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2004.03.10

「うるさいこと」を書く

 私はここで道徳を説いてはいない。私が書きたいのは「方法論」だ。しかし、一見そうは見えないらしい。組織の中の研究者・技術者がウェブで語るとき に対して ACADEMIC RESOURCE GUIDE No.178(2003-12-27)の編集日誌 で「賛否は人それぞれだろうが」と評されたときから何となく不穏な予感がしていたのだが、その通りだったという感じ。
 一番ありがちなのは、私が専門的な個人ページを公開する意義について「自己研鑽の動機付けになる」を挙げていることから、目的論と思われてしまう場合。これに対しては、続「世間体」を気にかけながら書く で三中さんたちに対する回答として説明した。
 そして今回、思いがけず他分野の大勢の方に私の文章を読んでいただいて、「うるさいことを言うやつめ」的な反応が多いこともわかった。
 私はひと様に道徳を説けるような立派な人物でないし、特定の思想や宗教を広めたいと思っているわけでもない。だから、私個人の価値観を述べている部分があっても、別に他人にまでそうなってほしいとは考えていない。
 私の意図は、「サラリーマンが」「自分の専門分野について」「できれば実名で」個人ページを作りたいと考えたときに、躊躇する原因があるとすれば何か、精神的負担を減らしてウェブで語るにはどうしたらいいか、ということを考察することにある。だから、この三拍子のどれかが欠けている人にとっては、私が書いていることは「うるさい」と感じられると思う。また、「精神的な負担感が理由で個人ページを開設できない小心な人」を想定しているので、三拍子そろいながら既にウェブで発言できている小心でない人にとっても「うるさい」と思う。
 しかも、実はもう一つ、私の発想が「うるさく」なってしまう要因がある。それは、私が 本館 で書いている内容はほとんど全て、国家公務員として給与をもらいながらやってきた仕事に基づくものだという事実だ。
 経済不況が続いて、失業している人や就職できない人が大勢いる。どんなに経済的に困っている人でも、消費税を始めとした間接的な税は国に納めている。困っている人たちにとっては、公的な仕事で得た知識で余暇活動をしているやつが目に触れるのは不愉快ではないか?これは考えすぎなのかもしれないけれど、私にとっては重要な足かせ要因だ。
 以上のようなところが、私が「うるさい」理由だ。方法論なので、必要ない人には全然必要ないし、読む価値はないと思う。

 現状で、ホームページの作成方法に関するウェブサイトや出版物は数多くあり、HTMLの書き方やアクセスアップ法みたいな技術的な情報は簡単に得られる。でも、私が扱いたいと思っているようなことに関する方法論は極めて少ない。だから、私が提示しているものはこの分野での議論のたたき台になるのかもしれない。上に書いたことや 私がいる業界の場合 でわかるように、私の立場は最大限慎重で遠慮がちだ。こういう話は、出発点は慎重なほうがよいと思う。この先、各業界の事情に応じた話がいろいろと出てくるのだろう。

 そうそう、道徳を説く立場にはないと書いたが、実は本当にうるさいことを言う気持ちも少しある。私は「サラリーマンが」「自分の専門分野について」「できれば実名で」個人ページを作ることを奨めているわけなので、これに伴う責任分だ。私が奨めたために実行した人がいて、その結果どこかの会社で困ったことが起こったりしたら、私は申し訳ない。特に、分析化学の業界でそんなことが起こったら、あの地方衛生研究所やらこの分析センターやらの管理職クラスのかたがたの顔が思い浮かんで、私はいたたまれない。だから、私の文章を読んで個人ページを作る気になったというかたがもしいたら、私が書いている「うるさいこと」にもどうぞ留意してください。

参考リンク

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Comments

これくらいでうるさいこととは思えないです。 頑張ってください。 ^_^

Posted by: 通りがかり | 2004.03.10 at 12:49 PM

こんばんわぁ。しばらくです。it1127です。
わたしの勝手な希望としては、早く本来の記事が読みたいです。
私のblogの理想形と暫定形で書かれているような内容の記事です。

>blogやインターネットの使い方に関して新しい情報を仕入れたりまとめたりして他の人に紹介する人というのが各分野で必要とされるはずだ。
 そこまでblog利用者が増えたら、私みたいにコンピュータに弱い者がそんな役割をすることはないだろう。そのときには、分析化学のことだけ書くようにしたい

最近はあまり意味があるような記事になっていません。[わたしにとって]

Posted by: it1127 | 2004.03.10 at 10:16 PM

私の書いた範囲では少なくとも津村さんに関しては「道徳」という言葉は使っていません。「倫理」とは書きましたが、これは私の感覚では自分の内なる声に従って採るものなので、「他律的」に行動に枠をはめる「道徳」とは分けて考えています。ご理解頂けているものと思いますが記事内容とリンクのはられ方からひとこと。

Posted by: 崎山伸夫 | 2004.03.11 at 03:09 AM

なにかのきっかけで通りすがりにこちらのページを拝見して,その後たまに拝見させて頂いています.

津村さんがお勧めにならなくても,昔から研究職もサラリーマンも実名で仕事ページは作っているわけで.....私の理解力が足りないので,津村さんの訴える問題の核心が那辺にあるのかわからないのだろう?と思ったりします.

Posted by: on my way to other place | 2004.03.13 at 08:25 PM

 通りがかりさん、励ましの言葉をありがとうございます。(もしかして、同業の偉い立場のかた・・・?とか、ちょっと勘ぐったり。)

 it1127さん、ごぶさたしてました。今進んでいるような話が、私のblogの本来の話なのですが・・・「blogやインターネットの使い方」というのは、RSSリーダーやココログルの使い方みたいな、超初心の同業者向きの解説を考えています。とてもとても、it1127さんに読んでいただけるような内容では・・・アクセス解析については、来週あたり、書こうと思っています。

 崎山伸夫さん、わざわざコメント付けに来ていただいて、恐縮です。崎山さんがたいへん丁寧に読んでくださっているのは、よくわかっています。崎山さんのような主張のほうを好まれる方も(のほうが)多いだろうなと考えて、リンク・トラックバックさせていただいています。

 on my way to other place さん、はじめまして。私の扱っていることの核心がどこにあるかわからないとのことですが、on my way to other place さんが技術系のサラリーマンで、御自分の専門分野に関する内容を、実名を名乗りながらウェブで発信しておられるのでしたら、たしかに私の言っていることは理解の対象外だと思います。

Posted by: ここの管理人 | 2004.03.14 at 02:51 AM

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