アルコールは酒くさくない
TLCの発色試薬としてアセトアルデヒドを使った後、うっかりドラフトチャンバーのスイッチを切って実験室を出た。しばらくして戻り、ドアを開けると・・・くさい!酒くさい。酔っ払いの息のあのにおい・・・
酒類に含まれるエタノールが体内で酸化されてアセトアルデヒドになり、これが二日酔いの原因というのはよく知られている。
私はこれまでにもアセトアルデヒドのにおいを何度もかいできたけれど、酒くささより薬品臭を感じていた。
においについてはわかっていないことが多いが、濃度によって感じられ方の違う物質もあるという。部屋に漂ったアセトアルデヒドの濃度が、酔っ払いの呼気中の濃度に近かったのかもしれない。
そして今さら発見。
「エタノールは酒くさくないんだ」
試薬の99.5%エタノールには、酒類に共通のあのかぐわしさがある。アセトアルデヒドのにおいとは似ていない。「酒くさい」という言葉はエタノールにとって迷惑な表現ではないか。
「アセトアルデヒドくさい」「酒の代謝物くさい」「酔っ払いくさい」などはどうだろう。とても普及しそうにない・・・
ところでアセトアルデヒドは腐食性物質でIARCの発がん性分類は2B。積極的に(消極的にも)においをかいではいけない。
素材:クリップアートファクトリー(リコー)より
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Comments
>酒類に共通のあのかぐわしさがある。
お酒は弱いのですが、グラスとの相性、光と色彩、なにより
かぐわしさ .. は、お酒に必須の要素と思います。
リキュール、スピリッツ系が好きだからでしょうか。
試薬の99.5%エタノールは、注射の前の消毒用より純度が高いですね。
体験してみたくなります。
Posted by: ハニーm | 2008.07.30 06:43 PM
ハニーmさん、こんにちは。
私もリキュール類にはなじみがあります。中学生の頃お菓子作りに凝って風味付け用の小瓶を集めました。
消毒用綿のアルコールにはエタノールまたはイソプロパノールが使われるようですね。
いわゆる「病院くさい」においはイソプロパノールのにおいですが、私は注射のとき、イソプロパノールのにおいは意識しますがエタノールを意識したことはないです。どちらが多く使われるのか、ちょっと気をつけてみるのも面白いかもしれません。
Posted by: ここの管理人 | 2008.08.02 07:33 AM