「タバコと学校生活」
友人が個人サイトを開設した。ただ作りたいから作ったというページでなく、訴えたいことが明確で、しかもその主張内容にオリジナリティーがあるので、ここに紹介することにした。「技術系」とも「サラリーマン」とも「分析」とも全然関係ないけれど。
このサイト タバコと学校生活 の開設者は、中学生の男の子を持つ母親。息子さんがタバコを吸うようになるとともに、学校生活になじめなくなり、「高校に行かない」と言い始めた。母親としてどうしたらいいのか。タバコについてインターネットで調べ、禁煙外来を訪れて、息子さんにタバコをやめさせようとする、現在進行形の記録。
彼女の悩みを最初にきいたとき私は、「息子さんが、タバコを勧めるような友達との付き合いをやめたり、学校生活への興味を取り戻せば、タバコもやめられるのでは?」と言った。私は教育の専門家でも何でもないので、ただ、自分にとっての常識的な考えを述べただけだ。
ところが、彼女の発想は逆だった。「タバコへの依存が形成されてしまっているから、学校になじめなくなったのでは?」と言うのだった。
中学校にしろ高校にしろ、堂々とタバコを吸うことはできない。少なくとも授業時間中は我慢しなければならないし、休み時間に吸うにしても、限られた時間と空間で慌しく吸うしかないだろう。
大人の喫煙者にとっても最近は結構きびしい環境になっているが、子供の喫煙者にとって中学校や高校の居心地の悪さは、また格別に違いない。
彼女の話を聞いて私は、なるほどと思った。「学校に不適応を起こした少年が非行化してタバコを吸う」という図式しか思い浮かばなかったが、「タバコをやめられなくなったために学校に不適応を起こす」という因果関係も確かにあるような気がした。
これは、母親の実感から導かれた仮説に過ぎないかもしれないし、逆に、既に専門家の間では定説となっていることかもしれない。でも、少なくとも私はそういう説を聞いたことがないし、この視点で未成年の喫煙を見直してみるのは問題解決の糸口になりそうな気もする。だから、できるだけ多くの人に、彼女の訴えを読んでみてほしい。
ところで、tf2さんの タバコをやめて1年 からリンクされている 喫煙者を救え! の岩城保さんは、鈴木クニエさんの 大学時代の知り合い だとか。ひょんなことからネット上で知り合いを見つけるのは、うれしいものですね。
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Comments
初めまして。
非常に興味深いのでコメントさせていただきます。
タバコはホントに行動を変容させます。高校大学時代ヘビースモーカーだった私の友人がいますが、彼はある出来事があり、大学院時代に苦労して禁煙者になりました。敢えて、ノンスモーカーと言わずに禁煙者と言ったのは訳があります。彼は常々こう言ってました。
「○○さん、僕は一生ノンスモーカーにはなれないんです。いいですか、喫煙者は決してノンスモーカーにはなれません!一生禁煙者なんです。」
「喫煙者は一日に20回自分に負けるんです。例えば集中して受験勉強してますよね。でもニコチンの絶対量が体から失われたら必ず補給しなければならなくなる。だから、集中して問題を解くべきなのに自分に言い訳するんです『タバコも大事』ってね」
「・・・人生において全ての事よりもタバコを優先するんです。喫煙者は大事な人と一緒にいても、その人の事よりもタバコを優先するんです。いいですか、自分が人生で最も大事だと思ってる事よりもタバコを優先してしまうんですよ。これほど悲惨な事はないです。」
今でもこれらの言葉は忘れられません。
Posted by: きの | 2004.05.31 10:38 PM
きのさん、ようこそ。興味深いお話をありがとうございます。
このような話を聞くにつけ、タバコはまぎれもなくドラッグの一種なんだなと思います。私は乱用薬物問題に興味を持っていますが、
・いったん依存症になったら、薬物をやめても生涯、心身は元の状態に戻らない。
・どんな大切なことよりも、薬物を優先してしまう。
という特徴は、覚せい剤等と全く同じです。
ちょうど今、5月31日の「世界禁煙デー」、それに続く「禁煙週間」の最中ですね。今年の標語は「たばこと貧困:その悪循環から逃れよう」(Tobacco and poverty :a vicious circle)。
と言いつつ、ふだんあんまり煙害に悩んでいない私は、タバコのことを考える機会はあまり多くないのですが。
きのさん、気が向く話題が出たら、またちょくちょく書き込みに来てくださいませ。
Posted by: ここの管理人 | 2004.06.02 08:47 PM