ブログで書いたことが原因で解雇された社員
ちょっと最近、ネット上の情報にうとくなっている。すでに一回りしてしまった感じのニュースだが、このブログのテーマに照らしてはずせないので書いておく。
あらきけいすけさんの日記(9月13日付け) で知った 個人ブログが「やぶ蛇」に--ネット企業が社員を解雇(CNET Japan、9月1日付け)の記事。
Friendsterが米国時間8月30日、個人的に付けているBlogの内容に問題があったとして、従業員の1人を解雇した。同社は、オンラインソーシャルネットワーキングという新しい分野を開拓し、仲間うちでの自己表現を促進していることで有名な企業だ。解雇されたのは、カリフォルニア州サニーベル在住のウェブ開発者Joyce Park(35歳)だ。同氏は、個人的に書いていたBlog「Troutgirl」の内容が許容範囲を越えていると、30日に上司から告げられたという。また、最高経営責任者(CEO)Scott Sassaの決断だということ以外、解雇に関する説明は会社側から得られなかったと同氏は述べている。「解雇される前に、私がBlogのなかでFriendsterに言及したのは、3回だけだ。3回とも、一般に公開されている情報しか掲載していない。Blogをつける場合の社内規定もなかったし、(自分の行為について)事前に警告があったわけでもない。Blogの記載を取り下げるように言われたこともない」(Park)
Friendsterの広報担当Lisa Koppは、従業員の人事についてはコメントしないと述べている。
「一般に公開されている情報しか掲載しない」のは、私がとっている方針でもある。それでも問題が起こるのか?具体的に、どんな情報だったのか?会社側は説明していないが、記事にはこうある。
Parkによると、同氏はそれまでJava J2EEで書かれた同社のウェブサイトをPHPに書き換えるため、今年1月に同社に採用されたという。新しいサイトは6月から運用が開始された。同社ではサイトのリニューアルについて大々的に宣伝しなかったが、外部の人たちのなかには、ウェブサイトのファイル拡張子が変わっていることに気が付いていた人も多い。ちょうどその頃、Parkは自身のBlog「Troutgirl」のなかで、Friendsterの以前のサイトは処理が「遅かった」と述べた。このコメントは、すぐにハイテクマニア向けの情報交換サイト「Slashdot」で取り上げられた。さらに8月には、このことがInfoWorldの記事のなかで書かれることになった。また、Parkは近ごろ、ソーシャルネットワークはもっと進化すべきだといった内容のコメントをBlogに掲載している。
つまり、解雇された人がブログで書いたのは、自分の会社のリニューアル前のウェブサイトの処理が「遅かった」ことと、自分の会社が手がけているサービス分野が「もっと進化すべきだ」ということらしい。「遅かった」発言はメジャーなサイトで取り上げられたからある程度影響があったのだろうし、「進化すべきだ」のほうは、おそらく根拠=現状に対する批判を含んでいたのだろう。
私は 「組織の人のblog」過去ログ の中で、組織の人のblogが問題になるとすればどんな場合が考えられるかについてまとめを書いた。今回のケースは、「たとえ既に公開されている情報であっても、組織として実施した事業内容に当事者の立場で言及するのは情報管理上好ましくないとして問題視される」というのに当たりそうだ。単に「言及」でなくネガティブな評価を述べたらしい。
会社側がとった「解雇」という措置について論評はしないが、こういう事例があったことは心にとめておこう。
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Comments
解雇されたというのは珍しくないし、会社からアクセ制限するとかキーローガーを入れるとかは常識となりつつあります。
だとすると何が問題か?書いた側(解雇されて社員)にとって「問題になるまい」という判断で書いたものが、会社にとっては解雇に直結したという双方の落差の問題なのだろうと思います。
ただ、この手の報道で非常に問題だと思うのは、この程度問題というアナログな説明が面倒だからなんだか知らないけど「blog に書いた→クビ」のようなデジタルな記事にしちゃうことです。
別にネットの利用でなくても、仕事場のボールペンを持ち出して、クビになったとか以前からあるわけで、これは一種のリスク管理の問題じゃないでしょうか?
たまたま、インターネットは最近の技術だし、見張るのも大変だというだけの理由で見過ごされてきただけのことだと思います。
何を問題にするのか?は良く検討する必要がありますね。
Posted by: 酔うぞ | 2004.09.14 10:02 AM
酔うぞさん、コメントありがとうございます。
アメリカと違って日本では、ブロガーの大多数が匿名で、勤務先のことにはあまり触れないようにしていますから、そういう人たちには「blog に書いた→クビ」のようなデジタルな記事として読まれても不思議ではないと思います。
「程度問題」に気を配る必要があるのは、きわどいネット活動をしている人たちですね。私はそういう一人なので、このような事例があれば収集して、「程度」を見極める材料にしていくつもりです。
Posted by: ここの管理人 | 2004.09.16 03:53 AM