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2004.07.07

「インターネット世代」をかいま見た?

 自分ではかなり ネットな人 だと思っているけれど、先週、「やっぱり私は旧世代のネット人かも・・・」と感じるできごとがあった。
 なぜか驚くほどのページビュー(PV)があって、28日と29日のPVは、 BlogPeople の「昨日のリスト配信ランク」で表示されるほどだった。とても一般受けするはずがない専門情報ページのおまけサイトが、4万5千以上の登録ブログ中で20位まで表示のランキングに入るとは、不思議な現象だ。(順位は両日とも9位だった。)

どんなところからリンクされた?
 ここまでのことがあると、何が起こったのか知りたくなる。このブログ自体はアクセス解析をしていないが、本館のログでリンク元を見たら、ネットで実名を名乗るための危機管理 から多数来訪があったことが判明した。さては、どこかのメジャーなサイトで、この記事をネタにして何か過激なことを書かれたに違いない・・・と思った。
 でも何しろアクセスログがないから、記事名でGoogle検索 をかけて一つ一つ見て回るという労力をかけなければならなかった。なんと、リンク元は40サイトほどある。ほとんどがブログのようだ。

記事タイトルだけが並んでいるブログ
 ところが、探しても探しても、どこにも「過激なこと」は書かれていない。それどころか、記事内容の紹介も感想も書かずにタイトルのみ書いているページが圧倒的に多い。
 私の記事だけでなく、いろいろなサイトの記事へのリンクが、注釈抜きまたは1行程度の感想とともにずらーっと並んでいる。こういうスタイルのブログがこれほど多く存在するとは知らなかった。

 日付けをたどってみると、最初にリンクしたのは 日々、思ったままに書き殴る。(6/25) らしい。ここはオリジナルの文章が中心のブログで、記事に関連した管理者独自の考えが述べられている。
 2日後の日付けで十数ブログがリンクを付けた。その中で、重要なノードの役割をしたらしきところ(他サイトから情報元として書かれている)のは、駄文にゅうす(6/27)カトゆー家断絶(6/27)私たんニュース(6/27) あたりのようだ。
 その後も3日間にわたって、リンクを付けたブログが十いくつか。

「リンクonlyブログ群」の影響力
 正直に言うと、他サイトへのリンクだけ並べるブログを書いていくのがなぜ面白いのか、私にはよくわからない。(すみません。)
 ちょうど鈴木 聡さんが いかにして「他と違う情報を発信する」ことを促すかが重要なのでは(7/3) で、日本のWebにおける日記的コンテンツについて、「ただ他のサイトの情報を紹介するのみで,独自のコンテンツを発信できていない」を問題点として考察している。
 先々週までの私なら、たぶん何となくうなずきながら読んでしまったけれど、これだけ数の力にさらされると、そう言ってしまっていいのかと思えてくる。
 今までにもかなりメジャーなところからリンクされたことが何回かあるが、今回のPV数は桁違いだった。もっとも、「リンクonlyブログ群」のオーナーの皆さんは、きっと面白いネタを探しまわっている人たちだから、訪問者数は実はそれほどでなく、一人で何ページも移動してPV回数を増加させたのかもしれない。だから、「リンクonlyブログ群」が初めて開拓したサイトで高いPV数が記録されても、二回目以降はそれほどでなくなるのかもしれない。
 それにしても、あっというまに40ものサイトからリンクされるのだから、この影響力も大きいと思う。

新しいネット世代
 で、最初の話、こういうことが起こって、なぜ私は「旧世代のネット人」だと感じたのか。前に 「ネット世代論」を「匿名性」とスッパリ切り離してみる の中で、ネット人を判別する指標として次の3点を挙げた。

 A.あなたは、空いた時間があればとりあえずネットに接続していますか?
 B.あなたは、ほぼ習慣的に「次にupすること」「いつかupすること」を探していますか?
 C.あなたは、ネット内での自分の位置や他人からの評価が気になりますか?

 この中のBは、「リンクonlyブログ群」のオーナーたちの感覚とは多分ちがっている。勝手な想像だが、オーナーたちは、一日のうちかなり長い時間をPCの前で過ごし、ネットの海の中で情報を探し続けているのではないか。「次にupすること」「いつかupすること」ではなく、「今upすること」を探しているのだ。
 私(旧世代)の感覚としては、ネットで表現したいものはあくまで自分自身の中にあり、見つけてからおもむろにPCに向かっている。「リンクonlyブログ群」のオーナーたちは、ネットの膨大な情報をフィルタリングする行為自体が自己表現であるかのように見える。
 ちょうど、梅田望夫さんのブログで 消えゆくマスマーケットとミレニアルズ世代 が公開された。これはネットをする・しないとは関係なく、若い世代を「ミレニアルズ世代」として特徴づける話。

 (1) 浴びている情報量が圧倒的に多い
 (2) マルチタスキングが当たり前である
 (3) 情報を人と同時にあるいは人よりも早く得ることに強いモチベーションがある

 「リンクonlyブログ群」も、似た特徴を持っているように見える。
 こういう世代の出現をいいとか悪いとか価値判断するつもりは全然ない。こういう世代が多数派になっていくのなら、どうやって私の訴えたいことを伝えたらいいだろうかと考える。
 私が訴えたいこととは、分析化学の仕事に興味を持ってもらって、あわよくばこの道に進んでもらうことだ。とりあえず、私の本館ページは専門家向けで読みにくいから、秋月ナルさんの日記(環境分析、現役)または クロやんさんのページ(地方衛生研究所、OB)をのぞいてみていただければ、うれしいです。(と今ごろ言っても、もう遅い。)

2004/7/8 追記
 トラックバックいただいた記事 個人ニュースサイトの一般的価値と個人的価値 によれば、「リンクonlyブログ群」は「個人ニュースサイト」と呼ばれているらしい。

参考リンク
 ABCが苦手でも...作ろう英語サイト より、ブログ普及以前のサイト作成がどんな感じだったか伝わってくる文章をご紹介。(どちらも長文。)

相互リンクを成功させる方法
 メールを出して自分のサイトにリンクしてもらう際の頼みかた。
 相手が人気サイトで、アクセスが多ければ・・・「リンクさせてください」
 相手の歴史が浅く、カウンターも低ければ・・・「相互リンクしませんか」
 一つのリンクにこれだけ気を使った頃(つい最近)もあったという話。

リンク縦横無尽
 他人のサイトにリンクを張るのは、自分のサイトのページランクを流出させるようなもの。自分のページどうしのリンクを縦横無尽に張ろう・・・HTML手書きでこれをやると、本当に内職的な手間がかかる。ブログなら、何も考えなくても全ページのサイドバーが自動的に更新されて自サイト内リンクが瞬時に構築される。ブログのありがたさをしみじみ感じる一昔前(つい最近)の話。

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