日本化学会の化学アーカイブズ事業
日本化学会 が 化学アーカイブズ事業 を行っている。「化学に関する貴重な資料の有無を調査し、その情報をデータベース化して会員の方々のご参考・利用に供すること、さらには、将来、化学資料室あるいは資料館とも言うべき『化学アーカイブズ』の設立」が目的とのことだ。
化学会会員の退官(退職)記念集・追悼記念集などの寄贈、歴史的に貴重な写真の貸出を特に重点的に協力要請している。
私は化学会の会員ではないが、この趣旨には賛同する。国立医薬品食品衛生研究所の「大阪支所創立50周年記念誌」を寄贈したいと考えた。といっても、自分は1冊しか持ち合わせていないので、最後の支所長を務められ、記念誌の編集委員でもあった 外海泰秀さん に寄贈をお願いして1冊預かり、化学会へ郵送した。
正直なところ、この記念誌が化学アーカイブズ事業の収集範囲に入るのか否かは微妙だと思っていた。協力要請文から、事業の主眼は有機合成を核とする純粋な化学の歴史に置かれているとの印象を受ける。国立衛研のように応用的な業務内容の機関は、化学の歴史の中心からはかなりはずれているだろう。
でも公的な機関の記録であるし、古い写真も多数含まれているし、支所は既に廃止されていてこの記念誌の入手は今後非常に困難になると考え、寄贈することにした。
送付後まもなく、化学アーカイブズ小委員会委員長 植村榮氏の名で礼状が届いた。収集した資料はデータベース化し、機関誌やホームページを通じて公開するそうだ。
時が経つにつれ存在すら忘れられるはずだった書籍に、利用される可能性が開けたように思う。
この事業はもう少し目立ってもいいのではないかと考え、ここに紹介する。
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