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2004.09.01

自分の発言ログを管理する目的

 前の記事「自分の足跡を管理する」では、発言ログを管理する「方法」について述べましたが、管理する「目的」には全く触れませんでした。そこへ 酔うぞさんからコメント をいただいて、念頭に置かれている目的が私の想定とはかなり違っていたので、面白いなと思いました。
 酔うぞさんが想定する目的とは、「ネットで別人格を表現する」 あたりにあるようです。なるほど。意識的・無意識的に別人格になっている人って、多いかもしれませんね。たしかに、別人格を演じるならそれなりの注意を払わなければならないでしょう。特に性別や年齢や立場を詐称(までは行かなくても、読者の勝手な想像を誘うような書き方を)している場合などは。
 別人格を演じるのは疲れるし、長続きしませんよ、「自然体」が一番・・・というのが酔うぞさんの御意見です。

 私のブログは方法論だけ書くようにしていて、目的にはあまり触れないようにしています。「目的」は個人個人の価値観と密接に結びついていますから、目的そのものに対していいとか悪いとか評価したら、ネットでは過敏な反応が返る場合もあるからです。それと、他人の「方法」は参考になっても、「目的」はすぐには参考にならないことが多いです。

 けど、今回だけはちょっと口をはさんでみましょう。私は、「別人格を演じる」人がいるのは理解できるし、そういうのもまた楽しいと思います。
 匿名で表現されている人格はすべて、現実にはまったく存在しない可能性があります。大多数の匿名の人は、身元が割れるのを警戒しつつも、リアルの自分に結びつくかもしれないリアルな情報を提供しているでしょう。リアルさがない情報は、書いても読んでも魅力に乏しいものですから。でも、現実としか思えないリアルな人物像でありながら、実は虚構なのかも・・・と想像すると、真剣に読む自分がばかばかしくなったり、これが作り事だとすればすごい筆力だなーと感心したり。
 こんな余地を残しながらコミュニケーションできるのも、ネットの面白さではないでしょうか。「別人格を演じる」目的にも、発言ログ管理の方法論は役に立つと思います。

 ところで、「発言ログを管理する目的」、私の場合を書いておきます。
 「仕事の上で差し支えのある情報」「不正確な情報」「個人情報」を流してしまうのを防ぐため。それと、「発言相互の矛盾(分析屋としての信用に関わる)」を避けるためです。たとえば、過去に書いたことと一見矛盾することを書く場合、なんの説明もせずに書いてしまうことはしたくない。前のときとはどのように観点が違うか述べたり、実際に考えが変わったのであれば、変わった理由を述べたい。過去の記述に認識不足や間違いがあれば、訂正したい。そのために、自分の過去の発言は管理できるところに置いておきたいです。
 この際、前に掲載していた内容を痕跡なく消してしまうのは避けています。取り消し線や追記を使って、どこをどう修正したか示すようにしています。トラックバックいただいた 自サイトで書く (d-mate weblog)で、こういう御意見が書かれています。

もちろん、管理下にあるからといって、むやみに過去に公開したコンテンツを書き換えたり削除したりするのは好ましくないだろう。逆の立場に立ち、自分が言及したコンテンツが突然正反対の意味に書き換えられたりしたら、不快どころではない。
 これはまったくそのとおりだと思います。

 もうひとつ、「自分の発言ログを管理する目的」として読まれたくない相手に見つからないようにしておくためというのもあるかもしれません。たとえば、こっそり書いたつもりでも、あとでそのページへのアクセスが思いがけず増えた場合は削除するとか。
 まあ、そういう目的のためにも発言ログ管理は必要でしょうが、「絶対読まれたくない相手がいる内容は公開の場で書かないほうがよい」と私は思います。

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インターネットで情報の信頼性の前提は発信者を信頼出来るかだろうが、その仕組みはどうすれは可能なのか? [Read More]

Tracked on 2004.09.02 10:17 AM

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