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2004.03.18

仕事と遊びを区別して割り切る

 NHKの歴代連続ドラマの中でも特に人気があった「おしん」は、ここ一年間再放送されてきて、もうすぐ完結だ。主人公のおしんが長い人生の中で、色々な商売を立ち上げては、成功したりつまずいたりする物語。商売というものは24時間休みなしなんだなー、でも働いたら働いた分、自分の成果になるんだなーと実感される。
 おしんの跡取り息子のところへ、甘やかされて育った娘が嫁にきて、あまりに休みなく姑と小姑が働くためネを上げる。「だんなさまを送り出した後は、ゆっくりレース編みでもする生活を夢見ていたのに・・・」とぼやく場面とか。

 こういう自営業の生活と比べたら、サラリーマンは勤務時間と勤務時間外の区別がはっきりしていて気楽だよなーという単純な実感から 組織の中の研究者・技術者がウェブで語るとき の中で

 仕事と遊びを区別して割り切ることができるのは、サラリーマンの特権だ。個人として自分を売り込む専門家の場合は、「ホームページ作りに時間を使うより論文を書くほうが業績になる・・・」といった雑念も沸くかもしれない。逆説的だが、「自分はサラリーマンだ」と割り切れる人ほど、楽しく専門知識のページを作れると思う。

と書いた。

 この記述に違和感を持つかたもおられるようだ。
 なぜ今さら書くかというと、あらきけいすけさんの日記3/14付け でリンクされている かさねかさね走り書き2004 (3/8付け)と、それから前記事で紹介した平林純さんの 「役に立たないように見えること」 で、この記述が取り上げられていたから。
 「かさねかさね」の「はんちゃん」さんは「色に関連する仕事をしている化学屋」という自己紹介で、サイトの内容は仕事とリンクしたものというより色に関する一般的な話題中心。「はんちゃん」さんが言っておられるように、同じ化学畑という以外には、私とはあまり接点はなさそうだ。

 で、ここからが本文だけど、誰に向けてというわけでなく、私の考えを書いてみる。
 私は分析化学という、学術的に確立して長い歴史のある分野に身を置いてきた。その中では、新しい価値を生み出す最重要な場は「論文」または「特許」「規格・基準」といったものだ。これらより格落ちで、「学会発表」「学会や業界団体内での情報交流」などがある。「ウェブでの個人的な情報発信」は、ほんの少しの価値があるかどうかもおぼつかない。だから遊びと割り切るほうが楽しいだろう、と私は思う。(ただし、公の場でおおっぴらに遊ぶのは人目が気になるので、価値を生み出す方向で努力したほうが精神的にラクだも考えている。)
 一方、「論文」「特許」「規格・基準」に類した制度を確立しにくい分野、または新しい分野においては、インターネットでの実験的な試みが大きな価値を持つ場合もあるのだろう。そういうところにいる人ほど、個人的なウェブページで社会的な意味のあることができるチャンスも多いと思われる。つまり、個人サイトでやっていることが、いつのまにか公に評価されるようになる、遊びが仕事になっている、というシーンが考えられる。

 それから、もっと根本的なこと。
 もともと仕事と遊びを区別して割り切る人は、仕事関係のホームページなんか作らないだろう、ということ。どうせやるなら、趣味のホームページでしょう。
 仕事に関してウェブで語りたいサラリーマンは、実はサラリーマン的な部分でなく自由業的な部分で語りたがっている。そういう気持ちとサラリーマン的な根性との折り合いを付けながら、あまり目立たないように、なおかつ仲間が増えていく程度に目立つように、こそこそとサイトを作っていく。

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