセプトの本があるなら、それらの本を普及させる方が資源の有効利用ではないか―と考えました。というわけで、次回は既刊書の紹介です。
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