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2007.01.06

自治体による残留農薬検査数が比較される時代

 本日(1月6日)の産経新聞大阪本社版に「再考 食の安全と安心 第四講 食品の監視どうやって?」という記事が掲載されている。その中にある「近畿の各自治体が行う残留農薬の検査(平成18年度)」という表に驚いた。

 近畿6府県と11市による市販農産物検査の「検体数」「農薬の種類(平均)」が書かれている。
 検体数は高槻市の11検体から大阪府の310検体まで。農薬数は東大阪市の20種類から兵庫県の400種類まで。
 一方、国は全国8検疫所において通年で447種類、22,792検体の輸入農産物モニタリング検査を実施とのこと。

 この記事は「紙上ゼミナール」として現役の大学生がフィールド調査結果を報告する企画だ。つまりここで紹介された内容は教材として取り上げられたものである。新聞社としての意見は掲載されておらず、学生の意見が付けられている。

 それにしても公的機関の残留農薬分析がこのように数で比較される時代が来たのかと認識を新たにした。検体数と農薬数が多ければよいというわけでなく、分析の質ももちろん重要だ。「分析の質」は今後どのように報道されていくのか、注視していたい。

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分析化学/化学分析」カテゴリの記事

Comments

「分析の質」とは、分析技量のことも対象ですが、何を検査するのかという情報収集力と分析力も「質」に該当すると思います。検疫所の検査は確かにレベルアップしていますが、実際に海外で使用実績のある農薬を的確に検査できているかというと疑問に感じる点があります。特に輸入実績の多い中国、東南アジアの使用農薬で漏れているものが見られます。ポジティブリスト制施行の際、意見を募集しながらもそれを生かし切れていないのはどうかと思っています。
違反報道の内容には苦笑しますが、中国生産農薬の質には憂慮しています。また、悪質なコピー商品である農薬や健康食品(医薬品)のように検査逃れの目的(特許逃れも)で農薬成分の構造を若干いじるケースもあります。中国への農薬の規格の厳格化と違法農薬の取り締まりを要求し、またそのような農薬成分こそしっかり検査をしないといけないと考えます。今後いつかこの問題は表面化し、対応されるようにはなると思いますが・・・

Posted by: 派遣 | 2007.01.31 11:51 PM

農薬の種類まで考えたモニタリング計画を世論が要求するようになれば、検疫所も対応するのでしょうね。

検疫所には国民の目が集まります。私が入省した昭和末ごろから、輸入加工農産物の野積み、ポストハーベスト、チェルノブイリ後長く続いた放射能汚染食品、中国産野菜、ポジティブリストと、理化学系だけでも問題が絶えることはありませんでした。

国会質問で答弁しやすい「検査率」がどうしても重視されてきましたが、数を確保できた後には質の話になっていくと思います。モニタリング項目に入っていない農薬の検出事例・使用事例が増えれば、その流れは加速するでしょうね。

Posted by: ここの管理人 | 2007.02.03 08:25 AM

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Tracked on 2007.01.07 12:03 AM

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