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2010.09.04

質量スペクトル解析「中田マジック」を体験

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関西大学で開催された第124回質量分析関西談話会に行ってきました。今回の企画は中田尚男先生(愛知教育大学名誉教授)を講師に迎え、前半は「有機分子のフラグメンテーションの解析 ― 実例に学ぶ ―」と題して初学者にもわかりやすい基礎の解説。後半は事前に参加者から寄せられた質問を題材にしてフラグメンテーション解読の実習でした。

ある程度の年数質量分析に関わってきた人ならたいてい中田先生のお名前を知っていると思いますが、私は直接講義を聴くのは初めてでした。参加者は約100名とのことで、私がこれまで参加した関西談話会の中で際立ってにぎやかでした。

正直なところ、質量スペクトルの解析というと「理論どおり行かないもの」「すっきりしないもの」「データベースに入れておけばいいもの」という感覚があって、あまり真剣に取り組んだことがありませんでした。
しかし中田先生の講義は、正イオンのフラグメンテーションの反応様式が「不対電子か正電荷か」「単純開裂か転位反応か」によって4パターン(バリエーションは7パターン)に整理され、それぞれの中でも開裂や反応の起こりやすさが順位付けられて説明され、考え方の指針がよくわかりました。

そして参加者からの質問への回答では、質問者自身が考えたフラグメンテーションのどこが不自然か、どのような経路なら自然かが丁寧に解説されました。その一段一段は基礎的でシンプルな原則に基づくもので、なるほどなるほどと思っているうちに、思わぬ酸素原子や窒素原子上の不対電子が四員環や五員環を巻いた先の炭素原子を攻撃して、そして気がつけば、スペクトル上のノミナル質量のフラグメント構造が見事にできている・・・という具合でした。

これが、中田先生が大学で講義しておられた頃から学生の間で有名だった「中田マジック」だそうです。(むかし学生の一人だった方による説明)
主催者から「話の流れをよく理解できるよう、メモは取らずに集中して聴いてください、回答は後日電子メールで送ります」とのありがたいアナウンス。行き届いた気配りです。

会場全体が中田マジックに魅了された3時間半でした。9月になっても終わらない猛暑の中、千里山まで行ったかいがありました。

下駄ばきが涼しそうに見えた「予科青春の像」(ただしマントを羽織っていますが・・・)

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Comments

「中田マジック」と言うのは、もしかして、分かったつもりにさせられる明快な解説のことですか。

Posted by: 中田研究室K | 2011.07.08 at 08:39 PM

Kさん、こんにちは。「分かったつもり」というのは言い得て妙ですね。真実か否か検証するのはたいへんですが、見せられると心地よい、そんなマジックです。

Posted by: ここの管理人 | 2011.07.14 at 06:37 AM

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