「すべて分析化学者がお見通しです!」刊行案内(5)本のタイトル
出版社は、著者が言いわけしたくなるような書名を付けるものなのかもしれません。そういうことばかりではないのでしょうが、少なくとも私はまた言いわけしたくなりました。(前回の言いわけ:「分析の常識」!)
「すべて分析化学者がお見通しです!」・・・って・・・
そんなはずないです。分析でわかることはほんの一部。同業者が見ればしらじらしいと思うタイトルです。
今回の出版社の場合、書名は編集者にすら権限がなく、もっと上の方で決まる不可侵なものらしいです。著者は全く関わっていません。
それでも一面の真実があります。
私は、同じ業界の別の職種の人から「分析結果はウソをつかないからいいですね」と言われたことがあります。私の今いる業界は、よく相手にウソをつかれる宿命の業界です。
そんな中でも分析は客観的なデータを提供します。ゆえに、「すべて」ではないですが、「お見通し」に間違いはありません。
もっとも、自分の技術や分析装置を過信することなく、二重三重の確認をした上での「お見通し」です。事実は一つですが、人間はウソもつくしミスもします。
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