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2004.04.22

「実名ウザい。」

 180度見方を変えて、匿名に肩入れした意見を書いてみる。
「名なしさん」だらけの掲示板では、なまじコテハン(固定ハンドルネーム)を名乗ると「ウザい」と言われる場合がある。同様に、ハンドルネームが多数派の場にいる実名は「ウザい」ものかもしれない。特に、実名vs匿名が話題になる場合には。
 だいたい実名vs匿名の話題は実名の人から出るものだし、一方、固定ハンドルの人は、本来の意味での「実名と匿名」の間ではなく「固定ハンドルと捨てハンドル」の間に線を引きたがるものだ。

 名なしさんどうし、あるいは固定ハンドルどうしで盛り上がっている場は、みんなが対等だ。社会的立場とか実績とは無関係に、発言内容だけで評価される。議論に勝っても負けても、得るもの・失うものはそれぞれに限定されている。
 そこへ入ってくる実名者は、最初から有利な条件を備えている不公平な存在だ。自分のバックグラウンドを示すことができるし、「発言と行動の一致」を論拠付けることもできるし、自分の発言に将来的な責任を取ることもできる。
 そういう有利な条件を持ちながら「匿名の人が実名の人を批判するのはよくない」などと言うなら、都合が良すぎる。

 私がネットで実名を名乗る理由3 で書いたのは、匿名で発言していた私がキレてしまった話だが、裏を返せばキレてしまうようなことをされた話でもある。あのとき、私は匿名での発言の軽さをひしひしと感じていた。(議論相手からも、他の参加者からも。)

 議論を、勝ち負けを決めるゲームのようにとらえるならば、実名vs匿名での議論はアンフェアな戦いだ。私はそう思うから、実名と匿名が入り混じって真剣に議論する場には、たぶんもう二度と参加しない。(そもそも議論する余裕がないので 他人を批判しない ことにしている。)

 だいたい、私が実名を名乗っているのは、社会的な責任感とか、何がしかの立派な心がけからではなく、そのほうが自分がさっぱりするから。要は自分のためだ。(三中さん流キーワード。)

 匿名の人のblogにもコメント・トラックバックを付けることがある実名の私は、たぶん多かれ少なかれ「ウザい」存在だと思う。それは自覚しておこうと思っている。具体的には、匿名の人が真剣に反論したくなるようなことは書かないということ。それから、匿名の人に「ウザい奴」として扱われても仕方ないと割り切ること。

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匿名・実名」カテゴリの記事

Comments

こんばんは

そんな「ウザい」なんて思わないですね。。。
というより、受け手の知り合い(か、世間に名の知られた方本人だと現実世界のルートで確認できる相手)でない限りにおいては、受け手にとってはハンドルであれ実名であれ「誰か知らないヒト」という点で全くの等価だと思いますが。

強い言い方でご気分を害されたらお詫びしますが、受け手からしてみれば「誰か知らないヒト」のたぶん「どこか知らないところ」における"将来的責任"を担保に一概に"有利"と気負われても、というのが正直な感想ではあります。

実名っぽいハンドル、というのも多々あるわけでして、「**という場で○○と名乗っている人」という認識以上のものではないですね、どんな"名前"であっても、私の場合は。

いや、何の話であってもそうなのですが、送り手の意気込みが伝わるとは限らないのです、と。


それよりは悪意の誰かに見られるリスクを重視したいです。
名前ではなくて社会的立場というか所属の公開に関しては猛烈な抵抗感があるのですが、それは自分のところで。

Posted by: Tristar | 2004.04.23 at 01:18 AM

 Tristarさん、こんにちは。
 来てくださって、とてもうれしいです!
 実は、私がココログで最初に惹かれたのは、Tristarさんのblogでした。とても透明な文章だなと思って・・・。
 Tristarさんのようなスタイルでネットをしておられるかたから見れば、「気負い」とか「意気込み」に違和感を感じるのは、よく理解できます。そういうかたのほうが圧倒的に多数派だし、「気負う」ことがある人にしても、通常は気楽にやっていると思います。
 上の文章を書く気になったのは、「ネットde監視、地方議会」さんが「匿名は強面」の中で書いておられる体験談を読んで、このかたは「匿名と実名の差を痛感する状況」というものを知っているみたいだと感じたからです。

Posted by: ここの管理人 | 2004.04.23 at 04:08 AM

匿名と実名そのものよりも、本人確認ができるというか、いざという時にどこの誰かが特定できるかというあたりが気になります。その点では匿名でも構いません。また、実名でも例えば「山田太郎」というのが本名の人は折角実名で書いても「冗談でしょ?」と思われたりするでしょうし。
名無しさん同士の議論に興味が無いのは、同一人物が様々な人格を使い分けながら書いてるかもしれないこと、あるいはいつの間にか主張が変わってても最初から名無しだったらわからないので、まともな議論ができませんものね。
最近のニュースで、イラクの事件での元人質達の自宅に中傷の手紙が大量に届いているというのを聞きました。それを考えると、ネットで実名で書くというのはすごく勇気のいる事だと思いますし、リスクのある事だとも思います。他人を信用できなくなるのは嫌ですが、そういった嫌がらせをする人がたくさんいるというのが現実ですので。
名誉毀損などの事件に絡んだ時に、いざ事情を聞こうと思ったらバックレたという事さえなければ、私は匿名の書き込みは構いません。そういう意味では固定ハンドル支持かな?

Posted by: Hi-Fi-papa | 2004.04.23 at 08:42 AM

こんばんは

過分なお言葉を頂きまして恐縮です・・・が何も出せませんよ(笑)

...「透明な」とは?

---
「それぞれの実体験」があっての今、ですから 0か1か という結論にはなりようがないテーマですが、「人それぞれ」で終わってしまっては面白くない(^^;のでやりとりがあるわけですが

「実名公開への抵抗」と同じように、(発言者自身が、自身の)「実名を名乗らないことへの抵抗」もありえるのですか。。。?

内容以前にそれがためにテーブルにつかない、というのも勿体ない話ですよねぇ。はぁ。

Posted by: Tristar | 2004.04.24 at 02:19 AM

 Hi-Fi-papa さん、こんにちは。
「匿名でなければどうするか?」
http://hi-fi-papa.cocolog-nifty.com/hitoneta/2004/04/post_13.html
を読ませていただきました。
 絶対数として、Hi-Fi-papa さんが想定しておられるような条件(中身のある議論をしたいから名なしさんはイヤ、でも実名を明かすのは怖い)のかたが多数派だと思います。まったく異存ありません。
 では、どんなときに実名を名乗る動機が強くなるのか?
 という条件を整理して、最新の記事に書きました。

Posted by: ここの管理人 | 2004.04.25 at 03:43 AM

 Tristar さんの文章が「透明だな」と感じるのは、生活臭や時事的な話題と無縁で、生々しい個人像が思い浮かばない、色がついていない印象だからです。そういう文章は、読み手に自由な解釈を許すし、時間が経過しても価値が変わらないですよね。

「実名を名乗らないことへの抵抗」は、感じる人もいると思います。少なくとも私は感じます。
「テーブルにつかない」と言っても、ここでしている程度のお話はまったく抵抗ないわけで。私が想定しているのは、思考力や集中力を総動員するくらい真剣な議論を実名と匿名が混在して行う公開の場です。そういうことが成功している例があれば知りたいです。

Posted by: ここの管理人 | 2004.04.25 at 03:45 AM

こんばんは

コメントを頂きましてありがとうございます
自分の立ち位置というか目指すところをズバリ理解して頂けている方に見ていただけているということは有難いことです
生活臭を極限まで消したいのは護身の意味も多分にありますが

さて、
>そういうことが成功している例があれば

「思考力や集中力を総動員する」のは、どんな状況よりも"不毛な水掛け論"をやってるときが一番それを実感しませんか?(苦笑)
それはともかく

伝聞にはパソコン通信全盛期のニフティサーブでは伝説となるようなそういう議論もあったかと
ただし「記録としてのエビデンスを示せ」と言われますと「ごめんなさい」というしかありませんので
以下は「最後の悪あがき」です:

「それが成り立つと信ずる者同士」が出会えばその可能性はあるはずです
裏を返せば「それを信じない者」の周りでは絶対に起こり得ませんが

よく、はいてぃ~んがグループ分けされて「何か話し合え」って言われたときにオキマリで出すテーマがあるじゃないですか、「男女間に友情は成り立つか?」というのが

同じことだと思います
確率的に言って滅多に起こり得ることではないかもしれない、ただし世の中に存在し得ないという証明もまたできないはず


逆に...実名(と推測される←証拠はありません)側が"壊れた"例なら現認しました
「実名であること」と「議論がまともであること」に相関など無い、と、私は信じています

それでは、また画面のどこかで。

Posted by: Tristar | 2004.04.26 at 09:59 PM

 Tristarさん、鍵はそこにあります。

> 実名(と推測される←証拠はありません)側が"壊れた"例

 私は自分自身が関わった2つの事件についてお話しました。しかし、関係者がこのblogをたまたま目にする可能性がありますから、記事中に書いた意見部分は、厚めのオブラートにくるんだものになっています。
 これだけ長々続いたコメント欄の下のほうなら読む人も少ないでしょうから、もう少し明確に書いておきましょう。

 よく読めばわかりますが、2つの例で、議論を拒否したのはどちらも「実名側」です。そして、拒否した真の理由は、「自分の誤りや認識不足を認めざるを得ない状況だったから」です。どちらの例でも、もしも実名の側のそういう弱みが見えていなければ、匿名・実名など気にせず議論を続けていたでしょう。
 当事者たちは、「不毛な水掛け論」をするほど愚かではありませんでした。ある時点から、真剣に議論したらどんな結果になるか悟りました。

 で、こういうとき、実名の側は「負けそうだから議論しない」とは言わないわけです。「匿名の相手とは議論しない」と言う(あるいは態度に出す)わけです。
 実名vs匿名の主題では匿名側が不誠実だったケースばかりが語られがちですが、私がお話したのは、むしろ実名側が不誠実だったケースです。匿名側は「誠実な議論が成り立つ」と最初は信じていました。
 私が考えるに、実名vs匿名で真剣な議論が成り立つ状況は2とおりあります。一つは、実名側が圧倒的な能力を持っていて、常に完全なことしか言わない、ミスはしない、という場合。もう一つは、実名の側のパーソナリティとして、匿名の相手との議論であっても、自分の負けは潔く認める、という場合。

 前者が可能なのは、神様か、ほとんどものを言わない人だけでしょう。
 では、後者ならどうか?
 少なくとも私には、できる自信はないし、他の人にできた実例も見たことがありません。(小さなミスを指摘されてすぐ直した、という軽い出来事は除きます。周囲がはらはらするくらい真剣なやり取りをした後でのことです。)こうしてネットで書いている内容を自分の友人・同僚・取り引き先・その他おおぜいの人が読んでいるのに、明日には消滅するかもしれないハンドルネームの相手に「負けた」と見られたくはありません。

 そもそも誤った発言をしたこと自体が問題で、それを認めるのは当たり前ではないか、という意見もあるかもしれません。でも、激しい議論の末にだんだん追い込まれるのと、自分から前説の否定を書くのとでは、大きな違いがあります。
 追い込まれたとき、相手が実名の場合は逃げ道がないですが、匿名ならば「石ころ」扱いすることができるんですよね。そういう誘惑に絶対勝てるのか。これは、匿名の側がどう信じたところでどうにもならない問題で、実名の側の資質にかかっています。「石ころ扱い」という切り札を持っているのは実名の方なんですから。

 「どんな場合にも自分は逃げない」と言う実名の人がいるとすれば、私は欺瞞を感じるのです。最初から「匿名者は石ころ」と拒否する姿勢のほうが、よほど正直で真摯ではないかと。

 なんか、すごく長くなりましたね。本当は記事にするべき内容なのですが、こっそり書いておきたくてコメントにしました。

Posted by: ここの管理人 | 2004.04.28 at 05:02 AM

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