blogとフォーラム(掲示板)は競合するか
blogとフォーラム(掲示板)は競合しないのだろうか。ココログに関して言えば、これほどの盛り上がりは、フォーラムを通じて蓄積してきた人的資産を活用する@Niftyの戦略に成因があるように見える。こっちがにぎわう分、フォーラムのほうは寂しくなったりしてないのだろうか。
私が継続して参加してきたのは「化学の広場」の「分析」と「情報」だけで、フォーラムの中でも本当に限られた範囲の様子しか見えないのだが、ちょっと現状と展望を書いてみる。
「化学の広場」に関しては、ココログは全く何の影響も与えていないようだ。シスオペのHeroさんも他のメンバーも、ココログを始めたという話はないし、ほとんどフォーラム内で話題にもなっていない。
これからblogを始める人が出てきたら、「化学の広場」から人が流れるのだろうか。私はどうも、そんなことはなさそうな気がする。理系の専門分野に限って言えば、フォーラムとblogでは、書ける内容に大きな違いがある。
本当に大雑把な切り方だが、理系の公開掲示板では、「教えてください」型の発言と「○○が開催されます」といった単発情報型発言が大部分を占める。実のところ私も、「化学の広場」での発言(そもそも、あまり発言していないが)の8割がたは、この2パターンのどちらかだ。趣味系・生活系のフォーラムは違う。「そうそう、私も」的な共感型の発言が多くなる。
質問型、情報提供型の発言はblogよりも掲示板に適するだろう。もともとこれらの発言が大勢を占める理系の掲示板では、blogへのシフトは起こりにくいと思われる。
一方、blogは専門性の高い分野で新しい書き手を掘り起こすのではないか。つまり、理系の掲示板で成立しにくかった「共感型」表現の幅が、blogによって広がるのではないか。私が自分のホームページに掲示板を設置していない理由は、ひとえに「質問型」書き込みが怖いからなのだが、blogは始める気になれた。blogでは、科学の楽しみをマイペースで表現すると共に、他者の楽しみにもリンクできる。(今はどの分野も細分化・専門化していて、表現に字数が必要だ。)
ところで、言葉による交流には「議論型」というのもある。成功した場合に最も生み出すものが大きく、期待も大きく、ついでになりゆきによっては負の効果も大きいのが「議論」だろう。blogはそもそも日記だから、議論には向いていないようにも見える。でもそれは、日常的に行われる議論の形と違いすぎるからそう見えるだけかもしれない。
学術研究の世界では何百年来、論文が自説の主張スタイルだ。他者を説得するために、ある程度の字数を使って完結した論理を展開するというスタイル。多くの人がこういうことに習熟すれば、blogで議論は行われるだろうし、掲示板より実りの多い議論も可能かもしれない。
で、最初の「blogと掲示板が競合しないか」については、理系のフォーラムでは棲み分けができそうだというのが私の感触。他のフォーラムではどうなのだろう。
以下、論文の参考文献風にリンクを示してトラックバック。
つながり続けられますか-フォーラム"vs"ココログII
「反ブログ・フォーラム至上主義者のブログ・・・かも(笑)」とか。
blog は議論に向かない
システムの面から整理されていて、わかりやすいと思った。
とりあえず
Tokyo Forum のシスオペさんのココログの最初の記事。ここからざーっと投稿順にたどっていくと、ココログが始まった当座(たった2ヶ月前ですが)の熱気が、生で伝わってくる感じ。特に「いつの時代も先駆者がいてこそ」「たかが2週間、されど2週間。」あたり。それから、SYSOPが思うフォーラムでココログ は、フォーラムに昔のような活気を呼び戻したいという思いが。また「ココログには何やら不思議なパワーがある」という主旨のリンク・トラックバックが集まっているので、ここへ付けてみます。
「ウェブログ・ココログ関連」カテゴリの記事
- ココログ出版でブログを本にした(2006.09.14)
- 理系BLOG宣言(2004.05.26)
- 技術系blogで使えそうな芸風(2004.05.23)
- コメント受け付けのオン/オフ機能(2004.05.18)
- blogとフォーラム(掲示板)は競合するか(2004.02.04)
The comments to this entry are closed.
Comments