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2011.03.06

分析屋 vs 毒性屋2

twitterやブログで本の感想や意見を書いてくださったみなさん、ありがとうございます。
通常のこのブログの更新ペースは月に1、2回ですが、できる限り頻度を上げてお返事書いていきます。twitterの速度と比べたら亀以下になりそうです。すみません。

前記事「分析屋 vs 毒性屋」にuneyamaさん、Nameさんからコメントをいただきました。
それを読んで、ちょっと書いておきたいと思いました。
もしかしたら、広い世の中には次のような専門家が存在するかもしれません。

  • とにかく論文を出したい。研究業績を出したい。
  • 手持ちの実験機材は各種分析装置のみである。
  • (大学の場合)学生に分析技術を身につけさせるのは有意義である。
  • 何らかの毒性があるもので、環境や食品から検出されるものを分析する。
  • 検出したものの危険性を述べる。(論文でにおわせる程度からマスコミ発表するところまでレベルは様々)
はっきりおことわりしておきますが、このような専門家については、私たちの本でいう「分析屋」とは全く考えません。
分析屋はそれぞれの分野で必要とされて、プロとして分析を行っています。化学分析をする人すべてが分析屋というわけではありません。分析は化学の広い範囲で行われます。例えば合成屋さんも様々な分析をやりますが、あくまで合成屋さんです。

上に挙げたような目的で分析をする専門家は、そもそも目的が「研究(成果)」の方にあるので、分析屋と呼ばれたくないでしょう。たぶんもっとかっこいい○○学者を名乗ると思います。
とにかく、「分析しか実験手段を持っていないから必要性は適当にこじつけて分析する」という専門家を「分析屋」の範疇に入れて考えないでいただきたいです。

ただ、本当に人々の幸せにつながると考えて、必要なことを分析する研究者もたくさんいると思います。見分けるのはなかなか難しいかもしれません。

以上のことはNameさんご紹介のリンクを読んで考えました。
2009-12-22 環境リスク研究の周辺に関する私的考察
この「K」というブログは記事が一つしかなくて背景がまったくわかりませんので、これを根拠にして何か言うのは控えますが、「大いにありうる話」と思いました。

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Comments

何かを分析や調査をした結果について,その数字だけ取り上げて大騒ぎし,騒ぐことで小金を稼いでいる人たちが一定数以上存在しているのは,化学物質に限らず放射線や電磁波からゲームにアニメと数限りない分野に跨っているように感じます。
もちろん化学分析を生業としている身としては高感度で再現性の高い数字を出せるとつい嬉しくなって声高らかに叫びたくなるのは本能です。おまけにその数字が現実問題と何らかの相関性を見せたりしたら,さらに声を大きくしたくなります。でも,その数字が独り歩きしてしまったときの危険性については,常に自戒の念を持ち続けなければいけないと思っています。
分析対象とする物質の幅は非常に広いので,その全てについてバックボーンを把握するのは非常に難しいとは思いますが,可能なかぎり広い分野についての知見を持ち続けられるように努力していきたいと思っています。

Posted by: ぷろどおむ | 2011.03.08 04:28 PM

ぷろどおむさん、おひさしぶりですね。

「何か見つけて騒ぐのは悪い分析屋」という話から始まったこのエントリーですが、健康や安全に関わる分析の根幹は、やはり問題になる何かを見つけることだと思います。その可能性が限りなくゼロに近いなら、そもそも分析する必要がないことになります。特に税金で費用がまかなわれている場合は、必要もないことを分析するなんて納税者を馬鹿にしています。

では、問題になりそうな何かを現実に見つけたときにどうするかですが、もちろん分析者が広い知見を持つことは大事なのですが、それ以上に、自分の限界を知って適切な専門家に判断をゆだねることが大事ではないかと思います。もっといえば、分析者が自分で分析するものを決めるようなやり方よりも、計画策定段階から行政やリスク評価や社会科学の専門家と共同で進める方が良いと思います。

Posted by: ここの管理人 | 2011.03.08 11:23 PM

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