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2007.01.08

分析屋と「格差社会」2

 分析屋と「格差社会」 に関連した記事を書かれたブログがあります。派遣社員@食品業界駄目社員はむの日記 です。それぞれを読んで感じたことを書きます。

格差(派遣社員@食品業界)

 書き手のmiraさんは食品メーカーで派遣社員として微生物検査メインの品質管理をしています。仕事内容の二極化は進んでいると感じるけれど、それ自体は悪いことと思わない、自分には現在の仕事が合っているし充実感もあるとのこと。ただ、将来への希望についてはこんなことが。

派遣社員であることが原因で希望が持てないということははっきり言ってしまうとあります。

いつまでも雇用してはもらえない、とか。

派遣業界で有名な「35歳限界説」のことも脳裏をよぎる。35歳限界説というのは、文字通り、35歳過ぎたら紹介してもらえる仕事が極端に減るという説。

今の職場は目的があるため来年辞める予定ですが、派遣社員そのものは続けていくことになると思われるので、気にはなっている。

(中略)

私が知りたいのは、この説が派遣で働く人すべてに当てはまるのか、当てはまらない職種もあるのか、だとしたら私が関わっている職種はどうなのか、です。

 私が 分析屋と「格差社会」 で試みたのは、雇用問題は別として、志の持ち方で前向きになれる方法を考えてみることでした。けれども、やはり雇用の話と切り離して語るのは相当無理がありそうだと思い直しました。
 例えば分析業務に関係する資格を取るにしても、それらの資格取得によってステップアップできる見込みがなければ希望は持ちにくいですね。ステップアップどころか現在の仕事をそのまま続けられるか否かさえ不確かという状況では、努力の方向性自体を定めるのが難しいと思います。

 見通しを持つためには「前例」の蓄積が必要ですが、現在のような雇用情勢になってまだあまり年数が経っていないため、前例がない=見通しがつかないことになります。これは個人にとって非常にストレスフルな状態でしょう。社会環境が変化する時期には前例を切り拓かなければならない世代が出てくるものですが、生まれた時期によって否応なくそういう世代になってしまうのは、運・不運として片付けるには重すぎる現実だと思います。

 とはいえ、個人でできることは、やはり前向きで誠実な努力ということになるのでしょうが・・・。

分析に限らず、日本企業の研究所って”格差社会*1”の縮図なのかも・・・(駄目社員はむの日記)

 はむたろうさんの職業は「ヘタレ技術論者(物化系) 」だそうです。
 こちらは仕事内容の二極化をややネガティブにとらえた見方。

僕も分析屋のハシクレだけに、頷ける点が多いと思った。分析分野でも、技術自体の開発の真っ最中なら現場は理論屋・技術屋だけで十分だけど、現場にルーチンな仕事が増えてくると「ルーチンで忙しい→ここしばらくだけ"手"が欲しい→派遣さんを一人下につけてください」となっちゃうのは、仕方のないことだが現実だ。

 日本ではまだそうなっていないけれど、諸外国では自分の論文で使っている分析手法を実際にやったことがない研究者がいるといった例が挙げられています。

 これは二極化の上のほうにいる人の見方ですね。
 日本人の仕事観として、偉くなっても下積み時代を忘れないとか現場を大事にするといったことがあると思います。そういう風土は日本人の仕事の質を高めてきたと思います。二極化はその風土を破壊するのではないか?(はむたろうさんはここまで書いていません。私の読み方です。)

 こういう議論はあまり見かけませんが、心に留めておくべき視点だと思いました。


 2007/1/14 追記

分析屋の仕事に格差は存在するか(@201)

 分析の職場からの詳しい報告です。かなりきちんと人事管理をしている会社のようです。

基幹職群が専門職群への職群転換を望めば、試験を受けて移動することが可能ですし、基幹職群の中で経験を積んで管理社員になることもできます。また、派遣社員の場合、最大雇用期間は3年ですが、会社側、派遣社員側の双方が望んだ場合、正社員になることが可能です。実際これで専門職群社員になった先輩がいます。私の受けた印象では、本人の努力次第だと思います。

 制度として整っていて前例もあるなら見通しを持ちやすいですね。


今日のぐるぐる(修行な日々)

 化学分析とは関係のない会社の例です。日本企業ではないようです。

 とはいうものの、うちでは意外とみんな自分でやります。HDD 交換とかを自分のチームの下のスタッフにやらせるなんていうことはまずありません。「僕は上司で偉いんだもん。雑用は下っ端の君たちがやりなさい」的な人にはまず管理職は勤まりませんしね。ただ、ルーチンワークに関しては専門の人がやる事が多く、これに関しては日本企業よりずっと徹底しています。責任の分解点的意味合いも大きいかな?

 はむたろうさんの日記にもあったとおり、諸外国では以前から分業が当たり前のようですね。

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分析化学/化学分析」カテゴリの記事

Comments

不二家に見られるように検査結果が悪くても回収もされないケースを見て、検査をする側の意見や結果を吸い上げようとする姿勢が薄利多売の食品企業では難しくなってきているような気がします。
特に細菌検査は派遣が多くなって、衛生管理のいい教育になる検査を正社員には与えなくなり、派遣はと言えばいつクビを切られるかビクビクして仕事している状況では、衛生管理のシステムも意識も低下します。
行政の指導を強化した方がいいような気がします。

Posted by: 派遣 | 2007.01.13 at 07:04 AM

派遣さん、コメントありがとうございます。

定型的な繰り返し作業には、かなりまとまった期間従事してみないと感覚としてわからない精髄といったものが含まれていると思います。正社員もおそらく研修等で検査の現場を体験するのでしょうが、それだけでは体得できるまでは行かないのでしょうね。

Posted by: ここの管理人 | 2007.01.14 at 09:40 PM

不二家の報道の中で、検査員が未経験者であり、「マニュアルにはない「無限」との表記は、細菌数が300個を超えたサンプルに記していた」そうです。
検査している立場として耐えられません。行政指導による検査員のレベルアップとかはできないのでしょうか?

Posted by: 派遣 | 2007.01.19 at 11:12 PM

不二家に対して山崎パンと森永が衛生管理技術で協力する動きだそうですね。コストを落として衛生管理をずさんにすれば、結局信用失墜という形でコストを支払うことになることが示されたわけで、できれば税金を使わずに企業が自覚的にきちんとしてくれればそれに越したことないですね。

Posted by: ここの管理人 | 2007.01.21 at 09:51 PM

ご無沙汰しております。
派遣社員@食品業界はさまざまな事情があって閉鎖しました。
この記事に紹介していただいた時点では私も26歳でしたし、「ずっと派遣でも悪くない」「私には合っている」と本気で考えていたのです。

しかし、そういった考えは派遣としての契約を交わして1年くらいが限界でした。
検査だけの毎日は正社員との差を感じるばかりで苦しくなります。自分の些細なひとことが正社員の機嫌を損ねることもありました。そして私は「契約に響くし」「どうせ辞めるんだし派遣先がどうなろうと関係ない」と言い訳こねて何も言わなくなったのです。
派遣は先月辞めました。現在、以前の派遣先とは関係ない食品会社と正社員で入社する話を進めています(内定は頂きました)。

ここを拝見している方に派遣で働いている方はほとんどいらっしゃらないと思いますし、個人的に派遣はおすすめしません。それでも派遣をしたいなら私から言えることはこの2点です。

・派遣先企業は誰もが知っている大きい会社にする(正社員面接でも中小企業ならある程度はったりがきく)
・派遣をやっている間に自分が将来正社員で何をしたいか考えておく(もちろん派遣の裁量以上のこと)

この点をおおまかでも考えないとおそらく派遣から正社員にはなれないと思います。

Posted by: miraの人 | 2008.04.09 at 01:52 AM

miraさん、お久しぶりです。
ブログが何ヶ月も前からURL不在だったので、どうされたのかなと思っていました。miraさんのブログ開設中は世間で食品偽装・内部告発等がどんどん話題になった時期と重なり、時宜を得たコンテンツだったと思います。それだけに書きにくい場合も多いのではと感じていました。

この記事は1年3ヶ月前のものですからね。その間にお考えが変わったんですね。
二つの教訓は体験から出ているだけに説得力がありますねー。

mixi の「機器分析コミュ」で「あなたの雇用形態は?」というアンケートが行われており、現在約200名が回答しています。
「学生」や「現在分析にはかかわっていない」等を除くと150人で、その中で正社員115、派遣社員29、パート・アルバイト6人です。
mixi の特定コミュに参加する人という偏りのあるサンプルですが、分析の仕事をしている派遣社員のかたはやはり多そうですね。

会社の業務内容の改善に口をはさめないと、向上心のある人ほど誇りややりがいが損なわれることでしょう。正社員になられたら少しずつ地歩を固めて良い仕事をしていってください。
(去年のアドレスにメールもさせていただきました。)

Posted by: ここの管理人 | 2008.04.09 at 11:04 PM

レスとメールありがとうございました。
メールは届いてましたので返信は必ずさせていただきます。
閉鎖した頃は、業界の不祥事よりも職場の人間関係がきつくて荒れていたのがそのままページに出ていたのが嫌で閉鎖したのですよ。
今後、ブログ自体は派遣からの転職日記という形で復活したいと思っていますので、時間はかかるかもしれませんが、もしもそのブログができた日にはトラックバック等でお知らせ致します。

Posted by: miraの人 | 2008.04.11 at 12:55 AM

そうでしたか。人間関係でしたか。

雇用形態の問題は、マクロには主に経済格差や勤労観の変化などとして議論されますが、個々の現場では人間関係が一番大きいような気がします。

新しいブログ作られたら訪問させてもらいます。派遣で働く人・派遣社員を雇用する人・どちらにも有用な経験談になりそうですね。
とりあえず今は新しい仕事と職場に全力投球してください。

Posted by: ここの管理人 | 2008.04.12 at 09:13 AM

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