実名公開・性別非公開
私の性別は非公開。ネットで実名を名乗るための危機管理 で書いたとおり。
でも、「津村ゆかり」と名乗って性別を非公開にしてもねえ・・・とあきれる人がいそうだなと思っていた。ところが、Narnian Cat@Doblog さんからのトラックバック記事 匿名と顕名:ネット上での危機管理:どこまで見せる?^-^? で、けっこう好意的に見てもらった感じなので(私の勝手な解釈かも)、気をよくして、もう少し書いてみる。
悪意の人が誰かにネット上で嫌がらせしたい時、最もシンプルで手間のかからない(鋭い観察も個人情報入手もなしでできる)方法は、相手に対してやたら汚いイメージや劣ったイメージの言葉を浴びせることだ。(直接よりも、匿名掲示板利用が多い。)そんなことをする人たちを時々見かけてきたが、まあ7割がたはセクシャルハラスメント系の言葉が使われる、と私は思う。
女性に対しては、第一に容姿、それから年齢、身体的なことや男性関係を連想させる言葉など。男性に対しては、女性関係の乏しさを連想させる言葉が一番で、あとは身体的なことや、社会的ステータスに関わることなど。
何を書かれようと明らかにデタラメなんだから、別に気にする必要はない。でも、書かれたらやっぱり気分が悪いだろう。セクハラ系悪口は男性向けと女性向けがハッキリしており、対象者の性別が間違っていたらと想像が働くだけで、どぎつい言葉がユーモラスに変身してしまう。性別があいまいな相手には効果がない。
それから、私がウェブで語りたいのは、自分の専門分野のことと、語るための方法論のみだから、性別を公開する意味はないし、むしろ公開しないほうが気楽だ。
ネット上で起こる激論のパターンの一つとして、「双方の立場の違い」がある。感情的にもつれるような「立場の違い」には、性別がからむ場合が多い。職場での男女のあり方とか、未婚・既婚とか、妻が働いているか専業主婦かとか、子供の有無とか、家族的責任を果たしているかとか。
性別を公開していない私は、そういう議論に加わることはないと意志表示しているとも言える。これまでもこれからも、男女どちらかの立場から書くことは多分ない。これは風変わりな態度のように見えるかもしれないけれど、やってみるととても自由な気持ちになれる。(ただし、多くの人に読まれたいなら、こんな態度でないほうがいいと思う。)
オフラインで知り合いの 瀬戸秀紀さん、瀬戸智子さん、こういうわけで私の性別は非公開ですからよろしく。智子さんの シャロット姫からノーラまで にトラックバックしておきます。ジェンダーの話に興味がある方は、智子さんの枕草子へどうぞ。
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Comments
実名・匿名に関してはどうもぴんとこないのですが、性別非公開という話題は納得する所がありました。
私の研究室に来た学生に大学のメールアドレスを申請してもらうと「ミッフィ」だの「キティ」だのと携帯メールと同じ名前にするので、「就職活動や学会関連の申し込みは大学のアドレスからするんだよ」と言って、名字+αにしてもらっています。その時に性別の分からないアドレスにすることと教えてますが、彼女たちは意味が良く分からないみたいです。
Posted by: ICE | 2004.06.27 05:50 PM
こんにちは。
いつも深い洞察のもと、冷静な文章には、
教えられています。
本当に仰るように、
ネット上での「性」の公開(匿名、実名に関わらず、サイトマスターの性がわかるサイトって多いです)は、
いろいろ面倒くさい問題もあるようですね、、、
私は自らが、
フェミニズム運動について勉強したいという、
こだわりがあるので、
こちらから、問題を提供しています。
立場の違いによる意見交換はありますが、
「罵しる」ことに発展しないように気は使います。
(幸い今のところは無いですが、、、)
しかし、そんなリスクがありつつも、
問題提起による反応から教えられること、得る物の方が多いなぁ〜〜〜と実感しています。
まだまだ、不十分な私ですが、
これからもイロイロ 教えてくださいね。
では、、、
お元気で。
Posted by: せとともこ | 2004.06.28 06:37 PM
ICEさん、おひさしぶりです。大学のメールアドレスを「ミッフィ」「キティ」でというのは、私が学生の頃には考えつきもしなかった発想です。学生さん一人一人に気を使っておられるんですね。実生活では、性別がすぐわかる名前のほうが何かと面倒がありませんが、インターネットの世界では、見ただけで性別がわかってしまうアドレス等は不自由な気がします。
せとともこさん、コメントありがとうございます。せとさんたちはお二人とも教育関係のお仕事ですから、自分についての情報を出していくメリットがあると思います。私の知人に、地元密着の自営業の人がいますが、家族全員の実名ばかりか、結婚以来毎年分の家族写真、現住所、電話番号までホームページに掲載されています。それぞれが個別の事情に合わせて、どの程度の情報を出すか考えていけばいいですよね。私は、これなら勤め人でもネットに出られるかなと思えるような、負担の少ない方法を例示するようにしています。ジェンダーの話は、コメントはしませんが興味深く読ませていただいています。
Posted by: ここの管理人 | 2004.06.29 06:29 AM