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2004.08.28

自分の足跡を管理する

 ネットでの危機管理の一環として、「自分の発言ログの管理」について考えてみる。

できる限り自サイト内で書く
 コメントとトラックバック、私は圧倒的にトラックバックのほうが好きだ。最大の理由は、自分の発言ログを管理するのが容易だから。
 ブログに限らず個人サイトの開設者が自サイトを広く知ってもらいたいと考える時、「関連のあるサイトをまめに訪問して掲示板に書き込む」のは、非常に有効な手段だ。私も本当は 分析化学のページ を宣伝するために書き込みたいと思う掲示板がいくつもある。しかし、実際にはほとんど書き込んだことがない。
 いったん書き込んだら何か反応があるかも知れず、その後しばらく訪問する必要がある。また、書き込みを削除・訂正したいと考えても自分ではできない掲示板が多い。自分の管理できない場に書くという行為は、かなりストレスを伴うものだと思う。
 何より、広いウェブの世界で自分の足跡があちらこちらに散在していて、どこで何を書いたか自分でも思い出せなくなる・・・という状態が私は怖い。そんなことはちっとも怖くない人もいるかもしれないけれど、とにかく私は落ち着かない。
 ブログを使い始めたとき、「トラックバック」という仕組みに感激した。自分の発言を自己管理できる状態で掲載しながら、他サイトとの関連が付けられる。望んでいたものの一つが得られたと思った。

他サイトの掲示板・コメント欄で書くとき
 そういうわけで私は他サイトに書き込むことは滅多にない。でも、礼儀や社交上、必要を感じたら書き込む。その場合、中身のあることはできるだけ書かないようにしている。(と言ってしまったら、今までに書き込んだサイトのオーナーの皆さんに失礼かもしれませんね。すみません。)議論になりそうなこと・専門的な情報を提供することは自分のサイトでやって、URLだけ書きに行きたいと思う。
 それでもなお中身のあることをよそで書きたい場合はどうしたらいいか?
 三中信宏さん と最初にお話した時に「できる!」と思った。三中さんは 私のブログでコメント すると同時に 自分の日録にコメントを転載 なさった。これは自分の発言ログの管理法として参考になる。

どう名乗るか
 他サイトでどう名乗るかは、ひと悩みしてしまう問題だ。
 以前から、漢字でフルネームを名乗るのはやめようかと考えていた。このほどの 図形問題 で、いよいよもうフルネーム発言はやめることにした。いまGoogleで私の氏名を検索すると1,000件以上(*)ヒットする。この中に、自分自身がいくつかのブログのコメント欄で名乗った氏名が含まれている。仕事の関係者などが私の氏名で検索した場合にどんな印象を受けるか考えると、やはり相当まずいような気がする。
 こういうことになるだろうなと思いつつフルネームを名乗ってきたのは、「なりすまし」を警戒してのことだった。例えば他人がどこかで「分析化学のページの津村です」「技術系サラリーマンの津村です」などと名乗った場合、私には発見のしようがない。常にフルネームを名乗るようにしておけば、そういうことを抑止できるのではと考えた。(検索で発見できるから。)
 しかし、「なりすまし」を監視するためには、よそで書くときは必ず自分のURLを添えるようにして、自サイトでリンク元解析するほうが有効だと思われる。特にココログの場合は 訪問者フレンドリーなアクセス解析 が用意されている。でも、利用できるプランに変更するには月450円かかる。私の場合、そこまでするほど「なりすまし」の恐れがあるとは思えない。今後は「つむらゆかり」とひらがな表記で名乗ろうかなと考えている。
 ハンドルネーム使用の場合も、「検索で他に見つからない名前」にするか「よくある名前」にするかで、自分の足跡管理の方法は違ってくると思う。

アーカイブされていく情報に注意
 いったん書いたことを後で考え直して削除した・・・という場合も、Googleのキャッシュには約1ヶ月間保存される。そして、それが消えても、Internet Archive には残っている可能性がある。
 自分の関係するサイトは(特に何らかの事情で削除した情報があれば)アーカイブ状況をチェックしておくほうがいいと思う。いつの時点のページが保存されているかは、下記のようなインデックスで確かめられる。("Enter Web Address:"窓にURLを入力する。)
本館(分析化学のページ)のアーカイブ
このブログのアーカイブ

 ところで、Googleのキャッシュは1ヶ月で消えるけれど、Googleのイメージ検索 はなかなか消えない。私は前の職場で作成していた自己紹介ページで、深く考えずに自分の写真を公開していた。ページを削除した後も半年間ほど、この写真は私の氏名によるイメージ検索で出てきた。やっと消えた時はほっとしたものだ。
 この写真、Internet Archiveには残っている。今はまだ日本語検索はできないけれど、できるようになったらイヤだなと思う。「イヤ」程度でない画像を公開してしまっている人は、アーカイブされていないかどうか確かめておくほうがよいかもしれない。

まとめると
 私の発言ログの管理法は次のとおり。
 1.できる限り自分のサイト以外では書かない。
 2.他サイトで書く場合、中身のあることはなるべく書かない。
 3.中身の濃い発言は自サイトで書いて、他サイトにはリンクだけ書き込む。
 4.他サイトで中身のある発言をした場合は、自サイトにも転載しておく。
 5.名乗りかたに留意する。
 6.キャッシュ、アーカイブに注意しておく。(テキストだけでなく画像も。)

* 私の氏名を含むページが1,000件もできてしまったのは、ブログでコメントした場合、全ページのサイドバーの中に「最近の発言者名」が表示されることが多いから。これは、新しい発言が増えれば自然にサイドバーから消えて行く。

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Comments

なるほど・・・・・。
正直な話がわたしは自分の発言を管理するというのかなり低いレベルに止めているようです。
「じゃあどこかでトンでもない失敗をする可能性があるだろう」ということなりますが、それほど難しいことではなくて、結局はネットは社会の一部であり、社会との関わりは発言だけではない。
という事実は認めないわけにいかないからだと思います。

以前は「ネット人格は本人とは別です」とか「実生活に関わる仕事などについて言及しない」といったスタンスの方も少なくありませんでしたが、読者としてこういう方の発言を見ていると面白くないんですね。

その一方で、書く側としてはネット限定というのは疲れる。
だいたい、ある特定の話題について見解を述べるというのは、その分野についてそれなりの知識があるからで「なんでそんなことを知っているの?」とか聞かれて答えることは実生活のことを語ることになってしまいます。

つまりわたしには「ネット人格・・」といったポリシーは破綻していると見えるのです。


もう一つはネット発言だけで自分というのが構成されているわけではないのだから「どこそこで何をやってきた」とネット上で語るのと、リアルな社会活動で「ネットでこんなことやってます」と語るのは等価でありましょう。
つまり、ネット上での管理を強化することはリアルの社会でも管理することになるはずで、そうしない例が「ネットで格好良いことを言っているが、実際は・・・」と暴露されることになるのは数多くの例があります。

そこまで窮屈にはしたくない。
一方、ネットでは業界人では無い方とも出会うわけで、中には対立する業界や考え方の人も居ます。
それは、日ごろ接している業界の方が社会とずれているのかもしれない。
どちらが正しいとかという問題ではないでしょう。
つまりは、業界・一般社会・ネットとそれぞれに適度な礼節を持って接して、かつそれぞれ立場でウソをつかない。
というのがネットワークで長持ちするコツであろうと思います。
要するに自然体ね。力むとどっかかいつか何かが壊れる可能性がありますよ。

Posted by: 酔うぞ | 2004.08.29 03:12 PM

はじめまして。

>できる限り自サイト内で書く
>他サイトの掲示板・コメント欄で書くとき・・・中身のあることはできるだけ書かない

アプローチの方向は少し異なりますが、同じような結論が導き出されましたのでトラックバックします。

Posted by: あざらしサラダ | 2004.09.08 10:35 PM

 あざらしサラダさん、コメントとトラックバックをありがとうございます。「ブログで建設的に議論するためのルールを作っていこう」と呼びかけておられるんですね。
 私の場合は、実名を出して雇われ人としての世間体を保ちながらネット活動していますので、「議論」はできる限り避けています。「自分はこうしている」という方法論だけ述べるようにしています。
 一般市民による建設的な議論があちこちで行われるのはよいことだと思いますので、議論する(できる)条件下でネット活動している皆さんが、「議論の仕方」も含めて盛んに議論して行かれることを期待します。

Posted by: ここの管理人 | 2004.09.09 05:42 AM

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