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July 2010

2010.07.31

神戸検疫所一般公開

Keneki1
7月30日に 神戸検疫所 の一般公開に行ってきました。午前の部と午後の部があり、私が参加したのは午前の部です。参加者は(正確に数えたわけではありませんが)40名程度でした。NHKなど3局が取材に来ていました。

プログラムは2時間で効率よく業務のあらましを理解できるように組まれていました。

1 歴史資料室(見学)
2 検疫業務(説明)
3 衛生業務(説明)
4 輸入食品監視業務(説明)
5 微生物学的検査業務(説明)
6 理化学的検査業務(説明)
7 信頼性確保業務(説明)
8 質疑応答

という区分けで、見学者は2班に分けられて1~7を物理的に重ならない順序でまわりました。それぞれの説明場所で担当職員の方がパネルや展示物を使って説明され、個別に質疑応答もできました。最後はまた全体での質疑応答がありました。

参加者は大学生くらいの男女と主婦らしき女性が多く、50~60代とおぼしき男性や女子高生もいました。皆さん熱心で、色々な質問をしていました。職員の皆さんも丁寧に答えてくださいました。

私は10年ほど前に仕事でたびたび神戸検疫所へ行っていましたが、その頃と比べて大きく変わったのは、遺伝子組換え食品の検査が行われるようになったこと、信頼性確保業務を担当する部門ができたことです。GLPという言葉を使って一般の人に説明する時代が来たことに感慨をおぼえました。
また、輸入食品に対する国民の関心はさらに強まったことを感じました。大量のパネルや展示物、小型の拡声器など整備されていることから、日頃見学者が多いことがうかがえました。検査担当職員の数も大きく増えています。

一方、各地の検疫所から検査センターへ宅急便で届く検体を毎朝受け入れてバーコードで管理する流れは変わっていませんでした。各試験法の作業手順書が整然とラックに納められていることも同じでした。ただ、作業書の量は10倍近くになった感じがします。

以下は撮影してきた写真です。人が写っているものや内部の写真を載せるのは差し控えますのであまり面白くないかもしれませんが・・・

輸入食品のサンプリング用器具。トング・ピンセット・ひしゃく・簡易秤など。冷凍肉を割って採取するための金づち、のみも。奥の方にある木の柄の器具は「サシ」。これを豆やコーヒー豆の袋に差し込んで中身を採取するとのこと。
温度計は食品の表面温度を測定するものと輸送中の温度管理用のもの。
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輸入食品・検疫検査センターの看板と建物全体
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かつてテニスコートがあった中庭では大規模な工事中。GC、HPLC、質量分析計の台数が驚くほど増えて、広い検査センターも手狭になっていましたから、増築は急を要するだろうと思われました。
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厚生労働省の 輸入食品の安全を守るために のページではわかりやすい動画が公開されています。(トピックスの「輸入食品の安全確保を目指して~検疫所の仕事(動画:約14分)」をクリックすれば始まります。)

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2010.07.27

化学分析員という仕事

夏休みです。高校生にとっても大学生にとっても進路を考える季節。電車や駅では大学・専門学校のオープンキャンパスの広告が目につきます。

私は「分析屋」を自称していますが、あまり認知度の高い仕事ではないと思います。どんな仕事なのか、今回は統計データに基づいて淡々と書いてみます。少しでもこの分野に興味を持つ高校生・大学生が増えて、進路の選択肢に加えてくれますように。

賃金構造基本統計調査
ご紹介する統計は厚生労働省が行っている賃金構造基本統計調査です。平成21年6月分の賃金等(賞与、期末手当等については平成20年1年間)について、7月に調査を行ったものです。下記サイトで公開されています。

賃金構造基本統計調査のページ(厚生労働省)
賃金構造基本統計調査 (政府統計の総合窓口(e-Stat))

賃金の調査ですが、賃金だけでなく、職種別の就業人数・年齢分布・男女比・勤続年数分布なども知ることができます。基本的に民営の事業所のみの数値です。また、農業、林業、漁業の産業は除かれています。
母集団は16大産業の常用労働者5人以上の事業所(全国で約133万事業所)、労働者数は約3,700万人とのことです。この中から一定の方法によって抽出された事業所を対象としているそうです。

職種「化学分析員」
この統計では労働者を約130の職種に分類していますが、その中に「化学分析員」があります。仕事の内容は「役職及び職種解説」に次のように書かれています。

化学分析員
○(含まれる職種) 分析工、試験工
<仕事の概要>
無機化合物及び有機化合物の定性分析、定量分析、容量分析、機器分析等の化学分析の仕事に従事する者をいう。
<除外>
1) 金属材料の引張試験、組織顕微鏡試験などの仕事に従事する者
2) 専ら、分析用器材の製作、補修の仕事に従事する者
検査会社で環境分析・食品分析・材料分析などを行う人、製造業で品質管理のための分析を行う人は化学分析員に含まれると思われます。

化学分析員の人数
この調査は抽出調査ですから、調査した労働者の数ではなく、母集団に対応する数字として推計(復元)した労働者の数が発表されています。それによると

一般労働者(企業規模10人以上)
 男 18,400人
 女 11,570人
 計 29,970人

短時間労働者(企業規模10人以上)
 男  610人
 女 1,080人
 計 1,690人

(10人未満切捨て)

全国には合わせて3万人余の化学分析員がいるようです。
個人的な感覚ではもっと多いような気がするのですが。公務員が除外されること、また、一人の労働者が役職(係長以上)と職種にまたがる場合には役職の方へ分類されることから、実感より少なくなるのかもしれません。また、「その職種の仕事を行うのに必要な技能を見習修得中の労働者で、その都度指図を受けなければ普通の仕事のできないものは、その職種に分類しない」とあります。分析の現場では、このような補助的なスタッフが多いかもしれません。

ちなみに同じ統計で一般労働者3万人程度の他の職種は、一級建築士、診療放射線・診療エックス線技師、各種学校・専修学校教員、電車運転士、旅客掛、旋盤工、オフセット印刷工、金属・建築塗装工・・・等となっています。いずれも極端に珍しくもなくありふれてもいない職種で、何となく納得します。

化学分析員のプロフィール
企業規模10人以上の事業所に勤務する人の平均は次のとおりです。

男性の平均
 年齢 36.9歳
 勤続年数 10.2年
 所定内実労働時間数 160時間
 超過実労働時間数 10時間
 きまって支給する現金給与額 339,500円
 年間賞与その他特別給与額 1,251,700円

女性の平均
 年齢 33.8歳
 勤続年数 7.0年
 所定内実労働時間数 158時間
 超過実労働時間数 7時間
 きまって支給する現金給与額 261,300円
 年間賞与その他特別給与額 754,700円

化学分析員の年齢分布と給与
なぜか男性についてしかデータがありません。(理由はどこかに書かれているのでしょうが、私は見つけられませんでした。)
最も数が多いのが20代後半、次いで30代前半、30代後半となっています。25歳から39歳までを合わせると61%を占めます。

「きまって支給する現金給与額」は40~44歳で最も高く、約46万円となっています。大雑把には、20代前半22万円、20代後半26万円、30代前半31万円、30代後半38万円とカーブを描いて40代前半でピークに達し、あとは徐々に下がる形になっています。
ただし先に書いたとおり役職に就いた人は職種別統計から除外されますから、個人単位で見た場合、40代後半で給与が下がる人が多いわけではなく、昇進しているのだろうと思います。(私の知る範囲でもそうです。)

他の類似した職種との比較
あまり単純な比較はできませんが、給与が最も高くなる年代とその金額は次のようになっています。

自然科学系研究者(男) 50代前半 56万円
技術士(男)50代後半 44万円
技術士(女)30代後半 42万円
薬剤師(男)  50代前半 52万円
薬剤師(女) 50代前半 42万円
臨床検査技師(男) 50代前半 47万円
臨床検査技師(女) 50代前半 36万円
栄養士(女)50代後半 30万円

他の職種では50代で給与が最高になるものが多いです。これは同じ職種のままキャリアを積みながら50代まで勤務できることを意味するのでしょう。
それに対して化学分析員は先に書いたとおり40代で管理職になる人が多いのかもしれません。また、化学分析は近年需要が伸びてきたために若手の比率が高くて相対的にベテランが少ないのかもしれません。
それにしても40~44歳で46万円の給与ということは、他職種と比較してもかなり良いのではないでしょうか。

まとめ
ひとつの統計からの推定ではありますが、化学分析員は概して若手が活躍する職種であることがうかがえます。給与は悪くないようです。
ある程度の年齢で管理職になって現場から離れる傾向があるようですから、マネジメントに向く人はやりがいを感じる一方、ずっと現場にいたい人にとっては、前例が少なくて認められにくく給与が上がらない、といった難点があるかもしれません。

ここでは味気ないデータばかり紹介しましたが、仕事の中身については 私のサイト同業の皆さんのブログ を読んでみてください。

なお、余裕がなくて調べていませんが、化学分析員の勤務先は比較的大きな企業が多い可能性があり、それが給与に関係していることも考えられます。

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2010.07.25

ブログパーツでのニュース表示、ちょっと改善

このブログの右サイドバーに「分析」「化学」のキーワードでヒットするニュースを表示しています。これを設置したのは2年半前(Google News「分析 化学」を表示)のことですが、このほど、ほんの少し改善できました。

これまでは「関連度順」の検索だったため古いニュースがずっと残ったままになりがちで、結局表示されないものもたくさんありました。新しい設定は「日付順」となり、小さなニュースや関連度の低いニュースも次々と流れていきます。やっと本来あるべき表示ができるようになったと言えます。

なぜこうなっていたか、ブログを開設している人の中でも一部にしか興味のないことでしょうが、説明しておきます。

ブログのサイドバーまたは本文に貼り付ける天気予報やゲームや占い等をブログパーツといいます。色々なパターンのサービスが無料で提供されていて、その一つにRSS表示パーツがあります。このブログでは FeedWind を使っています。
一方ニュースサイトの中には、任意のキーワードでヒットする記事をRSSにしてくれるところがあります。Googleニュースもその一つです。
ただし日本版のGoogleニュースはRSS配信に対応しておらず、米国版のGoogle Newsを使う必要があります。その米国版も2年半前は「関連度順」のみRSS配信を行っていました。
ところが最近「日付順」もRSS対応するようになったことにふと気がついたので設定を変更したというわけです。

何しろ私のブログは更新頻度が低いので、せめて自動的に情報収集して表示してくれるサービスを内容の足しにするよう努めております。

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2010.07.17

松永和紀さんの本2冊

Matsunaga2松永和紀さんの近著「食の安全と環境―「気分のエコ」にはだまされない」(日本評論社)を読みました。

この本に興味を持つ人は畝山智香子さんの「ほんとうの「食の安全」を考える―ゼロリスクという幻想」と中西準子さんの「食のリスク学―氾濫する「安全・安心」をよみとく視点」にも興味があるか、または既に読まれたことでしょうから、これらとの関係で内容を紹介してみます。

本のカバー範囲と書き方
「ほんとうの「食の安全」を考える」は昨年末にこのブログでも 紹介 したとおり、食品中の化学物質のリスク評価についての解説書です。「食のリスク学」はリスク論の立場から食の安全を考える本で、講演・対談・インタビュー等で構成されています。

私のブログの読者は残留農薬や食品添加物や重金属等の混入という視点から食に携わっている人が多いと思います。「ほんとうの「食の安全」を考える」はそのような皆さんの関心に応える本です。
でも、言うまでもなく化学物質混入によるリスクは食をめぐる問題のごく一部分でしかありません。
「食のリスク学」は栄養・食料自給率・経済性・市民運動など、色々な視点からリスクとベネフィットをバランスさせる考え方を提示しています。

松永さんの「食の安全と環境」は、さらに網羅的です。地産地消・農薬・化学肥料・窒素による環境汚染・肉食・食品廃棄・食品リサイクル・エネルギー消費・有機農業・遺伝子組換え…等々、ニュースで目にする主要な言葉がほとんど漏れなくわかりやすく解説されています。
著者自身があとがきで「解説すべきことの多さ、あまりの複雑さに頭を抱え苦しみました」と書いておられるとおり、食を取り巻く問題の多さをあらためて感じました。また、持続可能な、あるべき食の姿がどんなものなのか一律の答えが見出せるものではなく、ほどほどのバランスをとっていくしかないこと、より良い答えを見つけるためには消費者が正しい知識を持つ必要があることなどを感じました。
この本は、広く浅く概観できる構成で、入門書としてお奨めです。

エコと安全はカッコ付き?
上記3冊はすべてタイトルか副タイトルにカッコが使われています。いずれも、消費者や一般市民の頭の中にある「エコ」「安全」の中身を問う意味合いです。このへん、環境問題や食の安全問題に関して専門家と市民の間に存在するギャップを象徴しているように思えます。

ところで、タイトルにカッコが入った書名を文章に取り込むときにはちょっと迷います。「 」のままにすべきか、『 』に変えるか。「 」のまま書くならば、タイトル全体をくくるカッコは「 」か『 』か。また、それぞれ“ ”や< >を使うことも考えられますから、組み合わせはかなり多くなります。

私は基本的に「 」のままで、外側も「 」にしています。
「カッコの中でカッコを使うときは『 』を使う」と教わった記憶がありますが、元のタイトルの「 」を勝手に『 』に変えたら、コピペして書名で検索する人は不便を感じるかもしれません。「 」が入れ子になる落ち着かない書き方ですが、まあ仕方ないかなと思っています。

もう一冊の本
本の話に戻って、松永和紀さんの「植物で未来をつくる」化学同人(2008)もご紹介。

Matsunaga1こちらは日本植物生理学会監修の「植物まるかじり叢書」シリーズの1冊です。ゲノム研究・モデル植物開発・スーパーイネ・遺伝子組換えポプラ…これら植物生理学の課題に携わる専門家の素顔と研究内容が親しみやすく紹介されています。

特に私の印象に残ったのは、第4章で紹介されている林隆久さんの中学生時代のエピソード(夏休みの自由研究で自分自身の食べたものと排泄物の関係を調べた)です。詳しいことは本を読んでもらうとして、こんなすごい中学生は見たことありません。
林さんの「経済的な理由により森林は減っているのですから、森林破壊をやめろ、とただ言っても止まるわけがありません。経済効果のある木を植えて大事にしてもらうためにどうしたらよいか、研究者として考えなければならないのです」という言葉は、これだけでもなるほどと思いますが、中学生時代のエピソードと併せて読むと、より真実を感じました。

よく「産直は生産者の顔が見えるから安心」などと言われます。それに対して「遺伝子組換えは大企業が儲けるためにやっているのだから信用できない」という先入観が私たちの間にないでしょうか。

松永さんはフリーのジャーナリストという立場から、遺伝子組換え研究の「顔が見える」を届けてくれたんだなと思いました。
(「顔が見える」というキーワードは 畝山さんの本の紹介 でも使いました。)

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2010.07.03

公開RSSリーダー引越しの顛末

今回の話は、たぶんほとんどの人にとって関心のないことです。類似した悩みをお持ちの人のみ参考にしてください。

私は、サラリーマンとして化学分析に携わる同業の皆さんのブログをRSSリーダーに登録してチェックしています。ブロガーの交流に役立てばと、自分で読むだけでなく「はてなRSS」を使って更新情報を公開してきました。でも先日、6月30日をもって「はてなRSS」は終了してしまいました。

引越し先としてとりあえず「まとめフィード」を選び、4月から試用してきました。経緯は 公開RSSリーダーの引っ越し に書きました。「まとめフィード」のページデザインや表示内容はとても良いと思いました。でも、残念なことに読み込み速度が遅いのです。改善途上かもしれないと考えて3ヶ月間様子を見てきましたが、速度は変わりませんでした。それで、試用してきたページは削除することにしました。「まとめフィード」運営者の皆様、ありがとうございました。

ではどこへ引っ越すか?
一番簡単なのは、自分がいつも利用しているGoogleリーダーのフォルダ「サラリーマン分析屋」を公開してしまうことです。しかし、Googleリーダーの公開ページはほとんどカスタマイズ不能で、RSS情報全文を最新5件だけ表示するのです。
サイトによってはRSSに記事全文、ときには画像も一緒に載せているところがあります。他サイトの内容をそこまで丸写ししたページを公開することには抵抗がありました。また、最新5件だけでなく、更新の滞っているブログも含めてすべてリンクを表示したいと思いました。

その他のサービスも試してみましたが、しっくり来るものが見つかりませんでした。そして最後に行き着いたのが、「はてなアンテナ」の利用という方法です。

はてなアンテナは単純にページの更新をチェックするもので、RSSリーダーのように効率よく概要を抜き出してくれることはありません。ブログには提供元が勝手に広告文字列を入れる場合も多く、そんな更新を拾わないようにするためには個別に更新範囲設定が必要です。つまりRSSリーダーを利用するより不確実でめんどうです。

でも、私にとっては6年以上使ってきたなじみ深いツールですし、ページ構成がシンプルであること、広告がうっとうしくないことなど、私の求める条件によく合っています。総合的に考えて、やっぱりこれかなと思いました。

 つむらのアンテナ
 サラリーマン分析屋
 いろいろつながり

はてなアンテナ自体はRSSに対応していますから、「サラリーマン分析屋」「いろいろつながり」の更新情報をRSS表示パーツでこのブログのサイドバーへ飛ばすことにしました。

そういうことをするなら、はてなを経由しなくても直接表示できるサービスがあるのでは?
と思われるかもしれませんが、私個人のこだわりとして、本館とブログには広告を入れたくないのです。そのへんの事情や、そもそも「サラリーマン分析屋」「いろいろつながり」がどんなリンク集なのかは、サラリーマン分析屋ブログ用RSSリーダー に書いています。

RSS表示パーツ FeedWind はデザインがシンプルで気に入っています。登録は必要なく、きわめて簡単に設置できます。すでに2年半利用していますが(Google News「分析 化学」を表示)、広告はいっさい表示されていません。採算が心配ではありますが、できるだけ今のままであってほしいです。

つまり、
(1)本館とブログには広告を表示したくない
(2)シンプルなページ構成にしたい
(3)長らく更新のないサイトへのリンクも表示したい
(4)新たにIDを取るのは避けたい
という自分なりの要求を満たすために「はてなアンテナ+FeedWind」の組み合わせになりました。こういう条件はあまり一般的ではないかもしれません。

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