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September 2007

2007.09.23

2007分析展

遅くなったが、8月29日から31日まで幕張メッセで開催された分析展で撮った写真。

2007分析展


ウォーターズが先駆けた超高速HPLCが今後どのように浸透していくのかに関心を払いながら、展示を回り、新技術説明会を聴講した。
どうも今のところ、液クロ関連各社が充填剤の粒子径1.7μmで真っ向から勝負する流れにはなっていないようだ。「従来型のシステムでも使用可能な高速高分離対応ソリューション」を開発コンセプトにしているところが多い。粒子径は不思議に「2.0μm」に集中している。そしてライン内径や検出器セル容量の削減を組み合わせて分離の向上を図っている。
UPLCが登場したとき、これからの液クロは2系統を使い分ける時代かと思ったが、それにとどまらずハイブリッドが色々出てますます複雑になった格好。数年経てば主流がどのあたりになるかはっきりするのかもしれないが、当面の機器更新・新人教育をどうすればいいのか、ちょっと頭が痛い。

2007分析展


2007分析展

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2007.09.02

「ニセ科学」関連・本当の最終記事

この記事は主に、このブログの普段どおりの読者(分析技術者・研究者・アクセス解析に興味のある人・数学の問題を探している人など)に向けて書きます。

「ニセ科学」という言葉をときどき目にしたり聞いたりするようになりました。菊池誠さんの 「ニセ科学」入門 によれば、「見かけは科学のようでも、実は科学ではないもの」だそうです。

私は、分析化学会近畿支部の夏期セミナーで菊池さんの講演を聴いたこと、そして分析化学会の機関誌に柘植明さんが「ぜひ日本分析化学会においても、ニセ科学問題を取り上げていただければ」と書かれたことをきっかけにニセ科学問題に注意を向けました。「化学」4月号の特集「ニセ科学を見抜くための基礎講座」も読んでいました。

そして、ひとことでは表しにくい複雑な経過をたどって「ニセ科学」というより「ニセ科学批判」についてこのブログで約2週間議論しました。

現時点で私自身の「ニセ科学問題の重要性」に対する認識は 5分で伝授できる「ニセ科学」対策 とほとんど変わっていません。世の中には雇用や医療や安全保障や地球環境などをめぐる諸問題があり、それらのニュースを読んだり考えたりする時間を大きくさいてニセ科学問題にまわす必要性を私としてはさほど感じません。(注)

ただ、議論を通じて新たに認識したことが何点かあります。

一つめは、「ニセ科学」に相当する新しい言葉が何か必要な状況になっているということです。根拠不明な健康効果をほのめかした商品が店頭に並んだり、テレビ番組でダイエット効果ありとされた食品が異常なほど買われたりするのをよく見かけるようになりました。
かつて「オカルト」や「霊感商法」の言葉が作られたように、これらの現象をさす新しい言葉は必要だと思います。

マイナスイオン批判で有名な安井至さんは「科学的な根拠もないのに科学的と謳ったものが商業主義と結びついて一線を越したもの」を「商業主義的疑似科学」と呼んでいます。(「化学」2007年4月号p.13)
「ニセ科学」は商業主義的なものだけを指すわけではありませんが、「商業主義的疑似科学」よりも短くわかりやすい言葉です。より一般的に使われてきた「疑似科学」の語には「趣味的にウォッチングする対象」「科学史の題材」のイメージがあり、マニアや専門家向けという感じがします。
生活の中で普通に使う名詞として今のところ「ニセ科学」が最もぴったりするように思うので、私も使うことにしました。(将来別の言葉が普及すればそちらを使うかもしれませんが。)

二つめは、個々のニセ科学についてニセ科学だと言ってほしい、なぜニセ科学なのか説明してほしいという一般市民からの強いニーズがあるということです。私自身、自分の専門から離れた分野については同じように思います。特に、価格の張るものを購入する場合や健康不安を抱えた場合などは真剣に情報を探すでしょう。

三つめは、個々のニセ科学について責任を持ってニセ科学だと言うには相当覚悟が必要ということです。約8年間、水関連を中心に怪しい宣伝の批判活動を行ってきた apjさんのコメント では、

> やって(社会的)意味のある批判は、法的紛争に直結していますので、最後は法廷に出て訴訟に対応する覚悟のある人しかやっちゃいけないんです。

と述べられています。

では、このような状況の中、科学の専門家としてはどうすればいいでしょうか。

まず、ニセ科学に加担はしない。これは当然のことでしょう。個々のケースでは色々言い訳があるかもしれませんが、一般論として加担してもよいと考える人はまずいないと思います。

次に、ニセ科学を広げないために何かするか。これは、何かできる条件の有無と共に、ニセ科学蔓延をどの程度深刻なものと考えるかにかかっているでしょう。このブログに書き込まれた皆さんは、相当重く受け止めておられるようです。ニセ科学蔓延そのものが問題というだけでなく、その根底に何か重大な問題があるとのお考えです。(「病理」等の言葉が使われたコメント:菊池さん柘植さん田部勝也さん

私にはそれほどのことと思えません。もともと日本人は(あるいは人間は)そんなに科学的な思考法ばかりで日常生活を送ってきたとは思えません。
ニセ科学が増えた要因としては、「物質的に充足されて商品の差別化が求められるようになった」「人口の高齢化で健康不安を抱える人が増えた」「購買力を持つ層が高年齢側にシフトした」等が考えられると思います。
また、「(ニセ科学に手を貸す)科学者・技術者の倫理意識の低下」はあり得ますが、apjさんのコメント にも述べられたとおり、ニセ科学問題とは別枠と思います。

しかし、「深刻な病理であると考えて個別のニセ科学の批判活動をする科学者たちがいる」、これは私が認識を新たにした点の4つめです。
私自身はその危機感を共有できませんが、このような問題では直感レベルでの皮膚感覚の差のようなものもきいてくるでしょうから、ニセ科学批判活動が世の中にもっと知られれば、同調する人は増えるのかもしれません。

それと、ニセ科学批判活動をする皆さんが人間的に信頼できるかたたちで、真剣に討議を重ね、色々な角度から考察した上でやっておられるということを、今回の議論で感じ取りました。

ところが、畝山さんのコメント で指摘されたとおり、このブログで私が書いたことはニセ科学批判に対してネガティブな印象を与えるものになっています。(注:畝山さんの書き込みの中に「背中から撃つ」という言葉が出てきますが、今回の件以前には菊池さん・柘植さん・apjさんと私との間に接点はありませんでした。)

真面目な活動を妨害するのは全く不本意です。また、私自身も科学でないことが科学のように語られること自体は気分が悪いです。訴訟まで覚悟して個別のニセ科学を批判する科学者に対しては、何か力になりたいと思います。

そこで「5分で伝授できる『ニセ科学』対策」以後の記事の冒頭にリンクを付けて、初めての読者をこの記事へ誘導するようにします。

まだニセ科学及びニセ科学批判についてよく知らないというかたにお知らせします。

私がこのブログで書いたいくつかの記事及びそれらから派生した議論は、ニセ科学問題を知るための入り口として全くおすすめできません。田崎晴明さんの 「水からの伝言」を信じないでください を読まれることをおすすめします。(ブログのサイドバーにもリンクを入れておきます。)

私のニセ科学関連記事を読むかたは、まず 津村による鍵コメント を読んでください。これを読んでおかないと意味すらわかりません。(しかし、繰り返しますがあまり役に立つことは書いていません。)

「私以外への批判コメント禁止」の自己規制にこだわったため、無駄な議論に皆さんの時間を使わせてしまったことを重ねてお詫びします。特に、オフラインでの講演の内容に否定的に言及したのはアンフェアでした。この部分は私が受けた印象を拡大して書いていますので、読まれるかたは注意してください。(しつこく繰り返しますが、読む価値はあまりありません。)

粘り強く丁寧に議論を続けてくださったみなさん、どうもありがとうございました。

付記(主に分析化学会関係者向け)

1.柘植さんが分析化学会の機関誌で呼びかけようとしたことは、柘植さんのコメント によれば「学会が社会に対して『これはニセ科学』とか表明する様な事ではなくて、もっと内向きな会員内の意識向上の様な活動」だそうです。

2.ICEさんのコメント に「『マイナスイオン製品』に関してBBSなどで議論していると、批判派の方から「危ない人」と思われてしまうことがあります」と書かれています。河合さんが機関誌に書かれた意見と共通する観点でしょう。すぐ下に菊池さんからの回答があります。

(注)
これは、「生活者としての私」が「自分の生活を守るために」どんなニュースを読んだり考えたりしたいかという意味です。ふだん接する新聞やテレビや日常会話から伝わってくる危機感が大きいものを並べました。この注を書いた経緯は、この記事のコメント欄をお読みください。全部読むお時間のない方は apjさんのコメント をお読みください。

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