ノイズの話(8)日本薬局方は第十五改正第一追補から定義掲載
ここまで見た限りでは、「振れ幅をノイズ幅」にする方法が多数派で、「1/2」にするのはJISの液クロ通則だけではないかと思われたかもしれない。
ところが、平成19年9月28日 厚生労働省告示第316号の第十五改正日本薬局方第一追補から状況が変わったようだ。(「日本薬局方」ホームページ)
第十五改正日本薬局方(平成18年3月31日)の一般試験法「2.01 液体クロマトグラフィー」「2.02 ガスクロマトグラフィー」では検出限界の求め方について言及されていない。しかし参考情報の「8. キャピラリー電気泳動法」に次のように書かれている。
シクナル-ノイズ比
検出限界値及び定量限界値はそれぞれS/N比3以上及び10以上に相当する。S/N比は次式を用いて計算する。
S/N = 2H/hH:規定の標準試料溶液で得られた電気泳動図中の目的成分に相当するピークの高さ、ピークトップから半値幅の20倍に相当する範囲から推定できるベースラインまでの距離を測定する。
h:ブランクの注入後に得られた電気泳動図で、規定の標準試料溶液から得られた泳動図中のピークの半値幅の20倍に相当する時間範囲で、かつこのピークが現れる位置の前後の範囲を観察したときの、バックグラウンドの幅。
図は掲載されていないが、「2H/h」の係数2によって、「バックグラウンドの幅を1/2にしたもの」をノイズ(N)とみなすことが明確にされている。
そして第一追補では液クロ、ガスクロについても検出限界の求め方が規定された。液クロの項で上記キャピラリー電気泳動法と同様の記述に加え、下記のように書かれていて、図も付いている。(イメージを伝えるための津村によるスケッチ。)
なお、基線及びバックグラウンドノイズは対象物質のピーク高さの中点におけるピーク幅の20倍に相当する範囲で測定する。また、溶媒ブランクを用いる場合、対象物質が溶出する位置付近で、上記とほぼ同様の範囲で測定する。

つまり、現在の日本薬局方においては、液クロ・ガスクロ・CEのいずれにおいてもS/N比を規定するノイズ幅は振れ幅の1/2ということになる。そして重要なのは、JISもASTMもIUPACも任意規格であるのに対して、薬局方は強制規格であるという点だ。現在日本国内で使われているガスクロ・液クロのデータ処理ソフトは少なからずASTM法を採用していると思われるが、医薬品分析の現場で不都合は起こっていないのだろうか。
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