大きな「たこ形」を作る方法(解法D)
5年考えて解けなかった問題 に新しいタイプの正解が寄せられました。たいへんうれしいです。
はまぐりの数学 (上村文隆さん)の この問題の解説 によれば、頂角が20度の二等辺三角形はかなりユニークな二等辺三角形で、「二等辺三角形の中の二等辺三角形」とも言えるものだとか。特別な図形なのですね。(このページには「平行四辺形のキング」も紹介されています。)
解法はいくつもあるようですから、憶えておけば、ひょこりできた手持ち無沙汰な時間の友として一生付き合える問題ではないでしょうか。
さて、4番目の解法は、直江さんからコメントで いただきました。まずは下の図を見てください。解法B でも登場する「たこ形」が出てくるのですが、ひとまわり大きいです。この解き方のユニークな点は、順に補助線を描いていくのではなく、最初に3つの二等辺三角形を組み合わせた図形を描いてしまって、それが問題の図形と相似であることを示すという手順を踏んでいるところです。これはなかなかできない発想の転換です。
ところで直江さんのサイト Think about Climate Change は、「地球温暖化問題の解説と考究」がテーマの専門的なサイトです。自己紹介 このサイトの管理者「直江兼緑」について を読ませていただいて、合い通じるものを感じました。
専門情報サイトには実名のものも多い中、「直江兼緑」のお名前はペンネームだそうです。「匿名を用いることが生じさせる様々な問題を鑑みても、今の私にはそれはまだリスクが高いと感じられます。『○○はこんなことにまで首をつっこんでいる』という周囲の騒音から離れたところで、今は自分の研究を行いたいのです」と書かれています。
この言葉 『○○はこんなことにまで首をつっこんでいる』 には、「ああ、それそれ」と、激しく反応してしまいますね。私のブログは、「組織の中の専門家が 世間体 を保ちながらウェブで情報発信するには?」がメインテーマですから。私の場合、実名を選んだのと引き換えに、技術的・学術的な話に絞る、あまり頻繁に更新しないという方針でやっています。直江さんは逆で、匿名を選ばれて、幅広く、また活発にウェブ活動をしておられるようですね。掲示板 の御様子を見てそう思いました。
双方の立場は非常に近いところにあって、ぎりぎりのところで、匿名を選ぶか実名を選ぶかが分かれたような気がします。
以下は解法です。直江さんのコメントを転載しておきます。
40°の頂点を持つ二等辺三角形二つと低角10°の二等辺三角形一つを上の図のように組み合わせ、点Dと点Eをつなぎます。
まず、四角形BCEDが、問題のBCEDと相似であることを示します。
∠BCE=40°+40°=80°・・・①
∠CBD=(180°-40°)/2+10°=80°・・・②
∠CBEは二等辺三角形CBEの低角だから
∠CBE=(180°-80°)/2=50°・・・③
△CEP≡△CBPで、△BPDは二等辺三角形なのでEP=BP=DP。
∠BPD=180°-10°-10°=160°
∠CPB=∠CPE=(180°-40°)/2=70°
∠DPE=360°-160°-70°-70°=60°
よって△DEPは正三角形。
線分CDは正三角形DEPと二等辺三角形CEPを垂直につらぬくので
∠DCP=20°
よって∠BCD=40°+20°=60°・・・④
①②③④より、四角形BCEDは問題のBCEDと相似であることが示された。
∠EDCは∠EDPの半分だから30°。
*なお、「四角形の相似」については、きちんとした条件がよくわからないので「①②③④を満たす四角形は一通りしか書けないから」と表現するほうがよいかもしれないとのことです。(直江さんによる注)
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