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2009.09.23

サラリーマンと商業出版(6)進まなかった執筆

執筆のためには広大な範囲の復習が必要だった。その勉強には通勤時間を利用した。電車内でまあだいたい座れるという時間が片道約30分間、往復で1時間ある。この時間を勉強にあてた。もともとは英語学習に使っていた時間だから、英語力を削って分析化学の勉強をしたと言ってよい。英語力は今でもあまり回復した気がせず、まだTOEICを受けていない。

通勤電車での勉強は寝てしまうこともしばしばだ。それでも耳から聴く英会話の勉強なら、睡眠学習とやらで何か頭に入ったかも?と期待できないこともない。しかし、1ページも進まない専門書を膝の鞄の上に広げたまま降車駅が来るたびに、またやってしまったと思った。

勉強がある程度進んだら、書けるところから執筆を始めた。その時間は休日や就寝前だった。これがまた何故か進まなかった。1項目の文章量は800字程度、内容は決まっているからネタに困るわけではない。1日に1項目は書けるはずだ。全体では約100項目。3ヶ月もあれば書き上げられるはずではないか。
このような単純計算による予測を裏切って、3行も進まない日が続いた。調子よく書けたと思っても通読したら項目間の関連や章の組み立てがうまく行っていない気がして、目次の構成を当初案からごっそり変えたりもした。

出版社というものはもっと原稿の督促をしてくるのかと思っていたが、意外に何の音沙汰もなく放置された感じで、一人で作業していると自分の気持ちの中で本を出すことへの現実味が薄らぐこともあった。
後で知ったが、出版の契約書はほとんど本の形が完成した時点で作成する場合が多く、それまでは口約束で進むものらしい。そんな事情を知らなかった私は、PCに向かっても考えがまとまらないままマウスが遊んでWindows付属ゲームの「ソリティア」を延々プレイすることもあり、履歴に残っている回数は471回だ。
また、執筆に関係ない方向へ興味が向いて精力をつぎこんだりもした。ノイズの話 は最も深入りした例で、ブログに10回も書いてまだ完成していないほどの分量調べたのに、本に反映されたのは

ノイズ幅はこの図のように振れ幅そのものとする場合と振れ幅の2分の1とする場合とがある。
だけ。

本の企画が通ったのが昨年の4月で、半年もあれば本文ができると考えていたのに、御縁のある先生方に査読していただいて全部を入稿したのは今年1月だった。しかし何しろ「図解入門」なので、本文だけでは完了しなかった。

(過去記事にさかのぼって小タイトルを付けました。)

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