アルコールは酒くさくない
TLCの発色試薬としてアセトアルデヒドを使った後、うっかりドラフトチャンバーのスイッチを切って実験室を出た。しばらくして戻り、ドアを開けると・・・くさい!酒くさい。酔っ払いの息のあのにおい・・・
酒類に含まれるエタノールが体内で酸化されてアセトアルデヒドになり、これが二日酔いの原因というのはよく知られている。
私はこれまでにもアセトアルデヒドのにおいを何度もかいできたけれど、酒くささより薬品臭を感じていた。
においについてはわかっていないことが多いが、濃度によって感じられ方の違う物質もあるという。部屋に漂ったアセトアルデヒドの濃度が、酔っ払いの呼気中の濃度に近かったのかもしれない。
そして今さら発見。
「エタノールは酒くさくないんだ」
試薬の99.5%エタノールには、酒類に共通のあのかぐわしさがある。アセトアルデヒドのにおいとは似ていない。「酒くさい」という言葉はエタノールにとって迷惑な表現ではないか。
「アセトアルデヒドくさい」「酒の代謝物くさい」「酔っ払いくさい」などはどうだろう。とても普及しそうにない・・・
ところでアセトアルデヒドは腐食性物質でIARCの発がん性分類は2B。積極的に(消極的にも)においをかいではいけない。
素材:クリップアートファクトリー(リコー)より
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