「SI単位系」っておかしくないですか
国際単位系またはSIと同じ意味で「SI単位系」とする言葉使いをときどき見かけます。これはおかしいのでは? というのが今回のテーマです。
私は「当然おかしい」と思ってきました。しかし最近、科学用語の使い方についてかなり厳密な姿勢で書かれた書籍の中でこの言葉が使われているのを見て自信が揺らいでしまい、ちょっと記事にしておく気になりました。
まず、おかしいと考える理由です。
SIはフランス語 Le Système International d'Unités (*)の略称ですから、Sは「系」を意味します。ということは、「SI単位系」は「国際系単位系」となり、重複します。
このことを指摘した意見がネット上にないかと探したら、Wikipediaの 「国際単位系」のノート にありました。
「SI」という略語自体がフランス語で「国際単位系」という意味なので、「SI単位系」は「国際単位系の単位系」という「Mt.FUJI-san」「Houryuji Temple」みたいな重複した表現になり、百科事典としては好ましくないと思いました。ウィキペディアでは「NHK」も「日本放送協会」、「JR東日本」も「東日本旅客鉄道」としてますから、「国際単位系」でよいと判断しました。るがこむ 14:50 2003年3月29日 (UTC)
この後にも議論が続いていて、なかなか興味深いです。
Wikipediaのノートでは「SI単位系」に対して否定的な意見が優勢なようですが、ネット上でフレーズ検索すれば、この言葉が多数ヒットします。また、アマゾンのサイトで検索したら、少なくとも4冊、この語を書名に使った本が見つかりました。
私の仲間内でちょっと話題にしたら、重言は案外定着してしまうケースがあるという話になりました。
例えば「排気ガス」はもともと重言で、古くは「排気」か「排ガス」だったそうですが、現在は広辞苑にも載っており違和感はないとか。
私自身が使っている言葉でも「S/N比」は重言かもしれません。「SN比」「S/N」で足ります。
さらに、頻度は少ないですが「HIVウイルス」という言葉も見かけます。HIVのVはウイルスの意味ですから重なっていますね。
公的な文書では「SI単位系」は使われませんが、これから広がっていくのでしょうか。私は今のところ「SI単位系」と聞くと気持ち悪さを感じる派です。皆さまいかがでしょう。
これを機会にSIについておさらいしたい方にコンパクトな資料:
「国際単位系(SI)は世界共通のルールです」パンフレット完成(産総研)
もう少し突っ込んでおさらいできる解説:
量の表しかた(入門講座 化学分析のしかた)(「ぶんせき」2011年2号掲載)
* Le Système International d'Unités の Système の e に付いている綴り字記号は「アクサングラーヴ」、d'Unités の e のは「アクサンテギュ」というらしいです。(これらの文字が表示されない方のために。)
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