August 2004
2004.08.31
2004.08.28
自分の足跡を管理する
ネットでの危機管理の一環として、「自分の発言ログの管理」について考えてみる。
できる限り自サイト内で書く
コメントとトラックバック、私は圧倒的にトラックバックのほうが好きだ。最大の理由は、自分の発言ログを管理するのが容易だから。
ブログに限らず個人サイトの開設者が自サイトを広く知ってもらいたいと考える時、「関連のあるサイトをまめに訪問して掲示板に書き込む」のは、非常に有効な手段だ。私も本当は 分析化学のページ を宣伝するために書き込みたいと思う掲示板がいくつもある。しかし、実際にはほとんど書き込んだことがない。
いったん書き込んだら何か反応があるかも知れず、その後しばらく訪問する必要がある。また、書き込みを削除・訂正したいと考えても自分ではできない掲示板が多い。自分の管理できない場に書くという行為は、かなりストレスを伴うものだと思う。
何より、広いウェブの世界で自分の足跡があちらこちらに散在していて、どこで何を書いたか自分でも思い出せなくなる・・・という状態が私は怖い。そんなことはちっとも怖くない人もいるかもしれないけれど、とにかく私は落ち着かない。
ブログを使い始めたとき、「トラックバック」という仕組みに感激した。自分の発言を自己管理できる状態で掲載しながら、他サイトとの関連が付けられる。望んでいたものの一つが得られたと思った。
他サイトの掲示板・コメント欄で書くとき
そういうわけで私は他サイトに書き込むことは滅多にない。でも、礼儀や社交上、必要を感じたら書き込む。その場合、中身のあることはできるだけ書かないようにしている。(と言ってしまったら、今までに書き込んだサイトのオーナーの皆さんに失礼かもしれませんね。すみません。)議論になりそうなこと・専門的な情報を提供することは自分のサイトでやって、URLだけ書きに行きたいと思う。
それでもなお中身のあることをよそで書きたい場合はどうしたらいいか?
三中信宏さん と最初にお話した時に「できる!」と思った。三中さんは 私のブログでコメント すると同時に 自分の日録にコメントを転載 なさった。これは自分の発言ログの管理法として参考になる。
どう名乗るか
他サイトでどう名乗るかは、ひと悩みしてしまう問題だ。
以前から、漢字でフルネームを名乗るのはやめようかと考えていた。このほどの 図形問題 で、いよいよもうフルネーム発言はやめることにした。いまGoogleで私の氏名を検索すると1,000件以上(*)ヒットする。この中に、自分自身がいくつかのブログのコメント欄で名乗った氏名が含まれている。仕事の関係者などが私の氏名で検索した場合にどんな印象を受けるか考えると、やはり相当まずいような気がする。
こういうことになるだろうなと思いつつフルネームを名乗ってきたのは、「なりすまし」を警戒してのことだった。例えば他人がどこかで「分析化学のページの津村です」「技術系サラリーマンの津村です」などと名乗った場合、私には発見のしようがない。常にフルネームを名乗るようにしておけば、そういうことを抑止できるのではと考えた。(検索で発見できるから。)
しかし、「なりすまし」を監視するためには、よそで書くときは必ず自分のURLを添えるようにして、自サイトでリンク元解析するほうが有効だと思われる。特にココログの場合は 訪問者フレンドリーなアクセス解析 が用意されている。でも、利用できるプランに変更するには月450円かかる。私の場合、そこまでするほど「なりすまし」の恐れがあるとは思えない。今後は「つむらゆかり」とひらがな表記で名乗ろうかなと考えている。
ハンドルネーム使用の場合も、「検索で他に見つからない名前」にするか「よくある名前」にするかで、自分の足跡管理の方法は違ってくると思う。
アーカイブされていく情報に注意
いったん書いたことを後で考え直して削除した・・・という場合も、Googleのキャッシュには約1ヶ月間保存される。そして、それが消えても、Internet Archive には残っている可能性がある。
自分の関係するサイトは(特に何らかの事情で削除した情報があれば)アーカイブ状況をチェックしておくほうがいいと思う。いつの時点のページが保存されているかは、下記のようなインデックスで確かめられる。("Enter Web Address:"窓にURLを入力する。)
・ 本館(分析化学のページ)のアーカイブ
・ このブログのアーカイブ
ところで、Googleのキャッシュは1ヶ月で消えるけれど、Googleのイメージ検索 はなかなか消えない。私は前の職場で作成していた自己紹介ページで、深く考えずに自分の写真を公開していた。ページを削除した後も半年間ほど、この写真は私の氏名によるイメージ検索で出てきた。やっと消えた時はほっとしたものだ。
この写真、Internet Archiveには残っている。今はまだ日本語検索はできないけれど、できるようになったらイヤだなと思う。「イヤ」程度でない画像を公開してしまっている人は、アーカイブされていないかどうか確かめておくほうがよいかもしれない。
まとめると
私の発言ログの管理法は次のとおり。
1.できる限り自分のサイト以外では書かない。
2.他サイトで書く場合、中身のあることはなるべく書かない。
3.中身の濃い発言は自サイトで書いて、他サイトにはリンクだけ書き込む。
4.他サイトで中身のある発言をした場合は、自サイトにも転載しておく。
5.名乗りかたに留意する。
6.キャッシュ、アーカイブに注意しておく。(テキストだけでなく画像も。)
* 私の氏名を含むページが1,000件もできてしまったのは、ブログでコメントした場合、全ページのサイドバーの中に「最近の発言者名」が表示されることが多いから。これは、新しい発言が増えれば自然にサイドバーから消えて行く。
2004.08.25
大きな「たこ形」を作る方法(解法D)
5年考えて解けなかった問題 に新しいタイプの正解が寄せられました。たいへんうれしいです。
はまぐりの数学 (上村文隆さん)の この問題の解説 によれば、頂角が20度の二等辺三角形はかなりユニークな二等辺三角形で、「二等辺三角形の中の二等辺三角形」とも言えるものだとか。特別な図形なのですね。(このページには「平行四辺形のキング」も紹介されています。)
解法はいくつもあるようですから、憶えておけば、ひょこりできた手持ち無沙汰な時間の友として一生付き合える問題ではないでしょうか。
さて、4番目の解法は、直江さんからコメントで いただきました。まずは下の図を見てください。解法B でも登場する「たこ形」が出てくるのですが、ひとまわり大きいです。この解き方のユニークな点は、順に補助線を描いていくのではなく、最初に3つの二等辺三角形を組み合わせた図形を描いてしまって、それが問題の図形と相似であることを示すという手順を踏んでいるところです。これはなかなかできない発想の転換です。
ところで直江さんのサイト Think about Climate Change は、「地球温暖化問題の解説と考究」がテーマの専門的なサイトです。自己紹介 このサイトの管理者「直江兼緑」について を読ませていただいて、合い通じるものを感じました。
専門情報サイトには実名のものも多い中、「直江兼緑」のお名前はペンネームだそうです。「匿名を用いることが生じさせる様々な問題を鑑みても、今の私にはそれはまだリスクが高いと感じられます。『○○はこんなことにまで首をつっこんでいる』という周囲の騒音から離れたところで、今は自分の研究を行いたいのです」と書かれています。
この言葉 『○○はこんなことにまで首をつっこんでいる』 には、「ああ、それそれ」と、激しく反応してしまいますね。私のブログは、「組織の中の専門家が 世間体 を保ちながらウェブで情報発信するには?」がメインテーマですから。私の場合、実名を選んだのと引き換えに、技術的・学術的な話に絞る、あまり頻繁に更新しないという方針でやっています。直江さんは逆で、匿名を選ばれて、幅広く、また活発にウェブ活動をしておられるようですね。掲示板 の御様子を見てそう思いました。
双方の立場は非常に近いところにあって、ぎりぎりのところで、匿名を選ぶか実名を選ぶかが分かれたような気がします。
以下は解法です。直江さんのコメントを転載しておきます。
40°の頂点を持つ二等辺三角形二つと低角10°の二等辺三角形一つを上の図のように組み合わせ、点Dと点Eをつなぎます。
まず、四角形BCEDが、問題のBCEDと相似であることを示します。
∠BCE=40°+40°=80°・・・①
∠CBD=(180°-40°)/2+10°=80°・・・②
∠CBEは二等辺三角形CBEの低角だから
∠CBE=(180°-80°)/2=50°・・・③
△CEP≡△CBPで、△BPDは二等辺三角形なのでEP=BP=DP。
∠BPD=180°-10°-10°=160°
∠CPB=∠CPE=(180°-40°)/2=70°
∠DPE=360°-160°-70°-70°=60°
よって△DEPは正三角形。
線分CDは正三角形DEPと二等辺三角形CEPを垂直につらぬくので
∠DCP=20°
よって∠BCD=40°+20°=60°・・・④
①②③④より、四角形BCEDは問題のBCEDと相似であることが示された。
∠EDCは∠EDPの半分だから30°。
*なお、「四角形の相似」については、きちんとした条件がよくわからないので「①②③④を満たす四角形は一通りしか書けないから」と表現するほうがよいかもしれないとのことです。(直江さんによる注)
2004.08.21
はまり込むきっかけ
古今東西の「名作」と呼ばれる文学作品や芸術作品がある。国内国外、多数の「名所」がある。テレビや新聞で報道されるニュース、ドキュメンタリー、ドラマから、数々の「名場面」が生まれる。
かつての貧しかった時代とは違って、娯楽も情報も大量に存在し、すぐ手の届くところにあふれている。ある程度の評価を得ているものは全部見てやろうと思ったら、映画とテレビ番組の上映時間を合わせるだけで、人生の総時間数を超えてしまうかもしれない。
難問とか良問と言われる問題も多数存在するけれど、その全部に挑戦する暇がある人はあまりいない。
それでも、たった一つの作品、たった一つの問題を、密度高く観た、深く考えた、咀嚼した、という経験がある人生は、(出会う作品や問題の総数は少なくなるけれど、)多数の作品・問題を効率よくこなしていく人生より豊かな人生だと思う。
「たった一つ」を選んで密度高い時間を持つきっかけは、どんなところにあるのだろう?
たぶん学校では、「教材」として与えられたというのが最大・最多の理由になる。
学校の外では、多くの場合「人」が媒介するような気がする。友人、家族、上司、同僚、テレビに登場するタレント、その他、ひょんな縁で出会う人たちが話題にしたもの。そして、何か響いてくる「物語」を感じること。条件がそろえば、学校で「教材」として与えられたのと同じくらい(あるいはそれ以上)真剣に取り組んでしまっている自分を発見する。
そんな時間を時々持ちたい。そんな出会いの機会があれば、逃がさないようにしたい。
*「フランクリンの凧」と呼ばれる問題は灘中の1972年入試問題だったそうです。コメント欄で exedexes さんから情報をいただきました。
exedexeのなんでもあり日記
詳細が書かれているウェブアーカイブ
2004.08.17
何人がこの問題を考えたか
5年考えて解けなかった問題 に合計12名のかたが正解を寄せられました。(正解とカウントした基準:回答の送りかた)すると気になるのは、「いったい何人くらいがこの問題を考えたのか?」です。この数字が多いほど難問だったと言えて、5年も正解にたどり着かなかった私などは安心することができるわけです。
(ちょっとその前に、事務的なご連絡。2、3日ほどネットにつなげず、更新できない見込みです。「最近のコメント」を非表示にします。)
さて、このブログにはアクセス解析もカウンタも付けていません。(付けない理由:解析、カウンタ・・・どうでもいいですが。)けれども、右下のほうに「お気に入りblog」というリンク集が貼り付けてあります。これはページが読み込まれるたびに BlogPeople から最新の更新情報が送られてくるというものです。それぞれのブログのオーナーは、BlogPeople からリンクリストが配信された回数を知ることができます。
ただし、BlogPeople のリスト配信回数は、かなり数え落としがあると私は思っています。というのは、その上に貼ってある MyblogList のリンク集も5月までは配信回数が読めるようになっていて、そのときのカウント数が BlogPeople での数字よりも常に2~3割多かったからです。貼ってある順番のせいかもしれません。
そして MyblogList のカウント数が正確なページビュー(PV)回数かといえば、それもおぼつきません。Javaスクリプトを利用しているため、これをオフにした閲覧者は数えないと思われるからです。
こんな理由から、以下の数字は通常のカウンタの数字よりも2~3割以上少なめの可能性が高いです。
私はふだん自サイトのPV数には全く言及していませんが、今回だけ公表する気になりました。それは、このほどのアクセス数は私のブログへのアクセスというより「面白そうな問題」へのアクセスと考えられるからです。データを公表しておけば、おそらく今後も時折くり返される「ブログでのネタ振りパターン」の一つとして、皆さんの参考になるでしょう。
問題公表日(8/9)以降昨日までのリンクリスト配信回数
8/9 893
8/10 1,708
8/11 20,806
8/12 14,695
8/13 10,107
8/14 8,369
8/15 5,606
8/16 5,131
さて、解答公開の14日以前に問題を見た人は、何人くらいだったのでしょうか?
・最高2万PV/日だから、2万人?
・一人の訪問者が平均何回読み込んだか?
・14日に解答を読みに来た人数こそが、真剣に考えた人数?
・13~15日は「お盆」で、PCから遠ざかった人が多い?
・14~16日のPV数があまり減少していないのは何故?
などなど、数字を解釈するのは難しいんですが、私の感覚では「たぶん1万人よりは多かった。もしかしたら2万人超えてるかも」というところです。
それだけの人数が、ちらっとでも問題を見て、そして正解を送った人が12名。率としては0.1%ほど。これは、やはり相当難問だと言えるのではないでしょうか。(そう思いたい私。)
ただしこの比率は、趣味と言えるくらい数学が好きな人及びプロは除いた数字でしょう。どうも数学の世界では有名な問題のようで、その筋の人は既にこの問題を知っていて、参加することができなかったらしいからです。また、独りひそかに解いたり、幾霜さん のように仲間うちで確認して、こちらには送信しなかった人も多いでしょう。逆に、一人の訪問者の周囲で、巻き込まれて一緒に考えた人が何人もいた可能性もあります。(例:Poohotosamaさん とか 12番街レトロジカルさん とか。)
なお、現時点までのコメント数は70、トラックバック数は72です。
最後にあらためて、正解を送ってくださったかたのお名前を載せておきます。もし漏れている人がいらっしゃったら、どうぞお知らせください。
メールでの正解 キササゲさん(の友人)、Uさん、salaさん、silicodama@yahoo.comさん、biomasaさん、tezさん、penalty_takerさん、Kさん
トラックバックでの正解 Poohotosamaさん、まなめはうすさん
コメントでの正解 midoさん、光さん
うれしかったのは、正解かどうかにかかわらず「真剣に考えられたこと自体に満足」「こんな問題を紹介してくれて感謝します」の声を多数いただいたことです。必ず自力で解くと誓って、ここへ来ずに考え中の人もおられるかもしれませんね。
余韻を楽しみたい方は、star_dust の書斎 さんが面白いリンク先をいくつか紹介されていますから訪問してみてください。英語のが多いんですが、そこがまた、真剣に考えずに図をぼーっと眺めるだけでも味わいがあっていいです。
(私は考え過ぎで、当分類似の問題は見たくない・・・こんなネタ振りは一回が限界です。)
みなさん、どうもありがとうございました。
2004.08.16
コメントでいただいた回答
コメント欄の回答にもすべて目を通させてもらいました。図を描いた紙でPCのまわりが埋まっています。私は今週が夏休みですし、こんな一発芸が当たることってもうないでしょうから、精一杯お返事させていただきます。
昨夜も新しい答えをメールしてくださったかたがおられました。ブログの話題の賞味期限は短すぎて寂しいものですが、これには期限はありません。未出の解答を考え付かれたかたは、ずっと後になってからでもいいですから、メール・コメント・トラックバックでお知らせください。
過去にこの問題をある本で見て、5分後には諦めて解答を見てしまったという松徳礼治さんが 一生の不覚 と嘆いておられます。
「この解法を忘れない限り、私は自力でこの問題を解くことは一生できないわけでして。四苦八苦している人たちのトラックバックを見ていると、推理小説を誤って結末から読んでしまったときのような後悔の念に襲われるわけです。」
本当にそうですね。この問題を「自力で解いた」のと「解く前に回答を見てしまった」のとでは、人生で楽しめるもの一つ分の違いがあります。解答を見ないで悩める時間が多い人ほど幸せと言えるでしょう。私は5年も考えましたから、自力で解けなかったけどさっぱりしてます。
さて、コメント欄への書き込みで私が一番感心したのは 光さん の回答です。そうなんですよ。「Dを通って底辺に平行な補助線」だけでは不公平みたいな気がするんですよ。「Eを通って平行な補助線」も引きたくなるんです。私も、そういう図を何回か描きました。
しかし、それでは当然、補助線が多すぎて収拾がつかなくなる・・・はずなんですが、なんと光さんは、そんな中からも辛抱強く材料を積み上げて、最後には「30度」を導かれました。
こういう回り道はテストでは減点対象になるかもしれませんが、正解か否かと二分すれば「正解」だと思います。
では、書き込み順に各コメントへのお返事を。解法そのものを書き込まれたかたと、自分のページへのリンクを書き込まれたかたがいらっしゃいます。(途中までや概略だけで終わっている回答は除いています。)
midoさんのコメント 解答解禁の直後、01時01分に書き込まれました。お見事。解答A。
電脳プリオンさんの回答 大作になりそうな予感の詳しい証明。でも、完成しないうちに答えのページを見つけてしまわれたそうです。
Etchamの日記 「角をニ等分する補助線を二本」という、他にはない発想です。
Trash Box Malan さん。これは私が あっという間に解ける方法? で書いたのと同じパターンです。この解き方って、本当に魅力があるんですね。
これさんのコメント ABCと同じ形の二等辺三角形をもう一つ重ねて描いて左右対称にする方法で、スタートは たねまきの愉しみ さんと同じです。その後、BEに平行でDを通る直線を引くんですが、この線がDEの線と対称であるとされています。この根拠がないのが残念。
mojo さんのコメント kamiさんが指摘されているとおり、これも「あっという間に解ける方法」と同じパターンですね。
貧乏夫さんの「裏話」 メールで正解された silicodama@yahoo.com さんです。リンクしてはいけないのかなと思っていましたが、コメントではURLを書いておられるので、リンクしておきます。解答C は貧乏夫さんの書かれた証明文をそのまま掲載しています。私は完全にテキスト系の人で図形は苦手なので、こういう数式でのきれいな証明には、ほれぼれしてしまいます。
以上、コメント欄での正解者は、midoさんと光さんのお二人と考えさせていただきます。
コメントでの回答は「さわり」だけ書いて行かれた人が多くて、正解だったのかどうかわからないのが残念。以下、解答AからCにはない、気になるキーワードを列挙。
四角形の角度の和 折り紙の要領 補助線一本でOK 同位角 あそこをつまんでくりってやると直線に 平行四辺形使うと一発 帰納的に証明 内接円 折り返した線が1本の線になることを証明することがポイント 補助線1本&円 垂直二等分線
最後に、 光さんの解き方 の図を載せておきます。「解法B」と同じなんですが、右側に作るはずの「たこ形」を左側に作って、それから対称性を利用するという、根気のいる方法です。私は、補助線が4本以上になると「この方向性はダメなんじゃないか」と諦めてしまう性格で、解法Bには到達できませんでした。かといって解法Aも思いつかなかったので、結局解けませんでした。光さんの根気強さはすごいです。
2004.08.15
トラックバックでいただいた回答
現時点までのトラックバック元の記事を、全部読ませていただきました。
私からの意見はメールでお送りしようと思っていたのですが、アドレスを載せていない皆さんが多い・・・仕方なく、全部コメントで書かせていただきました。
「これは必読!」という面白い答えは あふれだすもの さんです。解答が発表されて、やれやれ、すっきりした・・・と思っている皆さん、あふれだすものさんの回答を読んだら、またひと悩みしてしまいますよ、きっと。なぜかコメントが書き込めない状態になっているので、直接お返事できなくて残念です。
回答が書かれているトラックバック元をリストしておきます。単に「解けた」「解けない」だけで解法が書かれていない記事は除いてあります。(トラックバック到着順)
ふぇれったぶる 一番乗りのトラックバックです。間に合わせでペイントで描かれたという図も、なかなかきれいで見やすい。
てんつばリダイアル。(逃避中) 解答AとA'です。(メールでもいただきましたので、メールでの正解と考えます。)
epique.net -remix- 解法の過程が詳しく書かれていないのでよくわかりませんが、補助線の引き方は独特です。
ひとこと 江崎彰さんは検索で答えを見つけられたようです。解法BのアニメーションGIFを製作されました。
あふれだすもの 上で紹介したとおり。えっ?こんな簡単な方法で解けちゃった?!びっくりな回答。
Poohotosama's Joke Diary 英語の問題と解答B。 すばらしい。Poohotosamaさんの周りで研究室の中国人、韓国人、インド人、フランス人、イギリス人、エジプト人+そこから芋づる式に広がったアメリカ、インドの友人、知人も合わせて20人以上がチャレンジされたとのこと。数学は世界の共通語ですね。
メタ日常的。 「とんち」での回答。名人の域です。
たねまきの愉しみ なんと、補助線を描いていくと、植木鉢からちょこんと芽が出た形なんです。園芸ブログらしいこだわりの図に感激して、思わず下のような絵を描いてしまいました。(へたですが・・・)
オレジュのここだけのメモ こちらは手描きの図がかわいいんです。しみじみした味わいがあります。
star_dust の書斎 この問題、有名なようで、愛着を持っている人が世界中に大勢いるんですね。貴重なリンク先がいくつも紹介されています。特に、解法Aのフラッシュは凝っています。
今のところ、トラックバックでの自力正解は1名、Poohotosamaさんと考えさせていただきます。トラックバックが送れないという まなめはうすさん と合わせて2名ですね。
こんな単純そうな問題に対して、本当に色々な発想や補助線で個性豊かなアイデアが出ていて、楽しませてもらっています。コメントでの回答も、これから読ませていただきます。
2004.08.14
メールでいただいた正解
メールで寄せられた回答を全部読んで、やっとお返事を書き終えました。正解のかたを紹介させていただきます。
おことわりしておきますが、ここでご紹介しないかたも正解の可能性があります。私が見てどこかに難があると思われる回答には、その点を指摘するメールを差し上げています。でも、本当は正解で、私の理解不足なのかもしれません。
メールで回答されたかたの中に、私の考えに納得できないというかたがおられたら、いつでも回答をこのブログで公開させていただきます。私はなにしろ5年考えてもわからなかった人ですから、私の意見を信用せず、多くの人に見てもらうほうがいいと思います。
さて、5年考えて解けなかった問題 をアップしたのは8月9日でした。さっそく10日に てんつばリダイアル。(逃避中) のキササゲさんからメールをいただきました。友人お二人が解かれたとのことで、解答Aと解答A' が書かれていました。1人目の正解者です。
次に12日付けで、Uさんからメールをいただきました。本名らしきお名前ですが、イニシャルにさせていただきます。この氏名を出してもよいようでしたらお知らせください。書かれていたのは解答Aでした。2人目の正解者です。
同日、salaさんから、解答Aが寄せられました。3人目です。
この日、聞きかじりさん からも、解答Aを記したメールが届きました。ただ、これは検索で パズルから数学へ 数学からパズルへの誘い というページを見つけてヒントを読んで考えた解答とのことでした。ここでの正解者には数えないでおきましょう。でも、熱心に調べられたんですね。このページには、「できそうでできない問題」の例が他にも書かれていて面白いです。
13日は、解答解禁の前日とあって、メールラッシュでした。silicodama@yahoo.com さんから 解答C をいただきました。中学校で学習する範囲内だけで数式を使って解く方法で、論理の運びに無駄がなく、とてもきれいです。この回答にはハッとしました。4人目の正解者です。
それからbiomasaさんが 解答B をコメント欄に書き込まれました。メールで送ろうとしてミスされたそうです。期限前でしたので削除しました。メールでの送信と考えて、正解の5人目とします。解答Bでは初めてでした。
tezさんから、解答Aが届きました。実はtezさんは、その日の朝にも答えを送ってこられていましたが、明らかに不備がありました。でも、諦めないで午後2時半頃またメールして来られました。お友だちと、3日間弱、「ガチガチの文系同士で」考え、「使ったルーズリーフは30枚以上」だそうです。根性ですね。6人目。
penalty_taker さんから「円周角とか補助線とか無しの力ワザな解答です」と、三角関数を利用する方法を PDFファイル でいただきました。これは私には復習しないとフォローできない内容ですが、考え方の大筋は合理的だと思いましたので、7人目の正解者とさせてもらいました。
そして午後6時半、Kさんから、解答Bが送られてきました。Kさん、ローマ字の氏名でいただいていますが、この名を出してもよいようでしたらお知らせください。8人目の正解者です。
その後も午後11時半頃までメールでの回答をいただきましたが、正解は以上8名のかたのようです。コメント、トラックバックは、これから読ませていただきます。みなさん、私が軽い気持ちで紹介した問題をこんなに真剣に考えてくださって、どうもありがとうございました。
辺の長さの比を使う方法(解答C)
ここで紹介する二つの方法は、かなり複雑です。中学生レベルの代数を使う方法と、三角関数を使う方法が寄せられました。
代数を使うのは、silicodama@yahoo.com さんからいただいた解法です。図は私が描いたものですが、文章はメールをそのまま貼り付けさせてもらいます。
概略:
辺の比を求めて△ABEと△CDEが相似であることを示す方法です.
詳細:
簡単のためにABとACの長さを1とします.またBCの長さを a とします.
△CBEは二等辺三角形ですので,ECの長さも a となります.すると
AEの長さは 1-a とあらわせます.
次に,ADの長さを仮に x とします.△ADCは二等辺三角形ですので,
CDの長さも x となります.この x を a であらわすことを考えます.
AとDからBCに引いた垂線の足をそれぞれF,Gとします.すると
FG:GB = AD:DB = x:1-x (1)
となります.ここで,△ABCは二等辺三角形ですので,FはBCの中点に
なります.また△CDGは正三角形の半分ですので,CGはCDの半分の
長さです.従って,
FG:GB = CG-CF:BC-CG = x/2-a/2 : a-x/2 (2)
となります.(1)と(2) は同じ比ですので等号で結んで整理すると,
x についての一次方程式となり,簡単に
x = a / (1-a) (3)
であることが求まります.
以上の結果を用いて,比 CD:CE を求めると,
CD:CE = a / (1-a) : a = 1 : 1-a (4)
となり,AB:AE と同じであることが分かります.2辺の長さの比が等しく,
その間の角が等しいので,△ABEと△CDEは相似形であることがわかります.
従って,∠EDC=∠EBA=30度となります.
以上、silicodama@yahoo.com さんによる解法でした。
論理が緻密なのはもちろん、文章がとてもきれいなのに感動しました。
同様に比を求める方法を、penalty_taker さんからもいただきました。これは三角関数が使われていますので、高校レベルです。実は私、この解答が正しいかどうか検証していません。するためには、正弦定理を始めとした三角関数の公式を復習しなおす必要があります。ちょっとその気力がないので、未検証のまま転載させていただきます。
これはPDFファイルになっていて、印刷すればたいへん読みやすいです。
三角関数を用いる解法(PDF 199KB)
私が以前から知っていた解法と今回出た解法は、この記事までで書いた3とおりで全てです。
これら以外の解法も、見つけ次第ご紹介します。(まだトラックバック先を全部詳しくは読めていませんので・・・)
やや複雑な方法(解答B)
この解き方を初めて見たのは、まなめはうすさん のところでした。その後、宇園まことさんのページ でも2年前に書かれていたことを、宇園さん御本人から連絡いただきました。宇園さんの説明図は、わざと実際の角度とずらしてあって、非常にわかりやすいものになっています。私は問題文で忠実な角度の図を描いたため、証明できていないことを図から読み取って前提と考えてしまった回答が多くなったみたいです。
以下、宇園さんの解説を今回の記号付けに対応した文章になおして引用します。これを読むより、宇園さんの図と文章のほうがわかりやすいと思います。
Dを通りBCに平行な直線を引き、ACとの交点をFとします。
そしてFとBを結び、DCとの交点をGとします。
そして、GとEとを結びます。
三角形DBCと三角形FCBは合同になりますので、
∠DCB=∠FBC=60゚であり、
つまり三角形BCG、三角形DFGはそれぞれ正三角形です。
よって、BC=BG=CG、DF=DG=FGであり、また、幾つかの角が60゚であることが分かります。
ところで、∠CBE=∠CEB=50°ですから、三角形CBEは二等辺三角形で、CB=CEです。
よってCE=CGであり、つまり三角形CEGも二等辺三角形です。
このことから∠CGE=(180゚-20゚)÷2=80゚であり、
∠EGF=180゚-60゚-80゚=40゚です。
また、∠CFB=180゚-80゚-60゚=40゚であり、
つまり三角形EGFは二等辺三角形であり、
よってEG=EFです。
そうすると、DF=DG、FE=GE、DE=DEとなり、
三角形DFEとDGEは合同であることが分かります。
つまり∠EDF=EDGであり、
∠CDE=60゚÷2=30゚となります。
つまり、解は30゚です。
最もシンプルな解法 よりも、補助線の数が多く、やや煩雑な感じがします。
最もシンプルな解法とその変法(解答AとA')
いただいたメール、コメント、トラックバックをまだ全部読めていませんが、とりあえず、最もシンプルな解法とその変法を掲載します。
この解き方は、私が学生時代に、当時京都大学理学部に在学していた森谷勲さんから聞いたものです。よき学友に恵まれたことを感謝します。
解答の図
AB上に点Fを角FCBが20度になるようにとります。
角EBCが50度なので角BECも50度となり辺CB=辺CE。
角CFBが80度となるので辺CB=辺CF。
従って、辺CF=辺CE。
角ECFが60度になるので三角形EFCは正三角形。辺FC=辺FE。
角FCDも角FDCも40度なので辺FC=辺FD。
従って辺FD=辺FE。三角形FDEは二等辺三角形。
角CFBが80度、角CFEが60度なので角DFEは40度。
二等辺三角形の底角で角FDEと角FEDはどちらも70度。
角FDCが40度だから、角CDEは70-40=30度。
また、この解答の変法は てんつばリダイアル のキササゲさんからメールで教えていただきました。キササゲさんのお友だちが解かれたそうです。
変法の図
辺FC=辺FE=辺FDを導くところまでは上と同じです。
ここでFを中心としてD、E、Cを通る円を描きます。
すると、角CDEは角CFEを中心角とする円周角になります。
「円周角は中心角の2分の1」という定理により、角CDEは30度。
これらの解法は「CB=CFの二等辺三角形を描く」がポイントです。こんな補助線を思いつける人ってすごいですね。私は全然考えもしませんでした。
2004.08.13
回答の送りかた
予想もしていなかった盛り上がりですが、答え解禁の期限がいよいよ明日となりました。一応ルール(みたいなもの)を決めておきたいと思います。
回答のトラックバック、コメントは、日付けが14日になりしだい送っていただいて結構です。集中先は元の記事 5年考えて解けなかった問題 へお願いします。私も、学生の頃に聞いた解答を記事として載せます。(たぶん朝になってから。)もともと本館で出している問題ですから、最終的には別解も集約したまとめページを作るつもりです。
自力で正答を出したとみなせるサイトさんまたは個人は、リストにして公表させていただきたいと思います。
どうやって「自力」か否かを見分けるかですが・・・
トラックバックは、記事だけ前もって(今日のうちに)アップしてあれば、明日ゆっくりのトラックバックでも「答え解禁前にアップされた答え」と考えさせていただきます。(ブログの記事の日付けは自由に設定できますが、改変する人はいないだろうとの性善説に基づきます。)
コメントは困りますね。早いものほど評価は高いですが、どこで線を引くか・・・。
でも、他のコメント・トラックバックとは違うオリジナルな解法であれば、あとから出てきても「自力」とみなせますよね。こうしましょう。
コメント欄に書き込まれた回答については、その時点で他のコメント・トラックバックと重複しないものに限り自力の回答と認める。
つまり、「自分の解法は誰も考え付かないような独創性の高いものだ」と思う方は、明日以降にコメント欄に書き込んでください。オーソドックスな解法だと思うかたは、本日中に私にメールしてください。
今のところ、メールで自力の正答を寄せてこられたかたは3名です。いずれも、私が大学生の頃に聞いた解法またはその変法です。
「あっという間に解ける方法」を楽しみにしているのですが、まだどなたからもメールを受け取っていません。
その他、すばらしく独創性に富んだ回答を種々いただいています。・・・が、残念ながら、論理構成にどこかおかしいところがあるようなので、それぞれに私の考えをお返ししています。
正答はワンパターンですけど、そうでない回答は実に個性的で、解読するだけでも一苦労だったりします。学校の先生って、すごくたいへんな仕事じゃないかとしみじみ思いました。
あ、それから、「解答なんか見たくない!」という人も多いかもしれません。そうです。見ないほうが幸せです。紙と鉛筆さえあればいつでもどこでも、ずっと楽しめる問題を手に入れたのですから。
5年以内に自力で解けば、津村より図形問題のセンスがあるということになります。といっても、薬学部卒の私ではあまり値打ちがないですね・・・3日以内に解けば、数学者の矢野健太郎氏より上だそうです。
というわけで、答えを知りたくない方は、当分このブログは見に来ないようにしてください。
2004.08.12
あっという間に解ける方法?
5年考えて解けなかった問題 が怖いくらい話題になっているようで、現時点でのトラックバック26、コメント25と、有名人ブログ並みです。皆様、ありがとうございます。
この機会にちょっと宣伝させていただきます。クロマトグラフィー、残留農薬分析、精度管理といった話題が好きな人は 本館 へも来てみてください。まあ、そういう人の比率はきわめて少ないと思いますが・・・。将来どんな職業に就こうか考え中の人は、「化学分析屋」という仕事もあることをどうぞ知ってください。私の本館は同業者向けで読みにくいですから、秋月ナルさん(環境分析の会社勤務)または クロやんさん(某県衛生研究所OB)のページを訪問してください。
さて、コメントとトラックバックは全部読ませていただきました。いろいろなかたがいらっしゃいますが、たどり着いた答えに3パターンあるらしいことが浮かび上がってきます。
1.私が大学生の頃に聞いた解法と同じもの(円周角は使わない)及びその変法(円周角を使う)
2.Dを通って底辺に平行な補助線を引く方法
3.あっという間に解ける方法
2の「Dを通って底辺に平行な補助線を引く」方法ですが、詳しい解説を書いてくださいました。なるほど。これでも解けますね。そうです。そちら様のブログです。14日になったらリンクさせていただきます。お願いどおりトラックバックをひかえていただいて、ありがとうございます。
1または2は正解です。問題は3「あっという間に解ける方法」ですね。何人もいらっしゃいます。全員同じ解法なのか、それとも色々なパターンがあるのか、謎です。
1はスマートな方法ですがそれなりに複雑ですし、2は相当な力技です。どちらも「あっという間」には到達できないと思います。「あっという間に解ける方法」・・・早く知りたいですね。
ところで、昨日紹介した「難点のある解法」と同じパターンの答えをメールして来られたかたがまたいらっしゃいました。とあるブログでも似た解法が書かれていました。どうもこの答えには、強い魅力があるみたいです。どうして私がこの答えをおかしいと思うのか、ちょっと詳しく書いておきます。
この「難点のある解法」では、辺ACを軸にこういう図を描きます。「もとの図全体を二つ折の紙として、Bのところをつまんで開く感じ」だそうです。
そして、「BED’は一直線」または「DEB’は一直線」という前提で考えていきます。考える過程はいろいろです。三角形の内角の和を使ったり、四角形ADCD’がひし形になることを利用したり。
でも、ちょっと待ってください。BED’とDEB’が一直線になっているとわかっているなら、この問題は最初から解けていますよ。角BEC=角AED=50度になりますから、角DEB=80度。あとは三角形DECの内角の和から、答えは30度。超かんたんです。
この方法で解くためには、まず、BED’またはDEB’が一直線上にあることを言わなければなりません。その点をきちんとした回答は、今のところ見かけていません。
最後に、Aさんのコメント を引用。
この問題、数学者の矢野健太郎氏の本に載ってましたね。なんでも、本人は3日考えても分からなかったとか.
そうなんですか!その本、ぜひ読んでみたいです。できれば書名を教えてください。
2004.08.11
別解が続々と・・・?
5年考えて解けなかった問題 へのトラックバック、コメント、メールを多数いただき、ありがとうございます。
私が大学生の時に教えてもらった解法とまったく同じものをメールで寄せられた方がいらっしゃいます。また、その方法の変法も一つ。これらについては、14日に公開させていただきます。
この問題に私がつぎ込んだ総時間数は何十時間か何百時間かしれませんが、あっさりと答えを見つける方もいらっしゃるんですねー。脱帽です。
それから、別解になりそうなアイデアには、特に期待しています。今のところ、別解で完全な答えを示した方はおられません。そういうアイデアをいくつか御紹介します。
一つはこんなのです。問題の図の右側に、線対称にもう一つの図を描きます。
三角形CDD'は正三角形です。これをクルッと回転させて、点Cを点Dに、DをD'に、D'をCに重ねると、答えは「20度」になるそうです。
うーん・・・その理屈はよくわかりませんし、答えは20度でなくて30度なんですが、でも、回転させて重ねるなんて、私は一度も思いついたことがありませんでした。斬新な発想です。
ちょっと似た発想ですが、こちらはもう少し理解できます。これも、線対称にもう一つの図を描く方法です。
三角形D'BCに着目します。角D'CBは、60+20+20=100度です。だから、三角形の内角の和180度より、角BD'Cは30度。それと対称な角EDCも30度。
一瞬「おぉっ!!」と思いました。でもひとつ難点が。
B-E-D'が一直線上にあることを当然の前提にしている点です。
たしかに、分度器を使いながら描けばそういう図になるし、それで正しいのですが、与えられた条件だけから自明のことではありません。
分度器を使わずに描けば、たとえばこういう図になるでしょう。あと一工夫で面白い別解になりそうな気もします。
それから、とあるブログで、こういう補助線で正解できると書かれていました。(解法は示さず。)
あぁ・・・何と正統派な補助線・・・「底辺に平行な補助線」という定石を、私も何十回引いたことか。何十時間この図を眺めたことか。でも、その先はひらめきませんでした。この解法は、特に知りたいです。14日以降に詳しい答えとトラックバックをぜひお願いします。
こんな問題を考えていると、中学・高校時代の夏休みが戻ってきたみたいで幸せです。
2004.08.09
5年考えて解けなかった問題
中学校レベルの数学の問題。単純なようで難問。
二等辺三角形ABCを、Aが20度かつ頂点になるように描く。
辺AB上に点Dを、角DCBが60度になるように取る。
辺AC上に点Eを、角EBCが50度になるように取る。
角EDCは何度か?
文章にするとややこしい感じがするけれど、図に描けばこんなにシンプル。
答えをコメント・トラックバックする場合は8月14日(土)以降にしてください。
本館 で出している問題なので、あまり早く答えを読めてしまったら困ります。
この問題は、中学校2年生のときに数学の先生からきいたもの。「今、教師の間で話題になっている。解けないか?」と言われた。
何日も夜遅くまで紙に向かい、思いつく限りの補助線を引いて考えた。解けなかった。でも答えをきくのはしゃくだったので、答えがわからないまま卒業してしまった。
高校の3年間も、折に触れてこの問題を考えた。「20度と60度と50度」さえ記憶しておけば簡単に図が描けるから、紙と鉛筆と暇があるときにいつでも取り組むことができる。
高校の数学を履修すれば解けるようになるのではと思っていたが、そんなことはなかった。解けないまま高校も卒業した。
大学に入って、数学が得意そうな知り合い(理学部の学生)ができた。その人にきいてみた。果たして彼はこの問題を解いたことがあって、自分の解法を教えてくれた。たしかに中学生レベルの知識で十分だ。でも、私には考え付かない解法だった。こんな人に出会えただけでも、大学に来た価値があると思った・・・とまで言っては大げさかもしれないが、何しろ5年以上考えて解けなかった問題だから、感慨は大きかった。
お盆休みでのんびりする方が多いと思われるこの時期、よろしければこの図を頭に入れておいて、乗り物の待ち合わせ時間などに、お楽しみください。
2004.08.07
アクセスカウンタに罪はない
アクセスカウンタの数値がどれだけ当てにならないかについて。ウェブサイトに詳しい人には「今さら」な話。最後の結論は私の職業色が濃く出てしまった。
アクセスカウンタには、「ユニークアクセス」を数えるものと「トータルアクセス」を数えるものがある。「ユニーク」カウンタは、同じIPアドレスを一日一回しかカウントしない。「トータル」カウンタは、同じIPアドレスで何回アクセスしても全部カウントする。
当然、「トータル」でのカウントは「ユニーク」よりも多くなる。
カウント数はアクセスカウンタが設置されている場所に影響される。「表紙・目次・更新情報」の3つが同じページにまとめられているサイトで、そこにアクセスカウンタが付いている場合、カウント数は最大になるだろう。逆に、「表紙だけ」のページに付いている場合は、最低になるだろう。
カウンタが目次のあるページに置かれている場合、カウント数はサイトの構成にも影響される。各ページにメニューが付いていれば読者が目次ページに行く回数は少なくなるし、ツリー構造で必ず目次へ戻る構成であれば、カウント数は多くなる。
ブログは提供元によって仕様がいろいろだけど、ココログのように同じカウンタを全ページに貼り付けるブログでは、全ページがカウント対象になる。表紙ページだけに付いているカウンタとの違いは大きい。こういうカウンタではページ総数、つまり過去の蓄積が常に現在に影響を与え続ける。まあ、同じペースでやっていても確実に一日当たりのアクセスは伸びるわけで、やる気に結びつくかもしれない。
アクセス数はサイトの更新頻度と更新の規則性によっても影響される。「毎週○曜日に更新」と宣言してそのとおり実行するサイトへの訪問は週一回でいいだろう。毎日更新、または数日おきにランダムに更新されるサイトへは、毎日チェックに行く人が多いだろう。特に掲示板は、参加者がリロードを繰り返しているとしか思えない速さで議論が進行することがある。
カウンタは様々な理由で「数え落とし」をする。訪問者のブラウザに異常があった、Javaスクリプトがオフになっていた、極めて短時間で別ページへ移動した、などなど。
付け加えれば、サイト管理者によるカウント水増しも可能ではある。そんなことをする人はあまりいないと思うけど。(参考:相互リンクを成功させる方法)
このように、アクセスカウンタの数値は設置環境(サイトの状況とサイト内での設置場所)に大きく依存する。
だからといって、アクセスカウンタ自体が信用できないと言っているわけではない。計測機器で得られる数値は正しく評価して使わなければならないと言いたい。
正常な温度計であれば、その数値自体は信用できる。でも、その温度計がエアコンの室外機のそばに置いてあることを無視して「今日の最高気温は40度だった」などと言えば、正しくない情報になってしまう。
カウンタは、自分が置かれているページが読み込まれた回数を実直に記録する。その数値自体は真実だ。(数え落としという系統誤差やサイト管理者自身によるアクセス等も含めて。)数値だけを取り出して何か言う場合、特に、サイトをトータルに表現する場合に問題が起こる。
とはいえ、サイトの影響力を直感的に伝えるのにアクセス数は非常に便利な指標だ。私は他サイトのカウンタに言及するとき、最低限、「ユニークカウンタかトータルカウンタか」「付いている場所は単独ページか全ページか」は把握した上で書くようにしている。トータルカウンタであれば、決して「訪問者**人」とは書かず、「**アクセス」「**ヒット」などと書く。全ページ対象のトータルカウンタであれば「ページビュー**回」と表現している。
アクセスカウンタの数値を使ってサイトのアクセス頻度を一律に表すのは非常に難しいと諦めた上で、どうしても使いたい時には、せめて表現方法を工夫している。
2004.08.04
アクセスカウンタを付けない理由
このブログにも 本館ページ にも、アクセスカウンタを付けようと思ったことがない。一番大きな理由は、手軽によそのサイトと比べられるのがいやだから。
でも自分自身はアクセス数を知りたいから、本館ではアクセス解析を使っているし、このブログは BlogPeople のログイン画面で確認している。
私の場合、累計アクセス数はほとんどどうでも良くて、日ごとの変動が知りたい。感覚的にこの程度と思っている自サイトの平均水準に比べて、多いか少ないか。どんな話題を書いているときによく読まれるのか。こういう目的のためには、リアルタイムで累計が刻まれていくカウンタよりも、BlogPeopleのように「昨日のリンクリスト配信回数」が一日に一回更新される方式のほうが便利だ。(ただし、読みに行くのを忘れた日の分は消えてしまう。)
読者との交流という意味では、アクセスカウンタはいいなとも思う。一回一回の訪問に対して個別の番号を発行する仕組みは、「一期一会」をささやかな形にしているとも言える。アクセスカウンタでキリ番を取った読者に賞品を出したり名前を掲載するサイトもある。マメだなと思う。
手軽に比べられるのはいやと書いたが、手軽に比べてしまうことは多い。単に「アクセスの多いサイト」よりも「一日千ヒットのサイト」と表現したり。なんのかんの言っても、アクセスカウンタが付いているサイトは、つい目安にしてしまう。
アクセス数が多いとか少ないとかいうけれど、その境目はどのへんにあるのだろうか。私の場合、重要なラインは「ときどき来てくれるリピーターと、複数ページをじっくり読む一見さんの合計が、10名/日」。これ以上の訪問者があれば、ウェブでの公開を続けようかなという気になる。検索でたまたまヒットして去っていく読者が「10名/日」であっても、続ける気にならない。つまり、アクセスカウンタだけでは続ける気に結びつかない。アクセス解析が必要だ。
ブログは解析しなくても続いている。コメントやトラックバックから、アクセス解析以上に直接的に読者の反応がわかるからかも。
あと、アクセスカウンタは設置場所やカウント方式等によって著しく数値が違うという話も書こうと思っていたが、長くなりそうなので後日に。
2004.08.01
「アクセスしてほしい!」と正直に言う
自サイトを持っている人は当然アクセス数を増やしたいものという前提で アクセスとリンクを出稼ぎに行く を書きました。これに対して あらきけいすけさん(7/30付け) から疑問の声が。
何のために アクセス数を上げねばならないのか 分からない。
どのような読者に どのような質の情報を (無償で) 提供したいのかという事が文面からは伺えない。 小中学生に科学の知識を啓蒙したいのか、 それとも専門家向けに簡便かつ的確な知識参照を与えたいのか。 (この文面を読む限りにおいては)「人気投票」のような気の向けようは頂けない。
私は、「自分の書いたものが読まれること」自体がうれしいです。どんな人がどんな目的で読もうとかまいません。アクセスした全員が読んでくれるわけではないでしょうが、ともかく私のページをクリックしてもらえただけでうれしいです。自分がそうですから、「アクセスが増えた。うれしいな」のみの記事や、アクセス稼ぎだけが目的の記事・サイトに当たっても特に「頂けない」気持ちにはなりません。そういう内容だとわかっていて訪問するかどうかは別ですが。
インターネットで公開している以上「アクセスしてほしい!」のは自然なことで、逆に「アクセス数など気にもしていない」かのような発言を見ると、ホント?と思います。
ここまでは大前提。以下はもしかしたら気に障る人がいるかもしれないですが、あくまで基本は上の文章として。「どのような読者にどのような質の情報を提供したいのか」について。
私が一番やりたいのは、同じ分野の専門家どうしで対話することです。クロやんさん とは何度もリンクし合って書いています。クロやんさんのサイトは一般向けですからそんなにマニア的な話になりませんが、矢澤 到さんのところは徹底しています。矢澤さんの クロマトグラフィーの創始者 Tswett を引用して私が クロマトグラフィー101年 を書いたら、矢澤さんが上記ページの「注」でさらに詳しく調べた結果を書かれました。そこへ今度は 竹中明夫さん からメールで関連情報をいただいたので、追記 として転載しました。
こんなやり取りができたときは、本当に幸せです。話の中身は、クロマトグラフィーに特別な愛着がある人以外にはどうでもいいことですが。
ちなみに矢澤さんの最新コラム 液クロの「林」 は、米国の巨大製薬企業の研究所で北山杉のように整然と配置された膨大な数のHPLCを見て感動したという話で、普通の人にはピンと来ないでしょう。でも、HPLCと深い付き合いをしている人なら、ぜひそんな光景を見てみたくなる文章です。
理系の掲示板には「教えてください」発言が多くて、私はそういうところにはあまり近づかないようにしています。技術オタクと言われようと、「高度なムダ話」が好きです。
できたら、もっと多くの同業者が日常的にこんな会話に加わってほしい。こんな楽しみがあると知った上で関わる気にならない人も多いでしょうが、知らない人には知ってもらいたいわけです。できるだけ多くの人にアクセスしてほしい最大の理由はここにあります。
まあ、こういうことはあまりはっきり書きたくないですね。「一番の目的」を言ってしまったら、該当しない訪問者が気を悪くするかもしれません。上記目的につながらない読まれ方であっても(たぶん数としては圧倒的)、読んでもらえればそれでうれしいです。このブログはこれ自体として私の「書きたい気持ち」が結晶したものですし。
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